先日の3月26日、billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026 “Fanfare”@けんしん郡山文化センター 大ホール公演に参加しました。
指揮:大友直人
管弦楽:仙台フィルハーモニー管弦楽団
※本投稿では、公演のセットリストや演出を記載します。本ツアーは15都市25公演の規模で行われます。初日を迎えていない方や、ネタバレに抵抗のある方はご注意ください。
1. 公演前の様子
公演前の会場の様子です。









今年で11年目を迎えた玉置さんのシンフォニックコンサート活動において、福島県での開催は今回が初めてとなります。
2. 第一部の様子・各曲の感想

この日の座席は、1階席前方上手端でした。玉置さんは比較的上手側を向いて歌うことが多いため、迫力を感じる場面が多かったです。また、玉置さんが大友さんと対峙する際には、その緊張感あふれる様子を正面から捉えることができました。
定刻の18時00分、大きな拍手に包まれながらステージの左右から仙台フィルハーモニー管弦楽団のメンバーが続々と入場。続いてコンサートミストレスが登場し、入念な調律が行われました。
一時の静寂の後、大友さんが姿を現します。一歩一歩、非常に綺麗な立ち振る舞いで歩みを進めるその姿を、スポットライトが追っていきました。大友さんはコンミス、そしてトップサイドの奏者と丁寧に握手を交わすと、客席に向けて深く一礼。そのまま指揮台へ登り、公演の幕が上がりました。
1. ファンファーレ(管弦楽)
大友さんがオーケストラ全体をゆっくりと見渡した後、上下に軽く弾むような指揮を見せ、ティンパニの音が響いて曲が始まりました。
やがて弦楽器の豊かな音色に重なるように、フルートが前奏のメロディーを奏で始めます。非常にゆったりとしたテンポで奏でられるそのサウンドを聴いて、今ツアーの象徴である「ファンファーレ」の実演がいよいよ始まったのだと、会場の誰もが肌で感じ取った瞬間でした。
その後、ストリングスの流れるような演奏から、金管楽器が華やかに主旋律を引き継ぎ、序曲は豪華なフィナーレへ。最後は大友さんが両手を大きく掲げ、音を優しく包み込むように絞っていく指揮で、一曲目を締めくくりました。
2. 歓喜の歌(管弦楽)
前曲の余韻を縫うようにホルンの音が響き、曲が鮮やかに切り替わります。
この曲では、大友さんのメリハリの効いた指揮と、それに応える仙台フィルの演奏がとても印象的でした。ソロパートでは緻密なタクトで繊細な音色を引き出し、アンサンブルパートでは大胆な指揮で豪華なサウンドを響かせました。特に、大友さん特有の弦をかき鳴らすような動作を、低弦サイドから高弦サイドへと順番に向けていく指揮は視覚的にも美しく、オーケストラの一体感を感じさせるものでした。
最後はティンパニの力強い連打に合わせ、チューブラーベルの鐘の音やシンバルが鳴り響き、祝祭感あふれるフィナーレを迎えます。大友さんが両手を大きく掲げ、最後は胸の前でクロスさせる圧巻のポーズで、見事に曲を締めくくりました。
ここでついに玉置さんがステージに登場します。黒のアウターやパンツと対比するように、胸元に光る重層的に織りなされた白とグレーのスカーフがとても洗練されています。会場には割れんばかりの拍手が鳴り響き、玉置さんがゆっくりと観客席に向き返ると、その音は一層大きく高まりました。玉置さんが静かにマイクを手に取るとステージは暗転。静寂が支配する中、いよいよコンサートの本編が幕を開けました。
3. GOLD
この曲では、玉置さんと大友さんの見事な連携がとにかく光りました。歌い出しは二人がしっかりと向き合い、お互いの呼吸を測るようにタイミングを合わせる場面から始まります。
一方で、
思い…馳せよう 星屑と地の果てへ
や
だから…行こう 星屑と地の果てへ
といった、玉置さんの歌声に続いてオーケストラが再び鳴り出す箇所では、大友さんは玉置さんの方を振り向きません。意識を完全にオーケストラへと集中させながらも、耳で玉置さんの歌声を完璧に捉え、絶妙なタイミングでタクトを振りました。
一番の終わり、
あの頃の二人に 辿り着くから
のフレーズでは、二人が向き合って深くうなずき合う姿が印象的でした。1階席の上手端からはその表情がはっきりと確認でき、同曲の中で最も強調された名シーンでした。
曲の最後も、二人は
①笑い…②ながら
のリズムに合わせて二度うなずき合い、フィナーレを迎えます。続くラストの
行こう…
という玉置さんの歌声は、アカペラで豊かな余韻を保ちながら会場にじわじわと溶けていきます。それが消え去った完璧なタイミングで大友さんの指揮が再び動き出し、オーケストラの演奏とともに本編の一曲目が幕を閉じました。
4. キラキラ ニコニコ
真っ暗なステージに、大友さんのなめらかな指揮が動き出します。少しずつ音が大きくなっていくクレッシェンドの演奏が始まり、会場の期待感を高めていきました。
この曲でも、各パートの歌い出しでは玉置さんと大友さんがしっかりと向き合い、呼吸を合わせる姿が印象的でした。序盤は玉置さんの低音がホールによく響き、深みを感じる歌声が胸に迫ってきました。
しかし、曲中盤に訪れる間奏のシャウトを境に世界が一変します。玉置さんはマイクを遠ざけ、しゃがみ込むように足を踏ん張ると、魂を絞り出すような野太いシャウトを放ちました。そこから
おはよう〜〜〜
どんな天気でも
へと続くロングトーンと激しい歌唱は圧巻そのもの。序盤の抑えた表現とは打って変わった、伸びやかで迫力に満ちた歌声に圧倒されました。
曲の締めくくりは、再び繊細な表現へと戻ります。
キラ・キラ・ニコ・ニコ
の一言一言を、玉置さんと大友さんが向き合って丁寧に合わせる姿がありました。大友さんが両手を軽く振り、ハープの単音を導き出すと、最後はサッと手を前に出して音を止めます。その後は
だね…
という歌声が静かに広がり、その余韻を十分に味わってから、大友さんの指揮で後奏がスタート。オーケストラの伴奏に合わせ、玉置さんの一本のシャウトがまっすぐに響き渡り、実に感動的な幕切れとなりました。
5. いつもどこかで
序盤はストリングスの低弦による指弾きのリズムが印象的に響き、その一音一音がとても際立って聞こえました。この日の座席は上手端だったため、目の前にはコントラバスの隊列があります。その距離感も相まって、低弦が刻む渋いリズムと深い響きが、こちらに迫ってくるような確かな質感をもって届きました。
曲の中盤、
やさしく咲く小さな花になって
のフレーズでは、非常に感傷的な歌声がホールを包みました。前回、西宮公演の時ほどではありませんでしたが、この日もわずかに掠れたような繊細なニュアンスを交え、一言一言を噛み締めるように歌い上げていました。
間奏に入ると、仙台フィルの金管楽器がこれまでの静かな流れを一気に変え、ゴージャスで華やかな音色を響かせます。そこからは玉置さんの歌声にブラスの助奏が重なり、演奏はさらに熱を帯びていきました。玉置さんの歌唱にも、特徴的な表現がありました。
吹きすさぶ〜〜〜
風の中も
のトーンでは、語尾の「う」の語気を一際強調し、力強く押し出すような独特の歌い方をしていました。
そして、クライマックスの
僕が君を〜〜〜〜〜
では、全身を震わせながら魂の声を響かせました。この締めくくりでは玉置さんと大友さんが真っ向から向き合い、音の押し引きを完璧にコントロールする両者の姿がありました。最後は
包んでいる…よ…
という歌声が静かに溶け切るのを見計らい、絶妙なタイミングで後奏がスタート。この曲もパーフェクトな呼吸でフィナーレを迎えました。
6. MR.LONELY〜サーチライト(メドレー)
軽快なリズムで「MR.LONELY」の前奏が始まると、玉置さんは透き通るような美しい裏声を添えて、前奏のフレーズを歌い上げました。その直後、わずかに
Yeah〜
というアレンジを加える姿がありました。
歌唱パートに入ると、オーボエの清らかな単音が楽曲の静かな世界観を形作ります。その繊細な調べの中を、玉置さんの深みある低音が進んでいき、一音一音がホールに染み渡るような重厚な響きがとても印象的でした。
1番が終わった後の間奏では、玉置さんの多彩な歌声が炸裂します。まずは原曲通りの旋律を力強いシャウトでなぞり、次の節ではメロディーを崩した情熱的なシャウト、そして締めくくりには吐息のようなウィスパーボイスへ。わずか一節の間に、あらゆる色彩の歌声を織り交ぜる圧倒的な表現力に引き込まれました。
2番の始まりには、印象的なジェスチャーがありました。
人の気持ちになって この心が痛むなら
のフレーズに差し掛かると、玉置さんは慈しむように左手をそっと胸に当てます。この日はその動作がかなり早めから始まり、玉置さんの想いがよく伝わってきました。
2番のサビ前、ストリングスのメロディーが感情を高ぶらせるように上昇していくと、玉置さんもそれに呼応して溌剌としたシャウトを放ちます。そこからラストサビにかけての盛り上がりは、まさにパワフルの一言。気迫に満ちた歌声で歌唱パートを締めくくりました。最後は前奏と同様に、しっとりとした裏声で後奏を歌い上げ、メドレー一曲目の幕を優雅に飾りました。
木管楽器が温かみのある柔らかな音色を奏で、メドレーは「サーチライト」へと移り変わります。曲の冒頭、ステージに立つ玉置さんが神々しくライトアップされると、そのシルエットが非常に大きく映し出されました。
同曲も、序盤の玉置さんが歌い上げる低音はとても深みがあり、一音一音が聴き手の胸に直接響いてくるような心地よさがありました。初めは落ち着いた雰囲気で曲が進みますが、サビを境にオーケストラの演奏が一気に熱を帯びます。サビ前、大友さんが大きく横に振りかぶるようなダイナミックな指揮を繰り出すと、瞬く間にステージいっぱいにシンフォニーの重厚な音色が広がっていきました。
1番の、
サーチライトをずっと
信じてた 信じてた
のフレーズでは、玉置さんが非常にラフで自由な歌唱スタイルを披露。型にとらわれず、その瞬間に沸き起こる感情のままに歌い上げる姿が印象的でした。
そしてラストサビ、
サーチライトはそうなんだ
君なんだ 君なんだ
では、これまでとは少し異なる手の向け方を見せました。1階席の上手側から上層階席の下手側へと、ゆっくりと上へ登っていくように大きく手を伸ばしました。
その後の歌唱は、さらに感傷的な響きを増していきます。
かな〜らず〜 君を照らす
サーチライトに僕は
なれるかな なれるかな
の裏声では、声を震わせながらも圧倒的な迫力を伴い、切なくも力強いメッセージとして心に深く突き刺さりました。
7. Friend
オーボエの壮大な音色で前奏がスタート。途中からここにチェロが加わることで、音の厚みが一気に増していきます。そんな大きな盛り上がりを見せた前奏も、最後は吸い込まれるように静かに締めくくられました。
静寂が漂う中、ピアノの三音がクリアに鳴り、歌唱パートへ。ステージが暗転し、玉置さんだけが白い光に照らし出される演出は、その存在感をより一層際立たせていました。ピアノの伴奏に寄り添うような静かな歌唱は、玉置さんの歌声をじっくりと堪能できます。時折マイクが拾う繊細なブレスの音さえもが、一つの表現として深く響きました。
サビに入ると、歌声は一転して伸びやかなロングトーンへと変貌を遂げます。この日も、各フレーズの1回目のロングトーンではビブラートを使わず、まっすぐに声を伸ばしていました。両手で大切にマイクを握りしめ、全神経を歌に注ぐその気迫に圧倒されました。一方で、各パート2回目のロングトーンは控えめに、少しずつ声量が消えていくような繊細なボーカルを披露。この緩急の付け方が卓越していました。
ラストサビの締めくくりでは、歌いながらマイクを軽く突き上げるような、ガッツポーズにも似た力強い動作を見せ、歌唱パートが終了。後奏の一部を聴き届けた後、玉置さんは客席へ一礼してステージを後にしました。
主役が去った後も、仙台フィルによる豊かなアンサンブルが壮大な後奏を奏で続け、会場を温かな余韻で満たしていきます。最後は大友さんが左手をそっと握り込む丁寧な指揮で音を閉じ、曲が終了しました。大友さんは指揮台を降りると、コンミスと固く握手を交わし、客席へ一礼して退場していきました。
こうして、福島初のシンフォニックコンサートは、至福の充実感を持って第一部を終えました。
3. 第二部の様子・各曲の感想
約20分間の休憩を挟み、いよいよ第二部の幕が上がります。オーケストラが再びステージに姿を現すと、オーボエの音色を合図に入念な調律が行われ、会場は心地よい緊張感に包まれました。その後、大友さんが下手から登場。指揮台に登ると、管弦楽による第二部のオープニングが動き出しました。
8. アンダンテ・フェスティーヴォ(J.シベリウス)
第二部の幕開けを飾るこの日の管弦楽は、ストリングス隊による弦楽演奏で展開されました。まずはバイオリンが、華やかで滑らかな主旋律を奏で始めます。そこに少し遅れて低弦の重厚な響きが加わると、音の層はぐっと深みを増していきました。その後も流暢で淀みのない弦楽アンサンブルが続き、ホールは洗練された音色に包まれました。
曲の最終盤、それまで弦楽器のみで紡がれてきた世界に、ようやく他の楽器が加わります。それは、力強くリズムを刻むティンパニの連打でした。上手端の座席からは打楽器奏者の姿を直接見ることはできませんでしたが、その振動は確かな手応えをもって客席まで届いてきました。最後は大友さんが両手を大きく掲げ、音を素早くかき消すような華麗な指揮を見せると、それに呼応するようにストリングス隊の弓も一斉に上へと舞い、見事なフィナーレを飾りました。
管弦楽のリンクを以下に貼ります。
ここで下手から玉置さんが再びステージに姿を現します。その身に纏った全身黒の衣装は、第一部とはまた異なる重厚さと、ステージを支配するような威厳を感じさせました。客席からの熱い拍手に包まれる中、静かにマイクを手に取ると、いよいよ第二部の本編が幕を開けました。
9. 純情
大友さんの指揮により、ヴィオラトップの演奏が先行して響き、そこにハープのリズムとオーボエが重なり合う美しい前奏から始まりました。やがてストリングス隊が加わり厚みを増していく中、鉄琴が可憐な主旋律を奏でます。この間、玉置さんが極めて微弱な裏声を伴奏に合わせる一幕もあり、歌唱前からその世界観に深く引き込まれました。
歌唱パートが始まると、玉置さんの深みのある低音がホール全体に重厚に響き渡ります。また、この日は玉置さんの歌う姿勢や独特の表現が非常に印象的でした。1番、
胸に抱かれ ゆらゆら眠るまで
では、歌詞に合わせて身体を小さく左右に揺らす自然体な姿があり、2番
働いて働いて 汗流せ涙より
の節では、音をまろやかに引き伸ばして、のらりくらりと歩むようなニュアンスを醸し出していました。
サビの締めくくりにおける歌い方の変化には、さらに目を見張るものがありました。1番の
その言葉だけ 投げ出さずいた〜
では吸い込まれるように繊細で抑えたトーンで歌い上げたのに対し、2番では力強いロングトーンへと変貌。語尾を
その言葉だけ 投げ出さずいた〜ぁあ⤴︎〜〜
と一段階押し上げていく強調された歌唱を見せ、会場の熱量を一気に高めていきました。
温かみのある木管楽器の間奏を経て迎えたラストサビ、
思ったように 好きに生きなよ あせらず
のパートでは再び静寂が訪れ、オーボエとハープが静かに寄り添います。力強い演奏だけでなく、こうした静かな演奏こそがむしろ豊かな伴奏になり得るのだと感じさせた瞬間でした。
曲がいよいよクライマックスに達し、玉置さんの
オレのお守り くしゃくしゃの純情〜〜〜
という伸びやかな声に合わせて、オレンジ色だった照明が一瞬で鮮やかな青へと変化。その光の中で、玉置さんの
かあちゃん
という激しい叫びが響きました。後奏でも何度も情熱的なシャウトを重ねた後、玉置さんは両手でマイクをぎゅっと握りしめ、静かに祈りを捧げるようなポーズで一曲を締めくくりました。
10. 行かないで
前曲の温かみのあるオレンジ色から一転、一気に深い暗闇が空間を支配します。その漆黒の中で、玉置さんだけが真っ白にライトアップされる姿は、非常に神々しいものでした。哀愁漂う暖色から、一筋の光が刺す幻想的な世界へ。この鮮烈なライティングの切り替えにより、会場全体が異空間へと誘われたような感覚に陥りました。
楽曲は、大友さんが刻む非常にゆったりとしたテンポで進んでいきます。この極限まで削ぎ落とされたスローテンポが、曲の持つ神秘的な雰囲気をさらに加速させていました。玉置さんのボーカルも、その一音一音を慈しむようなバック演奏に寄り添い、普段以上に一言一言を深く噛みしめるように響きました。
この曲の特筆すべき見どころは、やはり玉置さんの圧倒的な歌唱表現にありました。地声と裏声を自在に行き来し、極めて大きな音程差をドラマチックに描き出す。そのセンチメンタルで魂を揺さぶる歌声が、静まり返ったホールに溶けていく様は感動そのものでした。
曲が終わると、玉置さんは静かに胸に手を当てるポーズを見せました。その瞬間、観客席からは大きな拍手が沸き起こり、さらに大友さんが玉置さんの熱唱を称えるようにその姿を強調する所作を見せると、拍手の渦はさらに勢いを増して会場を包み込みました。
11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)
ここで場内のムードがガラリと切り替わります。ステージの壁面には赤と青の照明が縦に交互に投影され、情熱的な色彩に包まれる中、「ワインレッドの心」がスタートしました。
前曲の極限まで溜めたスローテンポと比較すると、オーケストラが刻むビートはむしろ心地よく、速く感じられるほどでした。その躍動感あふれるアンサンブルに乗せて、玉置さんも実にリズミカルに言葉を紡いでいきます。この日の玉置さんのボーカルは、一言一言の節々にとても力強さが宿っていました。流麗なメロディーラインをなぞりながらも、時折見せるエネルギッシュなアクセントが印象に残りました。
ワクワク感を煽るような間奏を経て、メドレーは「じれったい」へと突入します。前奏が始まる瞬間、大友さんが横へ大きく腕を振りかぶるダイナミックなモーションを見せると、オーケストラの演奏は一気に激しさを増し、楽曲のリズムはさらに加速していきました。
この日の玉置さんの歌唱で特に印象的だったのは、サビの
もっと もっと知りたい
というフレーズです。ライブではテンションを上げるようにメロディーを崩して歌うことも多いこのパートですが、この日は2回とも、原曲通りの旋律でまっすぐに歌い上げました。
リズム先行の2曲から一転、雄大なブラスセクションの響きとともに「悲しみにさよなら」が幕を開けます。玉置さんと大友さんが正面から対峙し、互いの呼吸を読み合いながら慎重に、かつ情熱的にリズムを合わせていきました。
Aメロに入ってからも、まずは二人が向き合って入りのタイミングを完璧に共有。その後、大友さんはオーケストラへと向き直りますが、その指揮動作が実に印象的でした。身体を左右にゆったりと揺らしながらリズムを刻む大友さんの姿は、観ているこちらの心まで弾ませるような躍動感に溢れていました。
サビでは、ステージがややスリリングになる瞬間もありました。
でも泣かないでひとりで
の部分で、玉置さんの歌がわずかに走り気味になる場面がありました。しかし、瞬時に声を長く伸ばしてスピードを調整し、見事にオーケストラの演奏とタイミングを合わせました。
その直後の、
あなたのそばにいるから
では、玉置さんが客席に向けて力強く手を伸ばします。同曲のこの位置でこうした明快なジェスチャーを見せるのは珍しく、かなり意外な光景に映りました。
サビラストの歌詞アレンジ、
愛を世界の平和のために
のフレーズでは、歌声をあまりメロディーに乗せず、語気を強めて直接心に訴えかけるような語りのスタイルを披露。とても強い意志が伝わってくる歌声でした。
ラストサビに向かうにつれ、金管楽器の響きはさらにゴージャスさを増し、重厚な音の壁を突き抜けるように玉置さんの力強い歌唱が響き渡ります。この右肩上がりに熱量が増していく構成は、まさに圧巻の壮大さでした。
そして、曲の締めくくりは玉置さんのノーマイク歌唱。マイクを完全に腰の位置まで下げ切り、生の声だけでホールを震わせるパワフルな絶唱が響きました。最後は
悲しみにさよなら〜
と、そっと胸に手を添えて、深い愛を込めるようにメドレーを完結させました。
12. JUNK LAND
冒頭から、大友さん特有の疾走感あふれるスピードで曲が展開されます。もはや爆速とも言えるテンポの中、序盤から玉置さんの感情豊かなジェスチャーが際立ちました。
クネクネ曲がった坂を登ろう
ではお馴染みの手を蛇行させる動きを、直後の
僕のスピードは誰も変えることができない
では力強く手を前に出す動作を見せ、その一挙手一投足に観客の熱量も高まっていきました。
こうした玉置さんの気迫に呼応するように、
待ってる人のその前で
泣いてる人のその前で
のパートから客席で大きな手拍子が発生しました。しかし、この曲はリズム隊がおらず、ストリングスや木管楽器、ピアノの繊細なアンサンブルが主軸となる構成です。外部からの手拍子というバイアスは、オーケストラの生音を頼りに歌う玉置さんのリズムを乱しかねない危うさを孕んでいました。
ここで大友さんが見せた姿には、鬼気迫るものがありました。身体はオーケストラを向き、右手で指揮を振り続けながらも、左手を客席側へブラブラと向け、必死の形相で手拍子の静止を促します。それでも鳴り止まない手拍子に、会場には強烈な緊迫感が走りました。しかし、その逆境をねじ伏せたのは玉置さんのパフォーマンスでした。本パートのラスト、
愛してる人のその前で
では、何事もなかったかのように手を客席へ大きく広げ、溢れんばかりの愛を披露。普段以上の大きなジェスチャーには、どんな状況下でも最高のパフォーマンスを作り上げるという、玉置さんの揺るぎない気概や意地のようなものを感じました。
その後、一度は収まった手拍子が2番の始まりで再燃した際も、今度は大友さんが右手を鋭く振って制し、ようやく場内はパフォーマンスに集中できる環境を取り戻しました。
曲が転調を迎えると、それまでの重苦しいライティングが一気に真っ白な光へと変わり、視界がパッと開けます。観客の手拍子による緊張感を潜り抜けた後だからこそ、この瞬間に訪れた安堵感と開放感は、聴衆の私にとってこれまで以上に格別なものとして胸に迫りました。
曲のラスト、玉置さんと大友さんは正面から対峙します。玉置さんが繊細な裏声を這わせ、大友さんがそれを丁寧に引き出していく。その極地において、二人の呼吸は寸分違わず重なり合い、完璧なフィニッシュを迎えました。
曲が終わった瞬間、玉置さんはマイクを置き、大友さんは指揮台を飛び降ります。そして、二人はステージ中央で熱い抱擁を交わしました。それは、波乱のステージを共に乗り越えた二人にしか分からない、深い信頼と凄まじい達成感に満ちたような光景でした。
13. 夏の終りのハーモニー
激動の前曲を終え、再び王道的なシンフォニーの壮大な響きが会場を包み込みます。この曲では、玉置さんの声量のコントロールと、繊細な表現が卓越していました。1番サビ前の、
それが僕と君のハーモニー
では、玉置さんが強烈なビブラートを披露。
ハ〜〜〜モニ〜
と声を震わせながら、マイクを上下に動かして声量の強弱を自ら作り出すことで、まるで寄せては返す波のような立体的な響きを生み出していました。サビラストの
いつまでもずっと忘れずに〜〜〜
のロングトーンは、繊細な細い声が長く保たれました。マイクを徐々に遠ざけていく演出も相まって、消え入りそうで決して途切れない、張り詰めた緊迫感が客席にもたらされました。
2番に入ると、その表現は一転して力強さを増します。1番ではビブラートが印象的だった、
夏の夜を飾るハーモニー
のパートで、今度はマイクを口元にしっかりと寄せ、パワフルな歌声をダイレクトに響かせました。
サビに差し掛かると、ステージには黄色い粒状のライトが星屑のように散りばめられ、歌詞の
星屑の間を揺れながら
を体現するかのような幻想的な空間が広がりました。
そして迎えたラストサビ、玉置さんは歌いながら丁寧にマイクをテーブルに置き、渾身のノーマイク歌唱へと移行します。マイクを介さずともホール全体を震わせる圧倒的なエネルギーと声量は、聴き手の魂に直接訴えかけるような凄みがありました。
最後、玉置さんが祈りを込めるように両手を身体の前で固く握り締め、
忘れず・・・に〜〜〜〜〜
とロングトーンを響かせます。大友さんは正面を向きながらもその無伴奏の歌声に全神経を集中させ、最大限の傾聴を持って絶妙なタイミングで指揮を再開。玉置さんの声とオーケストラの演奏が完璧に重なり合いました。玉置さんの歌声が止まると、客席からは自然と拍手が沸き起こりました。
オーケストラの演奏が終わるタイミングでは、玉置さんが再び両手を目の前で握り合わせ、充実感に満ちたジェスチャーを見せると、会場はさらに大きな拍手に包まれ、感動的な終結を迎えました。
曲が終わると同時に、会場は賞賛の嵐に席巻されました。下手側に大友さん、上手側に玉置さんが並び、二人は何度も力強く両手で握手を交わします。この日の素晴らしいパフォーマンスを互いに讃え合うその姿に、客席からは一人、また一人と吸い込まれるように立ち上がり、やがて会場全体が総立ちのスタンディングオベーションへと変わりました。
一度は袖に退いた二人でしたが、鳴り止まない拍手に導かれるように再びステージへ。この再登場で会場の熱気はさらに一段ギアが上がり、最高潮に達します。大友さんはオーケストラ側に一歩引き、主役である玉置さんを輝かせるように温かな拍手を送っていました。
再び両者が退場した後、今度は大友さんが一人でステージへと戻ってきました。そのまま迷いのない足取りで指揮台へと登り、次曲に移ります。
14. 田園
流暢なストリングス隊の演奏により、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」が響き渡ります。徐々にテンポを上げ、加速するリズムの中で一度静寂が訪れると、そこからは玉置さんの「田園」の旋律が顔を出し始めます。木管楽器が代わる代わる主旋律を奏で、アクセントを添えていきます。やがて、
生きていくんだ〜
それでいいんだ〜
というフレーズが奏でられると、ステージは華やかにライトアップされ、客席の手拍子と共にボルテージは最高潮に達しました。
そして、いよいよ前奏がスタートします。総立ちの観客から地鳴りのような手拍子が巻き起こる中、玉置さんが下手から登場。マイクを手に取ると、大友さんと向き合い、呼吸を完璧に合わせて前奏の発声パートを歌い出しました。
Aメロでは一転して手拍子が止み、フルートや鉄琴の軽やかな助奏が弾むようなリズムを作り出します。サビに入ると再び手拍子が再開され、会場は熱狂の渦に。玉置さんが
愛はここにある 郡山にある
と力強く歌い上げた瞬間、客電がパッと点灯。ステージと客席の境界が消え、まさに会場がひとつになった瞬間でした。
2番も1番と同様、軽快に進みますが、サビ前の
明日も何かを頑張っていりゃ
で劇的な演出が訪れます。突如として伴奏が止まり、深い紫の照明の中で白くライトアップされた玉置さんの姿だけがクローズアップされました。そのシルエットは非常に大きく、また神々しく映りました。ラストサビでは、
生きて・いくんだ
それで・いいんだ
と一言一言を区切るように力を込める、近年よく見せる語気を強調した歌唱スタイルで、歌詞に込められたメッセージをより鮮明に響かせました。
クライマックスでは、大友さんが最後の一音を豪快なシンバルに託し、玉置さんと真っ向から対峙します。大友さんが歌声を引き出すような情熱的な指揮を振ると、玉置さんの圧巻のシャウトがホール全体にこだましました。最後は、華麗に腕を巻き上げる大友さんの指揮と、マイクを天に突き出す玉置さんのガッツポーズが共鳴し、視覚的にもこの上なく美しいフィナーレを飾りました。
曲終了後、大友さんが指揮台を降りて玉置さんと握手を交わします。この時、玉置さんが右手にマイクを持っていたため、大友さんは玉置さんの左手に両手を添えました。マイクに触れてノイズが鳴らないよう、熱狂の直後であっても冷静に、かつ最大限の配慮を忘れないマエストロの振る舞いに深い感銘を受けました。
曲が終わると、会場を揺るがすような拍手の中、二人は一度ステージを後にします。しかし、鳴り止まない喝采に導かれ、再び姿を現した玉置さんと大友さん。大友さんがすぐさま指揮台へ登り、玉置さんが静かにマイクを握りしめると、客席の期待は爆発し、さらなる盛り上がりを見せました。
その熱狂を肌で感じながら、大友さんはゆっくりと観客席の方を向き、両手を毅然と下ろすジェスチャー🫳を二度繰り返しました。さらに、人差し指を口元に当てる仕草🤫で、静まるように合図を送りました。
15. メロディー
オーケストラによる短くも清らかな前奏が流れると、すぐさま玉置さんの歌声が重なります。
あんなにも好きだった…
この日は非常に珍しいことに、この歌い出しの瞬間に客席から拍手が起こりませんでした。それは、曲前に大友さんが見せた静まるようにというあの指揮が、観客の心に深く、鮮やかに功を奏した証でもありました。
この日の同曲は、玉置さんの丁寧な歌唱がより一層際立っていました。序盤の抑えたパートからサビの力強いトーンに至るまで、その歌声は驚くほど瑞々しく、ホール全体に染み渡っていきます。コンサートが佳境を迎え、客席側がどこか高揚感で浮き足立つ中、ステージ上の玉置さんが極めて高い集中力を維持しているのが、その声の密度から痛いほど伝わってきました。
ラストサビに向かう間奏中、玉置さんは静かにマイクをテーブルに置き、ノーマイク歌唱へと備えます。歌い始めたその瞬間、生の声であるにもかかわらず、力強い響きがダイレクトに客席まで届きました。特筆すべきは、1回目の
メ〜ロディ〜
泣きながら〜〜〜
で見せた裏声の美しさです。通常なら声量が減衰しがちな場面ですが、その澄み渡った高音は驚くほどしっかりと、観客席まで届いてきました。続く2回目の
メロ〜⤴︎ディ〜
では、一転して音程をグッと跳ね上げる力強い歌唱を披露。その緩急の付け方も見事でした。
続くロングトーン、
泣かないで〜〜〜〜〜
では、途中からオーケストラの伴奏が一段と激しさを増し、玉置さんの絶唱と共鳴。ステージのボリュームが最大に達したその瞬間は、まさにこの日のクライマックスを象徴するような神々しい響きに満ちていました。最後は祈りを捧げるように、
あの歌は心から聞こえてるよ
と静かに歌い上げ、有終の美を飾りました。
演奏が終了すると、再び下手側に大友さん、上手側に玉置さんが並び立ちます。二人は自然に手を伸ばし、大友さんの左手と玉置さんの右手でしっかりと手を繋ぎ合いました。そして、空いたもう一方の手を、誇らしげに客席の上層階へと指し示します。その姿は、この日の充実したパフォーマンスを象徴するような非常に美しい光景でした。
賞賛の拍手が鳴り止まない中、大友さんがコンマスに静かに指示を出し、再び指揮台へと向かいます。玉置さんもまた、静かにマイクを握り直しました。この瞬間、客席には次なる曲の期待感が一気に高まりました。
16. ファンファーレ
大友さんのゆったりとした指揮に導かれ、フルートの優雅な音色がホールに響き渡ります。ツアータイトル曲の始まりを告げるその旋律に、客席はこの日一番の大きな拍手で応えました。ハープの連弾と打楽器の連打、そして金管楽器が鮮やかにムードを引き上げると、音楽は一気に疾走感あふれる前奏へと転調。ここで玉置さんが客席に向けて両手を大きく広げると、観客を指揮するかのように一斉に手拍子が巻き起こり、会場のボルテージは一気に沸点へと達しました。
歌唱パートに入ると、ストリングス隊のピチカートと鉄琴の軽快な音色が助奏を担い、弾むようなリズムを生み出していきます。サビ前にはブラスセクションがゴージャスに鳴り響き、
そのまま生きていきなさい 行きなさい
のフレーズに合わせて音程が駆け上がるオブリガートが、期待感を極限まで高めてサビへと突入。玉置さんは
愛に向かって行きなさい
で力強く手を前に突き出し、圧倒的な熱量がダイレクトに伝わってきました。
間奏では、玉置さんの
ヘイ!
というシャウトが普段よりもわずかに溜めて放たれました。その直後、マイクをガッツポーズのように掲げて拍手を煽る姿に、場内はさらなる熱狂に包まれます。2番に入るとストリングスは重厚な弓弾きへと変わり、盛り上がりを維持したまま進行。その中で凛と響き渡ったトライアングルの高く澄んだ助奏は、熱を帯びたホール内に美しいアクセントを添えていました。
圧巻だったのは後奏のシーンです。玉置さんはシャウトを封印し、慈しむような表情で客席へ手を差し伸べ始めます。上層階から下層階へ、そして上手から下手へ。伴奏のテンポに合わせてゆっくりと、何度も何度も繰り返されるその動作は、一人ひとりに直接愛を与えているかのようで、とても胸が熱くなりました。
フィナーレに向かい、ティンパニの刻む静かなざわめきが緊張感を作り出すと、大友さんのダイナミックな指揮によって音の厚みは最大に。演奏が鳴り止むその瞬間、玉置さんがマイクを天に向かって高く掲げると、オーケストラの最後の一音と見事に一致した、完璧で美しい幕引きとなりました。
曲が終わった瞬間、会場は割れんばかりの喝采に包まれます。その熱狂の真ん中で、玉置さんはステージ中央に立ち、魂を込めて

ありがとう〜!!!
と叫びました。
その後、玉置さんと大友さんが一度ステージを後にし、コンミスが一歩前へ出て礼を捧げます。トップサイドと握手を交わし、楽団の退場が始まろうとしたその時、玉置さんが下手から、駆け足でステージへと戻ってきました。鳴り止まない観客の拍手に合わせ、自らも満面の笑みで拍手を送りながら、客席と楽団を見渡すように360度、ゆっくりとその場で回り始めました。その姿は、この場にいる全員への深い感謝に溢れていました。
さらに玉置さんは下手へ合図を送り、大友さんを再びステージへと呼び込みます。その後、玉置さんは上手端まで歩み寄ると、目の前の観客に向けてお辞儀をしました。続けて、オーケストラ全体へ惜しみない最大級のリスペクトを送りました。
主役二人が再び退場し、最後にもう一度、コンミスが客席に向けて深々と一礼。オーケストラに送られる万雷の拍手の中、終演のアナウンスが流れ、熱気が高まり切った素晴らしい雰囲気で、シンフォニックコンサート初開催となった福島・郡山公演が幕を降りました。
以下、本公演のセットリストです。
4. セットリスト
billboard classics
玉置浩二
LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026
“Fanfare”
3月26日
けんしん郡山文化センター 大ホール
セットリスト
【一部】
1. ファンファーレ(管弦楽)
2. 歓喜の歌(管弦楽)
3. GOLD
4. キラキラ ニコニコ
5. いつもどこかで
6. MR.LONELY〜サーチライト(メドレー)
7. Friend
【二部】
8. アンダンテ・フェスティーヴォ(J.シベリウス)
9. 純情
10. 行かないで
11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)
12. JUNK LAND
13. 夏の終りのハーモニー
【アンコール】
14. 田園
15. メロディー
16. ファンファーレ
5. 公演後の様子
公演後の会場の様子です。





今回、初めて訪れた同会場は、とても風情を感じる素敵な空間でした。こうした地方のホールで、玉置さんの歌声とオーケストラの生演奏が響き渡ることには、本当に大きな意義があると感じます。
今年のツアーも月を跨ぎ、いよいよ中盤戦に突入しました。これからさらに熱を帯び、進化していくパフォーマンスが楽しみです。
こばかず

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