玉置浩二 with 故郷楽団 ファンファーレ!!(10/15)@立川ステージガーデンの感想とセットリスト

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先日の10月15日、玉置浩二 with 故郷楽団 Concert Tour 2026 ファンファーレ!!@立川ステージガーデン公演に参加しました。

※本投稿では、公演のセットリストや演出を記載します。本ツアーは21会場30公演の規模で行われます。初日を迎えていない方や、ネタバレに抵抗のある方はご注意ください。

1. 公演前の様子

公演前の会場の様子です。

昨年開催されたソロツアー「blue eggplant field」で、初日の舞台となったのがここ立川でした。今年は全30公演のうち22公演目という、ツアー終盤での開催となりました。

2. サポートメンバー

本公演に参加するサポートメンバーは以下の通りです。

(敬称略)
・キーボード:トオミヨウ
・ギター:秋山浩徳
・パーカッション:中北裕子
・ベース:千ヶ崎学
・ドラム:濵﨑大地
・サックス/フルート:門田"JAW"晃介
・1stバイオリン:吉田宇宙
・2ndバイオリン:名倉主
・ヴィオラ:大辻ひろの
・チェロ:稲本有彩

本公演で、ドラムの濵﨑さんがツアー参加初日を迎えました。ツアー全体を通しても、濵﨑さんの参加はわずか3公演のみ。その勇姿を目にすることのできる、貴重な公演となりました。

一方で、公演当日の午前中には残念な知らせもありました。1990年代から2010年代まで、主に玉置浩二作品で数多くの作詞を手がけた音楽プロデューサーの須藤晃さんが、10月7日に永眠したという訃報が公式に発表されました。訃報は、須藤さんが創設した音楽制作会社、KARINTO FACTORYのサイトで以下のように伝えられました。

須藤晃 訃報 | KARINTO FACTORY
音楽プロデューサー須藤晃の訃報と特設アーカイブのご案内。KARINTO FACTORY

須藤さんの息子であり、長年にわたって故郷楽団のバンドマスターとしてツアーに帯同しているトオミヨウさんも、自身のXでその想いを綴りました。

3. 第一部の様子・各曲の感想

この日の座席は1階席中央ブロックのやや上手寄りでした。同ホールの1階席は、傾斜のない完全なフラット構造です。開演前は前方の観客の頭でステージが見えにくくなるのではと心配しましたが、想像していたよりもしっかりとステージを正面から捉えることができました。

18時、定刻に場内が暗転し、コンサートが幕を開けます。この日はサポートメンバーが入場してから、なかなか演奏が始まらない無の時間がかなり長く続きました。

1. ファンファーレ(Instrumental)

すると、ピアノやツリーチャイムがざわめくように鳴る導入部から、曲が立ち上がります。途中からは門田さんの縦笛が積極的に絡み、尺八を思わせる和の趣を帯びたサウンドを形づくりました。

そのまま門田さんが、ゆったりと前奏を奏で始めます。ステージを横から白いライトが貫き、神秘的な空間が広がりました。この日は管楽器の音色だけでなく、弦による弾奏もかなり存在感を主張していました。その鳴りから、会場の音響の良さをはっきりと実感しました。

2. あこがれ(Instrumental)

濵﨑さんと中北さんが、スネアドラムのロールを刻みます。乾いた音がくっきりと際立って耳に届き、そのシャキッとした輪郭もまた、同ホールの音響ならではの特徴でした。

同時にスクリーンには、大自然の風景が映し出されます。その画質が非常に鮮明だったことも、この日の嬉しいポイントでした。その後、弦とピアノの合奏で曲の本編へ移ると、まるでメンバーが大自然の只中で演奏しているのではないかと錯覚するほど、映像と演奏が溶け合っていました。

曲の途中で演奏が一時中断し、トオミさんの的確な四拍子の指揮で、再び打楽器のロールが刻まれます。ここではバスドラムも加わり、音に重厚さが増しました。さらに途中から千ヶ崎さんのウッドベースも入り、いっそう重みのあるサウンドになりました。

そして最後は再びアンサンブルへ。打楽器が依然として大地を踏み締めるようなリズムを刻む中、スクリーンの風景が晴天の山岳へと移り変わり、爽やかな余韻を残してインストゥルメンタルが締めくくられました。

3. 希望の光

トオミさんが奏でるシンセサイザーの音色が、場内にじわりと浸透していきます。同時に、ステージは暗闇に包まれました。ここで玉置さんが上手から登場。客席からは盛大な拍手が送られました。

玉置さんが歌い始めると、深みのある歌声が上質な音響に乗って、客席まで運ばれてきました。まるで目の前で歌っているかのような、距離の近さを思わせる鳴り方でした。

途中からは弦の演奏が加わり、より神聖な雰囲気が漂い始めます。玉置さんは手を前に出すジェスチャーを交えながら歌い進め、そのシルエットがスクリーンに映し出されました。この日、語気がぐっと強まったのは、

ここからだ ここからだ ここからやるんだ

のフレーズです。言葉の一つひとつを押し出すような、パワフルな歌い方でした。

最後は完全な無伴奏で、

希望という 君がいると

と歌い上げます。聴衆を強く説得するかのような、芯の通った歌声が余韻を残し、曲が終わりを迎えました。

4. 海路

ピアノの前奏で曲が幕を開けます。ステージは鮮やかな青色に染まり、客席へは白いライトが差し込んできました。この日はこの照明がとても眩しく、こちらへ迫ってくるようでした。

Aメロは、ピアノの伴奏に合わせて玉置さんが歌う形です。乾いたピアノの音色が弾むように高鳴る一方で、玉置さんの歌声は低音がよく鳴るもの。異なる特徴を持った二つの音が巧みに混ざり合い、素晴らしいコンビネーションを生み出しました。

1番のサビで大ぶりなジェスチャーが飛び出したのは、

夢遥か 遠き空に 愛がある

のところです。玉置さんは視線を客席の奥へと見定め、左手を前に差し出しました。

2番終了後の間奏は、濵﨑さんのドラムと弦カルテットの演奏が一気に流れ込む形です。この場面、ぴたりと息の合った入りからアンサンブルが展開され、思わず惚れ惚れしました。

歌唱パートのラストは、玉置さんの姿を強調する演出で幕を引きます。それが、

成れの果て 僕を知り 愛になる

のところです。「成れの果て 僕を知り」の後に濵﨑さんのドラムがシンプルに連打されると、すぐさま玉置さんの「愛になる」の歌声が入ります。この瞬間、ステージの明かりが落ち、玉置さんの姿がくっきりと浮かび上がりました。

その後の後奏では玉置さんが叫びます。門田さんのテナーサックスが乱れるように助奏を重ねる中、溌剌としたシャウトが場内を駆け抜けました。

曲後は玉置さんがサポートメンバーに手を向け、そのパフォーマンスを讃えました。続けて、両手を客席の方へもまっすぐに伸ばしました。

5. ムダな汗(Instrumental)〜R-『★』指定

中北さんのソロパフォーマンスから幕が上がります。鳥笛を吹きながら、パーカッションを叩き上げました。

そこへ繋がるように、「結界」の前奏が流れ出します。同時にスクリーンには、浜辺を駆ける馬の姿や、瞳をアップで捉えた映像が投影されました。ここで玉置さんは過激なシャウトを重ねます。マイクスタンドの前に立ちながらも、上手を向いてのシャウト。客席からは大きく口を開けた横顔が見える分、より迫力が伝わってきました。またこの場面では玉置さんのあまりの熱演ぶりに、その後方にいる吉田さんが思わず笑っている様子も確認できました。

イントロが終わると、次なる演出へと移っていきます。スクリーンに雷雨の映像が映し出され、場内にもその音が物々しく鳴り渡りました。するとステージ上手に動きが出て、秋山さんのエレキギターと打楽器隊の演奏が加わります。重量感のあるハードな演奏音が入り乱れ、物騒な雰囲気はさらに高まりました。

ここで玉置さんはMartin D-28Mを構え、ステージ前方へと移動しました。

続けて、秋山さんのエレキギターが本編の前奏を奏でます。すると、それまでの荒々しい演出が嘘だったかのように、立派なサボテンが二本生えた爽快な青空がスクリーンに映し出されました。

歌唱パートに入っても、引き続き秋山さんのギターが見せ場を作ります。小刻みにリズムを取りながらグルーヴを紡ぎ、曲を前へ前へと加速させていきました。玉置さんは身振り手振りを交えながら歌い進めます。この日は、

エメラルドグリーンの瞳をしたアンニュイな奴

でピンと手を前に伸ばしました。

サビでも、玉置さんのダイナミックなジェスチャーが飛び出します。

網にかかったチョウチョを捕って
空へ返せと教えられたろう

で空を指差したのち、チョウチョが舞うように手をグイグイと上げる動作をしてみせました。このとき、スクリーンでも同じくして白いチョウチョが空を舞います。玉置さんのジェスチャーとスクリーンの演出が、ぴたりとシンクロした瞬間でした。

2番終了後の間奏は、玉置さんと秋山さんによるギターセッションです。玉置さんが秋山さんのもとへ駆け寄り、互いのギターで掛け合いを繰り広げました。

ラストサビでは玉置さんの歌詞がやや出てこないように見えたパートもありました。それがラストフレーズ、

なんの保証もない 金なんかじゃ買えない
自由という名の羽根があったろう

のところです。ワンテンポ遅れてフレーズが入り、語り口調の歌い方になりました。この場面、玉置さんはやや苦笑いを浮かべているように見えました。その分、次の演出へ向けた突き抜けるような裏声も、かなり遅れて入りました。

直後には、弦カルテットと秋山さんのギターが交差する刹那の演出が繰り広げられます。玉置さんは、ステージの真反対に位置する両者の姿を指差しました。照明も下手端と上手端を瞬時に照らし出して両者の姿を強調し、本曲のハイライトの一つを飾りました。

6. 愛してんじゃない

門田さんがその場に立ち上がります。黄金色のライトがこれでもかというほど輝かしくその姿を照らし、テナーサックスのソロプレイが幕を開けました。この日の演奏は、高低の音域がとても広く取られたものでした。前半は渋い低音域の音色をズッシリと鳴らし、演奏が進むにつれて音が上がっていき、最後は畳み掛けるように高音を轟かせました。

玉置さんはGIBSON SJ-200を構えます。曲の本編に入ると、リズム隊が抜群のグルーヴを作り出しました。千ヶ崎さんのベースと濵﨑さんのドラムが、ズシズシと重い音色を刻みます。音がよく鳴る会場だからでしょうか、普段以上にお腹の底まで伝わってくる感覚がありました。さらに、玉置さんのゾクゾクするような低音の歌声が、そこへ拍車をかけるように重なります。鳥肌が立つようなこの独特な緊張感は、本曲でしか味わうことのできない唯一無二のものでした。

2番では早速、玉置さんのジェスチャーが見られました。その冒頭、

結ばれてほどかれて
瞬くように闇に消えた 冬の花火よ

のところです。玉置さんが両手を結び、そしてその手をほどく動作で、フレーズをそのまま再現してみせました。

曲のラストにかけて、

愛してんじゃな〜〜い

とリフレインするパートでは、玉置さんの伸びやかな歌声が場内を満たします。序盤の地を這うような低音からは、声質がまるっきり変わりました。

そして締めくくりを担うのは、濵﨑さんのドラムソロです。玉置さんのシャウトから繋がるように、パフォーマンスがスタートしました。序盤はシンプルなロールで始まり、しばらくするとその場に立ち上がって、破壊せんばかりの勢いでシンバルを強打します。そして最後は段階的にスピード感が増していくドラミングを披露しました。

ツアー参加初日とは思えないほど完成度が高く、気持ちのこもったパフォーマンスに、客席からは演奏の途中で早くも拍手が湧き起こりました。ここで玉置さんも応酬するように猛々しく叫び、曲はフィナーレを迎えます。そのシャウトもまた、濵﨑さんの熱量がそのまま乗り移ったかのような、普段以上に気合いの入ったものでした。

曲後は玉置さんが濵﨑さんと門田さんに手を向け、曲の前後でソロパフォーマンスを担った両者を称えました。

7. ショコラ

千ヶ崎さんのベースソロが静かに立ち上がります。落ち着いたフレーズが耳に残る、じっくりと聴かせるスタイルです。ホールには張り詰めた空気が流れました。

玉置さんは有線のエルヴィスマイクを手に、前方へ移動します。すると、濵﨑さんがドラムスティックで鳴らす小さなカウント音を合図に、曲がスタートしました。

この曲で際立っていたのは、サビで聴かせる玉置さんの裏声です。独特な形状をしたエルヴィスマイクを両手で包み込むように持ち、前屈みになって叫ぶように歌声を吹きかける、感動的なパフォーマンスでした。さらにそこへ弦の高音が交わるように重なることで、よりドラマチックな世界が描き出されました。

2番終了後の間奏は、サビを引き継ぐように、そのまま吉田さんのバイオリンが口火を切ります。この日はサビからの流れがとてもスムーズで、実に綺麗な繋がりでした。途中からは秋山さんのエレキギターがその旋律を受け継ぎ、存在感たっぷりの音色を鳴らしました。

曲の終了後、玉置さんが特別なパフォーマンスを披露します。エルヴィスマイクに向かって、三度キスをしてみせました。これまでの公演でも同様の演出はありましたが、この日はその三度すべてでリップ音まで鳴らしたことが傑出していました。

8. MR.LONELY

秋山さんのエレキギターが高らかに鳴り、ソロパフォーマンスがスタートします。途中からは濵﨑さんのドラムも演奏に加わり、この演出に彩りを添えました。

このギター演出を抜けると、シンプルなドラムの演奏で曲の前奏へと移ります。玉置さんはGIBSONのシェリルを構え、ステージ前方へと移動しました。

歌唱パートに入ると、引き続きドラムがリズムを取る中、トオミさんのピアノと秋山さんのギターが伴奏を担う、とてもシンプルなサウンドで曲が進行します。玉置さんはギターを弾きながら歌い進めました。

この日の玉置さんは、パワフルな地声を軸に据えた歌い方でした。珍しく1番のサビ前にも「WOW」と叫んでから入ると、

君が優しかったから 僕は元気で〜〜いるから

では実に伸びやかな歌声を披露しました。

一転して、その後の間奏の発声部では裏声を紡いでいきます。ここでは門田さんのテナーサックスが寄り添うように、同じメロディーをなぞりました。

曲のラスト、アウトロの発声部では玉置さんがマイクから離れて叫びます。10月12日の広島公演2日目に続き、この日もステージ下手側へ移動してのパフォーマンスとなりました。このパートはトオミさんのピアノだけが伴奏を担当するため、二人が近づいた形です。それ以前の公演で見られた上手側へ移動する動線よりも、こちらの方がしっくりくるように思いました。

曲後は玉置さんがサポートメンバーに手を向けます。ここで退場となる、門田さんから数えて上手側の五名のメンバーに向けて、包み込むように両手を広げてみせました。

9. やせっぽちの星

トオミさんのピアノが導入部を奏で始めます。哀愁漂う音色が、場内を落ち着いたムードへと塗り替えました。

演奏はそのまま前奏へと続きます。スクリーンには、暗闇の中を二筋の星が追いかけるように流れる映像が投影されました。

序盤はトオミさんのピアノだけが伴奏を担う、静かな雰囲気の中で曲が進みます。玉置さんが歌い始めてしばらくすると、スクリーンの映像はCherryのイラストへと変わっていきました。丘や草原、浜辺など、様々な場所を冒険するようにひたすら歩く、チャーミングなスケッチが次々と展開されました。

スタートから芯の通った歌声を保ってきた玉置さんですが、1番の終了間際、突如として変調をきたしました。それが、

ずーっときみのことばかり 考えているよ

のパートです。玉置さんは急激に声を詰まらせながら歌いました。とりわけ「考えているよ」の歌声は、あまりにも切実な響きを伴っていました。

この直後には弦カルテットの演奏が加わり、間奏へと移ります。玉置さんの切なさを引き継ぐかのようなセンチメンタルな音色が、胸の奥にグッと沁みてきました。

2番では持ち直したものの、最後の最後で再び玉置さんの声量が減衰します。曲のラストフレーズにあたる、

ずーっときみの 幸せを 歌っているから

のパートです。ここでも玉置さんは声を詰まらせながら歌いました。この部分の伴奏は、トオミさんのピアノのみ。ステージの演奏を目にしながら、午前中に発表された訃報について思いを巡らさずにはいられませんでした。

そして、トオミさんの綺麗な四拍子の指揮によって、重厚なストリングスのエンディングテーマが流れます。ここで玉置さんが退場。客席から送られる盛大な拍手に包まれながら、ステージを後にしました。やがてスクリーンにはCherryの実写が画面いっぱいに映し出され、第一部が深い感動とともに幕を閉じました。

このとき、ステージに残って最後まで演奏を担ったトオミさんの様子に注目していました。すると、トオミさんは座ったまま胸に手を当て、撫で下ろすように礼をしてから、ステージを去っていきました。奏者もまた、様々な想いを胸に抱きながらステージで演奏しているのだと実感したシーンでした。

ここで客電が点灯し、公演はインターバルへ。スクリーンには、

休憩中
Break Time

の文字が表示され、静かに幕間に入りました。

4. 第二部の様子・各曲の感想

約20分の休憩を挟み、第二部が始まります。サポートメンバーが続々とステージに姿を現し、所定の位置につきました。

10. 希望の光(Instrumental)

トオミさんのピアノが先行し、稲本さんのチェロがそれに続きます。さらにバイオリンとヴィオラも加わっていく導入部で、第二部のインストゥルメンタルが幕を上げました。

一瞬の静寂ののち、門田さんのソプラノサックスが奏で始めたのは、

また出口のない この迷路の中
もう破れそうな この地図は捨てよう

の主旋律です。突き抜けるような音色が、ホールの隅々まで行き渡りました。

続いて、主旋律は秋山さんのギターへと移り変わります。この頃には全体がアンサンブルとなり、ギターがメロディーを担うことで、その存在感が一歩前に出る形になりました。ギターが奏でたのは、

ここからだ ここからだ ここからやるんだ
さっきまでのこの男に さあ、ケリをつけて

の旋律です。弾むように軽快な音色が場内を駆けていきました。

そして曲はもう一巡し、今度はバイオリンが華やかに演奏を始めます。会場の上質な音響に乗って、音がぐんぐんと迫ってきました。今にも音が割れてしまうのではないかと思うほど、ギリギリを攻めながら高らかに鳴り渡りました。

最後はトオミさんのピアノが静かに曲を収め、第二部のインストゥルメンタルが終了しました。

続けて、高低の音色が豊かな弦カルテットの前演奏がスタートします。ここで玉置さんが、再びステージに姿を現しました。

11. 花束じゃなくキミといたい

玉置さんがエルヴィスマイクを持って前へ出ます。トオミさんのピアノが前奏を奏で、曲が動き出しました。

この曲は極限まで削ぎ落とされたシンプルな編曲で、伴奏はトオミさんのピアノのみ。玉置さんのつぶやくような歌声が、深みを持って聴こえてきました。フレーズ間のブレスまでしっかりと確認できるほどの落ち着きと、張り詰めた空気感の中で、パフォーマンスが展開されました。

ライティングも両者を強調する演出です。冒頭はシンプルに二人の姿を上空から同じ角度で照らし、曲が進むにつれて、今度はステージから客席へ伸びる赤紫のライトが次々と増えて交じり合っていきました。

曲後には玉置さんがトオミさんに手を向け、トオミさんがお辞儀をしてそれに応えるシーンがありました。二人の阿吽の呼吸が際立った一曲でした。

12. 命の宿り

暗いステージで、ただ一人吉田さんがその場に立ち上がります。ここでバイオリンのフレーズを一つ奏でました。第一部では各メンバーのソロパフォーマンスが長めに取られていることを考えると、このパートももっと時間をかけて聴いていたいと思うほど、素敵な音色でした。そして、高音が流暢に流れる前奏がスタートしました。

玉置さんは前曲から引き続き、エルヴィスマイクを持って歌います。前日にMVが発表され、それを見た影響からか、この日の玉置さんの歌い方は細かな部分まで原曲に忠実だったように思いました。MVは以下からご覧いただけます。

1番終了後の間奏は、バイオリン・ヴィオラ・チェロの三本が主旋律を担当します。Vn.吉田さん・Va.大辻さん・Vc.稲本さんによるトリオの演奏です。ここで玉置さんは、ストリングスとは対の位置にいる秋山さんとアイコンタクトを取りました。秋山さんも玉置さんの方を見て、互いに微笑み合いました。

曲後には玉置さんが客席に向けてガッツポーズを決め、頼もしい一面を覗かせました。

13. サーチライト

中北さんが贅沢な間を取りながら、鐘の音を三回鳴らします。玉置さんは前曲まで使用したエルヴィスマイクをテーブルに置き、ステージ後方のマイクスタンドからマイクを取り外して前に出ました。三度目の音が鳴ったとき、玉置さんの姿が照明によって大きく照らし出されました。

そして、中北さんがツリーチャイムを鳴らす合図で曲が動き出します。この日は濵﨑さんのドラムもわずかにリズム音を入れ、客席にいるこちらにも始まりのタイミングがよく分かる入りとなりました。こうした絶妙な演出を他の観客も肌で感じたのか、前奏に入った瞬間、一斉に拍手が起こりました。同時にステージから客席へオレンジ色のライトが眩しく伸び、輝かしい光景が眼前に現れました。

この日の玉置さんの歌い方は、普段以上に気持ちがこもっていたように感じられました。ところどころで表情を歪めながら歌い、どこか悲しみを堪えているような様子が伺えました。また、序盤に玉置さんが歌う低音が、会場の上質な音響によって客席までよく届いてきました。それが玉置さんの面持ちと相まって、ずっしりとした重厚感を帯びていました。1番終了後の間奏では早くも客席から拍手が起こり、玉置さんが深々と礼をしてそれに応えました。

2番を経てラストサビへと向かいます。

サーチライトはそうなんだ
君なんだ 君なんだ

では玉置さんが右手を前に伸ばし、上層階から下層階へ流れるように手を差し伸べました。この日はこのジェスチャーが普段以上に丁寧に映り、客席の隅々までを手で覆うようでした。

曲の終わりには、トオミさんが右手を握る終止の指揮に合わせて、玉置さんがマイクをその方向へ突き出すポーズを決めました。タイミングがピッタリと合った演出でした。

14. 熱視線

骨太な濵﨑さんのドラムのリズムで、曲が走り出します。隣の中北さんは、スイカのような見た目をした「シェケレ」という打楽器を思い切り振り、シャカシャカとした音色でアクセントを加えました。この瞬間、観客が総立ちになります。大きな手拍子がリズムを取る、大盛況の立ち上がりとなりました。さらにステージから客席へ強い光が差し込み、眩いほどに場内を照らしました。

玉置さんはスタッフからFENDERのマイケルを受け取ります。金色のボディーが身体の前で輝きました。

1番では玉置さんが歌いながら、PAに指示を出す場面がありました。それが、

ひきとめる指先 忘れられなくなる夜に 踊ろう

のパートです。歌詞に合わせて右手を前に出しながらも、左手は耳元に近づけて指を伸ばし、音を上げるようにジェスチャーを送りました。

この日特に記憶に残ったのが、各サビ前に三発放たれる「ドン・ド・ドン」というリズム音です。普段以上にシャキッと引き締まった音色が、ぐっと強調されて聴こえました。続くサビでは、1番の

熱い視線つらぬいて

で玉置さんが両手からビームを放ちました。この瞬間、客席から歓声が沸き起こりました。

2番では玉置さんの歌唱が激しさを帯びていきます。序盤の

からっ風みたいに不意にからむから
嘘が下手な人だ

や、サビの

今すぐにあなたのままで 燃える恋に身を投げて

で、叫ぶように歌い上げました。

その後の間奏は打楽器のパフォーマンスです。濵﨑さんと中北さんが勇ましくリズムを刻みました。続けて、門田さんのサックスが主旋律を演奏します。テナーの輝かしい音色が場内を満たしました。

続く

全てを失くしても あなたを愛していたいだけ 踊ろう

の直後には、ブレイクの演出が三度挟まれます。演奏が止まるたびに、玉置さんがポーズを決めました。二回目までは右手で顔を覆い、三回目は手を前に出して決めポーズを披露。そのたびに客席が沸き立ちました。

そしてラストサビが動き出すと、途中から玉置さんがマイクから離れ、観客の合唱になります。まず、

抱きしめて揺れる瞳に 熱い視線つらぬいて

のパートでは上手端まで移動しました。続けて、

今すぐにあなたのままで 燃える恋に身を投げて

では下手端へと足を運びました。いずれも玉置さんはステージの両端までワイドに歩み寄り、目の前の観客に応えました。

曲のラストもカッコ良く決まります。玉置さんがリズムに合わせて手を前に三連発で出し、シンプルに曲が終わると、瞬く間にステージが明るくなりました。それと同時に、観客から盛大な拍手が起こりました。

しばらくすると、玉置さんが再始動します。大胆に打楽器隊の方向へステップを踏むと、怒涛のロールが乱れ打たれました。このエンディングはかなり長く続きました。ここで玉置さんは、曲終了の合図役にトオミさんを指名。トオミさんは立ち上がり、左手を大きく上げて振り下ろす指揮で、鮮やかに曲を締めてみせました。

メンバー紹介

ここまでステージの大盛況を生み出してきたメンバーの紹介へと移ります。玉置さんがギターを持ったまま、上手のメンバーから順に担当楽器と名前を呼び上げました。

パーカッション:中北裕子
ドラムス:濵﨑大地
ギター:秋山浩徳
ベースギター:千ヶ崎学
サックス:門田"JAW"晃介
1stバイオリン:吉田宇宙
2ndバイオリン:名倉主
ヴィオラ:大辻ひろの
チェロ:稲本有彩
サウンドプロデュース&アレンジ、キーボード:トオミヨウ

この日はメンバー紹介も一風変わった演出になりました。各メンバーが紹介されるたびに、濵﨑さんがドラムを叩いてリズムを添えます。観客の拍手に重なるように音の厚みが増し、紹介の場面に迫力が加わりました。

秋山さんの紹介後、玉置さんはすぐにギターをスタンドに立てかけました。その足で秋山さんに向けてステップを踏み、玉置さんはエアーで、秋山さんは実際にギターを振る動作で応え合いました。

トオミさんの紹介後は玉置さんがトオミさんのもとへ歩み寄ります。そして、両者が温かみのあるハグを交わしました。玉置さんは普段以上に強く懐へと迎え入れ、トオミさんは両手を玉置さんの脇の下へと深く潜らせました。二人が身体を解くと、玉置さんはトオミさんを労わるように見つめます。その眼差しからは、慈愛に満ちた優しさが溢れていました。

15. JUNK LAND

イントロが鳴り出すと、アップテンポなリズムがホールに戻ってきます。玉置さんはSCHECTERのフルアコを構えました。冒頭、

どっち行く どっち行こう

の歌い出しの直前、目を引くシーンがありました。玉置さんが手を高く掲げ、空に向けて指を差したのです。この日、特に気持ちがこもっていたように映った「サーチライト」も、こうした特徴的な仕草が見られた「JUNK LAND」も、作詞は玉置さんと須藤さんの連名による共作です。ステージで見せる玉置さんのこうした様子から、追悼の意を感じずにはいられませんでした。

この曲では千ヶ崎さんのベース音が地を這うように鳴ります。会場の良好な音響に乗ってズシズシと音が押し寄せ、うねるようなグルーヴを形づくりました。

中盤、

待ってる人のその前で
泣いてる人のその前で

のパートではバイオリンコンビが躍動します。吉田さんと名倉さんが、頭を振り乱しながら猛然と演奏を繰り広げるヘッドバンギングを披露。これによって、過激なムードが場内に漂いました。

このパートのラスト、

愛してる人のその前で

では玉置さんの身振りが一段と大きくなります。両手を前に出し、観客を煽るように手招きをしました。この身振りは、最近の公演で手の振り方が変わったように見受けられます。以前は両手を包むように広げる姿でしたが、ここ数公演は「来いよ、来いよ」と言わんばかりの動作で、よりワイルドな姿になりました。

2番を終え、曲が伸びやかに転調していくパートでは、バックのメンバーが客席に向けて大きく手拍子を煽ります。ステージと客席、まさに会場が一つになった瞬間でした。

そして今度は、合唱によって場内がまとまっていきます。玉置さんがマイクから離れ、両手を大きく前に出して、

ガラクタだけど 心を込めて
緑の丘で 二人で暮らそう

のパートで観客に合唱を促しました。この場面で合唱に加勢するのは、観客だけではありません。サポートメンバーも唱和に加わっていきました。とりわけ吉田さんは、コーラスとは思えないほどの凄まじい勢いで大きく口を開けて歌い上げ、ステージ上でもひときわ目立っていました。

ここまで手拍子や合唱で曲を勢いづけたメンバーたちも、次第に演奏へと戻り、今度はアンサンブルが一つにまとまっていきます。手拍子から合唱、そして演奏へと主役が移り変わっていくそのグラデーションが、とても美しく映りました。

その後、間奏が奏でられるところで、玉置さんがまた一つ目を引くアクションを繰り出します。ステージの後方を向き、バンドメンバーに対して大きく指揮を振ってみせました。身体を揺らし、左右へと向きを変えながら展開されるそのモーションは、まさにマエストロのそれでした。

そして曲が玉置さんの強烈な裏声で結ばれると、演奏が止まり、一瞬の静寂が訪れます。それを破ったのはステージの演奏ではなく、煽るような観客の歓声でした。

観客
観客

Foo〜!

こうした声援がステージに飛び、展開は玉置さんと観客のコール&レスポンスへと移りました。最近のこの場面は、もはや玉置さんのコールが起点になっているわけではなく、観客の焚き付けるような歓声が発端になっているように思われます。この日も普段と同様に、裏声・地声・「JUNK LANDで〜」の歌詞パートの順で受け渡しが行われました。いずれも回を重ねるごとに音程変化の難易度が上がっていき、観客は必死に食らいつきました。ステージの後方ではサポートメンバーがその音程の変化を、手を上下に動かしながら表現しました。そして最後は玉置さんの苛烈な叫びがクライマックスを飾ります。

玉置さん
玉置さん

J・U・N・K
L・A・N・D
で〜〜〜!!!

ロングトーンの途中で、客席からは拍手が巻き起こりました。

その後、玉置さんが両手でレスポンスの指揮を送り、曲はフィナーレへと向かいます。

玉置さん
玉置さん

JUNK🫵🫵
LAND🫵🫵
で〜〜☝️☝️

この曲でも、エンディングの合図役をサポートメンバーに任命する玉置さん。ここではツアー参加初日となった濵﨑さんにその役を託しました。濵﨑さんがその場に立ち上がってダイナミックな動作でドラムを叩き、曲が終了しました。

16. 田園

続けざまに、アップテンポな曲が始まります。この瞬間、全員のタイミングがピッタリと揃い、弦カルテットの四名がその場に立ち上がりました。玉置さんはMartin D-45SのDENENモデルを構えました。

※リンク先と写真のギターは、本ギターのモチーフとなったモデルです。

この曲もまた、詞は玉置さんと須藤さんの共作です。ここでも玉置さんは、前奏の最中に空へ向けて指を差しました。

Aメロに入ると、吉田さんの大きな動作を筆頭に、ここでもサポートメンバーが手拍子を煽っていきます。会場はもの凄い熱気に包まれながら進行しました。

サビでは玉置さんが

愛はここにある 立川たちかわにある

と歌い上げました。ここで客席のボルテージがもう一段階跳ね上がり、その勢いのまま、玉置さんの指揮によって続く間奏の発声パートは合唱へとなだれ込みました。

2番のAメロは、お待ちかねの吉田さんのバイオリンと門田さんのテナーサックスによるセッションです。吉田さんがカルテットの登る台の最端まで移動し、門田さんに猛アプローチ。門田さんも吉田さんの方へ振り向き、両者が楽器で掛け合いを繰り広げました。他のメンバーもこの様子に注目します。ステージの逆サイドに位置する秋山さんはこの応酬に視線を送り、中北さんもドラムスティックを二人の方へ突き出して、その姿を強調しました。

その後のBメロ、

何も奪わないで 誰も傷つけないで
幸せひとつも守れないで

からは、弦が小刻みなリズムを刻み、曲を推し進めていきます。この躍動感あふれる演奏が、個人的にとても好みです。1番の手拍子が飛び交った場面から鮮やかに差別化されたアレンジが光りました。

曲はその後も大熱狂が渦巻く中で終わりへと向かいます。後奏でも玉置さんは空へ手を向け、指を差す仕草を見せました。そして最後は玉置さんがギターを肩から手に持ち替える動作が終了の合図となり、熱狂の一曲に終止符が打たれました。

17. ファンファーレ

門田さんの縦笛が主旋律を奏で始めると、その世界が「ファンファーレ」の色にガラッと塗り替えられます。旋律だけで空気感までも変えてしまう曲調と演奏に、改めて魅了されました。スクリーンには本ツアーのロゴが投影され、少しずつ鮮明になっていきました。

玉置さんはギターをフルアコに持ち替えます。ストラップとピンに施された装飾が、ボリューミーな存在感を放っていました。玉置さんはこのギターをすぐには肩にかけず、しばらく手に持ったまま、その旋律に浸ります。ステージ前方の中央で立ち尽くす姿は、とても神々しく映りました。

やがて前奏がアップテンポに転じていくと、ここで玉置さんがギターを肩からかけます。同時にステージは明るくなり、客席では手拍子が沸き起こり、結ゆいくんが入り乱れました。

この曲は玉置さんの力強い歌声と骨太なバンドサウンドが合わさって、とてもボリューミーな音が奏でられ、大迫力の様相を呈しました。サビ前の、

そのまま生きていきなさい 行きなさい

で単調なリズムが刻まれるところではサポートメンバーが大きなモーションでリズムを取ります。秋山さんはギターのネックを振り、吉田さんはヘッドバンギングでテンポに乗りました。その直後には、曲のリズムに合わせてステージが明滅を繰り返し、サビへと入りました。

サビでは玉置さんの身振りも大きくなります。この日は2番の、

側に居てくれた 大切な愛に向かって行きなさい

で客席にいる特定の誰かを見つけ、両手を伸ばしてみせました。

アウトロでは玉置さんがとても伸びやかなロングトーンを聴かせます。そして、この曲では玉置さんが終了の合図を吉田さんに委ねました。吉田さんは大きく頷く動作で曲終了の合図をメンバーに送り、その直後、弓を大きく振り抜きました。この場面、弓が隣の名倉さんに接触するのではないかと思うほどの強振でした。

曲後はメンバーがその場に立ち上がり、しばらく観客からの拍手を受けます。素晴らしいパフォーマンスに、この上ない賞賛が贈られました。やがてスタッフが青のBUSCARINOを玉置さんに手渡し、次曲に向けた準備が進められました。

18. メロディー

この日は曲前に、客席の男女から玉置さんへ数々の声援が飛びました。玉置さんがマイクの前に移動して歌のモードに入ってもなお、それを阻むように矢継ぎ早に声が飛び交います。これには玉置さんも、少し困惑した表情を浮かべていました。

嫌な余韻が漂う中、玉置さんの第一声、

あんなにも好きだった…

で、ようやく曲が始まります。前回参加した広島公演のうち、10月11日の1日目では客席がしんと静まり返った中に、突如として玉置さんの歌声が入ってきました。そのときの良い感覚が自分の中に残っていたため、それが観客のコールによって乱されてしまったのは、少し残念でした。

序盤は玉置さんがトオミさんの伴奏に合わせて歌います。1番ではギターを弾かず、しんみりとした雰囲気の中、抑え気味に深みのある歌声を聴かせました。

2番からドラムなどの演奏が加わっていくと、以降は玉置さんがギターを爪弾きながら歌い進めます。その歌声にも、少しずつ芯の強さが宿っていったように聴こえました。

そしてラストサビは、パワフルなボーカルがピークに達します。

メ〜ロディ〜
泣きながら〜〜〜〜〜

と、

メ〜ロディ〜
泣かないで〜〜〜〜〜

のパート。ホールの天井を突き破らんばかりの勢いで、歌声が轟きました。

最後は完全な無伴奏となり、ステージも暗転して玉置さんの姿だけが照らされる中、マイクから離れて

あの歌は心から聞こえてるよ

と歌います。贅沢な間を取りながら、一言一言に想いを込めて歌うこの場面を、観客の一人ひとりが固唾を呑んで見守りました。そこには、極限まで緊張が張り詰めた空間がありました。

しばらくして稲本さんのチェロが先行し、続々と弦の演奏が加わる短い後奏で、曲は終わりを迎えます。どこまでも荘厳な雰囲気を残して、公演の本編が締めくくられました。

曲後は玉置さんの合図によって、故郷楽団のメンバーがステージの前方に移動して整列します。玉置さんはギターをスタンドに置き、労わるようにポンポンとギターに触れたのち、列の中央に加わりました。並び順は以下の通りです。

(下手から)
Vc.稲本さん
Va.大辻さん
Vn.名倉さん
Vn.吉田さん
Key.トオミさん
Vo.玉置さん
Sax.Fl.門田さん
Ba.千ヶ崎さん
Gt.秋山さん
Perc.中北さん
Dr.濵﨑さん

このとき、玉置さんとトオミさんが強くハグを交わした姿が深く刻まれました。

すると、玉置さんが手を伸ばす合図にしたがって、稲本さんからトオミさんまで、下手側のメンバーが客席に向けて礼をします。続けて、門田さんから濵﨑さんまで、上手側のメンバーが礼。その後、玉置さんはこの日ツアー参加初日を迎えた濵﨑さんのもとへ歩み寄り、両者ががっちりと握手を交わしました。マイクスタンドの前に戻ると、ここで玉置さんが一言。

玉置さん
玉置さん

みなさん、ありがとう!

そして、メンバー全員で礼をしました。

その後は稲本さんから順に、メンバーが退場していきます。玉置さんは下手端で全員を見送ると、客席に向けて深々とお辞儀をしてから、ステージを後にしました。

無人になったステージに、以後も惜しみない拍手が贈られます。ここで一度、ステージの様子を整理しておきます。故郷楽団メンバーの楽器セットが残されたほか、玉置さんのギターが左右に一本ずつ、スタンドに立てかけられていました。一本は「メロディー」で用いた青のBUSCARINOで、下手側に。そしてもう一本は、ここまで玉置さんが触れることはなかったものの、公演開始から通しで置かれていたF.C.G.Rのシロで、上手側に待機していました。

すると、ここでスタッフがステージに現れ、青のBUSCARINOを持って引き上げていきました。これまでの公演でも、スタッフがフロアモニターの位置を調整したり、メンバーが最後の挨拶をしている裏側でギターをそっとスタンドに置いたりすることはありましたが、このタイミングでギターを回収したのはあまり記憶にありません。

本ツアーにおけるアンコールの流れは、このタイミングで故郷楽団のメンバーが駆け足で登場し、遅れて玉置さんも姿を現して、シロを用いた「じれったい」がフルで実演されるパターンが主な形でした。しかしながら、ここでスタッフがギターを引き上げたことから、何か演出が変わるのかもしれないと即座に判断しました。

すると、急激にステージが暗転し、スポットライトがセンターの一点を集中的に照らして、マイクスタンドが浮かび上がります。次なる演出の始まりを予感させる光景に、客席からの拍手はいっそう高まりました。ここで玉置さんが、一人で下手から登場します。ギターを肩からかけ、ステージに戻ってきました。

5. アンコールの様子

19. カリント工場の煙突の上に(作詞:須藤晃)

玉置さんはマイクスタンドの前に立つと、歌うよりも先に、リズムを取りながらギターを弾き始めます。このギターは、本編の「田園」で用いたMartin D-45SのDENENモデルです。

※リンク先と写真のギターは、本ギターのモチーフとなったモデルです。

しかしながら、その風貌は本編から変わっていました。ボディーに、白を背景に黒で文字とイラストが描かれた、シンプルなステッカーらしきものが貼られていました。

ほどなくして、玉置さんが

カリント工場の煙突の上に…

と歌い始めます。この瞬間、ステージのライトが明るくなりました。四方八方から白と黄色の細いライトが交差しながら、ステージの中央、すなわち玉置さんのもとへ集まっていくように光り出しました。玉置さんの歌い出しに、客席も一瞬沸き立ちます。しかし、眼前のパフォーマンスを見逃すまいと言わんばかりに、この興奮はすぐに静まり返ったように思えました。前回参加した広島公演の2日間で起こった曲中の手拍子もこの日はなく、観客の一人ひとりが玉置さんの一挙手一投足に集中し、のめり込みました。

玉置さんはギターを弾きながら、時折ボディーを叩いてリズムを取りつつ歌い進めます。語りかけるような歌声、ふくよかに鳴るギターの音色、そして確かな重厚感を持って客席まで届くボディーを叩く音。一人で三役までこなしてしまう、とてもクオリティーの高いパフォーマンスでした。

この日も、玉置さんの歌声にエコーがかかる演出が見られました。それが、

風に揺れる万国旗を見ながら
遠い世界を旅してた

のところです。玉置さんの歌声が、微かに繰り返されました。

この曲は玉置さんの一人舞台であるため、各パートの間がとても自由に取られます。歌唱パートでは正確なリズムを守りつつも、セクションの区切りではギターフレーズを弾いたり、フェイクを重ねたりと、自然体な姿がありました。

2番の、

僕が今でも泳げないわけは
川で溺れたあいつのせいさ

から、曲の雰囲気が少し変わります。それまで7:3くらいのウエイトで混ざり合っていた弦を弾く音とボディーを叩く音が、ここで逆転しました。ボディーを叩く音が優勢になり、玉置さんは無伴奏に近い形で歌いました。弦の音が弱まった分、ホールは静かな空間に支配され、よりいっそう緊張感が高まりました。

しかし、その後の

路地裏で泣いてたあの娘が捨てた
赤い口紅のついてた煙草

からは玉置さんがギターを強く弾くようになり、曲に高揚感が芽生えていきます。続く、

さびれた商店街のアーケード
破れた金網越しのネオン

では激しいシャウトも披露し、それまで落ち着いたムードで進行していた雰囲気を、一変させるように塗り替えていきました。

その後の間奏では玉置さんがギターをかき鳴らしたのち、Cメロの

市営住宅の中の広場で
リレーをしたんだみんなで

を伸びやかに歌い上げます。そして曲は圧巻のクライマックスへと突入していきました。

ここから玉置さんがギターを弾かず、マイクからも上手方向に大きく離れて、完全な無伴奏かつノーマイクで叫んだのは、

空よ 僕を忘れないで 思い出してくれ
大空よ 僕をあの場所へ連れていってくれ

のフレーズです。全身を使い、すべての力を振り絞るように表現する魂のシャウトは、見る者を驚嘆させました。ここまで来ると、歌の上手さやスキルなどを超越した、神懸かり的なパワーがステージに渦巻いているかのようでした。それほどまでに鬼気迫る玉置さんの圧倒的な叫びは、胸の奥底まで届く格別のパフォーマンスとして映りました。

そして最後は再びマイクスタンドの前に戻り、ギターを弾きながら、しんみりと

カリント工場の煙突の上に…

のフレーズを歌い上げ、曲が終わりを迎えました。ここでも玉置さんのボーカルにエコーがかかり、その歌声が残響のように繰り返されました。

その後も演出は続いていきます。玉置さんはステージ後方へ移動し、先ほどスタッフが青のBUSCARINOを回収し、空になっていたギタースタンドを手に、前方へやってきました。そのスタンドを高らかに掲げて観客に見せると、マイクスタンドのすぐ後ろに置き、ギターを立てかけます。そして玉置さんは、下手へと退場していきました。

やがてステージが暗転し、中央に置かれたギターをスポットライトが照らし出しました。その中で、客席からは賞賛の拍手が止むことなく鳴り続けました。そこからかなり長い間を置いて館内アナウンスが流れ、本公演も終演となりました。

観客が席を去ってからも、光はDENENモデルのギターを永遠に照らし続けていました。「KARINTO FACTORY」の文字と、アルバムジャケットの純粋な目をモチーフにしたようなイラストが手書きされ、ボディーにテープで貼られた手作りのステッカーとともに――。

以下、本公演のセットリストです。

6. セットリスト

玉置浩二 with 故郷楽団
Concert Tour 2026
ファンファーレ!!
10月15日
立川ステージガーデン
セットリスト

【一部】
1. ファンファーレ(Instrumental)
2. あこがれ(Instrumental)
3. 希望の光
4. 海路
5. ムダな汗(Instrumental)〜R-『★』指定
6. 愛してんじゃない
7. ショコラ
8. MR.LONELY
9. やせっぽちの星
【二部】
10. 希望の光(Instrumental)
11. 花束じゃなくキミといたい
12. 命の宿り
13. サーチライト
14. 熱視線
〜メンバー紹介〜
15. JUNK LAND
16. 田園
17. ファンファーレ
18. メロディー
【アンコール】
19. カリント工場の煙突の上に(作詞:須藤晃)

7. 公演後の様子

公演後の会場の様子です。

全30公演の22公演目となった立川公演。上質な音響が演奏の細部までを客席へと運び、ドラムの濵﨑さんがツアー参加初日を迎えるなど、見どころの多い一日となりました。そして、須藤晃さんの訃報が伝えられたその日に行われた公演でもありました。

中でも、最後に披露された「カリント工場の煙突の上に」は、大きなインパクトを残しました。思いの丈をぶつけるように叫んだ玉置さんの姿からは、須藤さんのもとまで届くようにと、願いを込めた想いが伝わってきました。

空よ 僕を忘れないで 思い出してくれ
大空よ 僕をあの場所へ連れていってくれ

こばかず

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