玉置浩二 Fanfare公演(4/30)@アクトシティ浜松の感想とセットリスト

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先日の4月30日、billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026 “Fanfare”@アクトシティ浜松 大ホール公演に参加しました。

指揮:田中祐子
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団

※本投稿では、公演のセットリストや演出を記載します。本ツアーは15都市25公演の規模で行われます。初日を迎えていない方や、ネタバレに抵抗のある方はご注意ください。

1. 公演前の様子

公演前の会場の様子です。

2024年のソロツアー、Resume公演で初めてこの地を訪れた際、その圧倒的な音響の良さに衝撃を受けたアクトシティ浜松。昨年のシンフォニックコンサート“ODE TO JOY”を経て、今年も2年連続でこの素晴らしいホールでの開催が叶いました。

個人的に、浜松は最も深く記憶に刻まれている会場の一つです。昨年、第二部の「JUNK LAND」が終わった瞬間、いつもは冷静で気品溢れる大友さんが情熱を露わにし、自ら客席へ向けて激しく拍手を煽ったあの姿。そして「夏の終りのハーモニー」の終奏とともに、客席の前方から後方へと波が押し寄せるように広がったスタンディングオベーション。

あのシンフォニックコンサートの真髄ともいえる光景を目の当たりにして、今年もこの場所がツアー日程に組み込まれたことは、この上ない喜びでした。

2. 第一部の様子・各曲の感想

期待とともに迎えた当日の座席は、1階席後方のセンターブロックでした。クラシックコンサートであれば間違いなくS席に分類されるであろう、ホール内で最も音響が優れているとされるポジションに、開演前から非常に気持ちが昂りました。

前回の沖縄公演では最前列という至近距離の衝撃を体感しましたが、今回の座席は、ステージの全体像を完璧に捉え、かつ会場の上質な響きを味わうという点において、ある意味で最前列をも凌駕する最高の環境でした。

定刻の18時00分、静かに開演のときを迎えます。舞台両袖の扉が開き、名古屋フィルハーモニー交響楽団のメンバーが続々と入場。続いて、コンサートミストレスが一人でステージに姿を現しました。

厳かなチューニングが終わり、ホールがゆっくりと暗転していきます。1階後方の真正面からは、広い会場全体の明かりが緩やかに落ちていく様子がパノラマのように見渡せ、これから始まる公演への期待を静かに高めました。

完全な静寂が会場を包み込む中、かなり大きな間を置いて指揮者の田中さんが登場。右手にタクトを携えてステージに姿を見せました。コンミス、そしてトップサイドの奏者と握手を交わすと、華麗な所作でオーケストラ全体へと手を向け指揮台へ。田中さんがタクトを構えると、いよいよ序曲が始まります。

1. ファンファーレ(管弦楽)

ティンパニが静かにリズムを刻み、コントラバスが重みのある音を響かせて曲が始まります。続いてホルンが加わり、ストリングスの高い音が主旋律を奏でていきました。

その後、フルートが同曲の前奏を吹き始めると、力強くもどこか繊細に震えるような音色がホールいっぱいに響き渡りました。

続いてストリングス隊がメロディーを引き継ぎますが、ここではバイオリンなどの高弦の響きが非常に力強く高鳴りました。曲の後半で金管楽器が入ってボリュームが増しても、最後までその高音の美しい響きが主役となり、華やかに演奏を引っ張っていました。

2. 歓喜の歌(管弦楽)

前曲の余韻が残る中、ホルンが重なるように一音を奏で、鮮やかに曲が切り替わります。すぐさまバイオリンの演奏が入る場面では、田中さんがバイオリンセクションの方へ身体ごと向けて、勢いよく音を引き出していたのが印象的でした。

この曲では、田中さんの大胆でエネルギッシュな指揮が目を引きました。右手に持ったタクトを波のように華麗に振り、オーケストラから豪華なアンサンブルを引き出していきます。

最後はオーケストラ全員による迫力あるフィナーレへ。田中さんが、タクトを持っていない左手を数回転させる圧巻のパフォーマンスで締めくくると、会場の熱気は一気に高まり、華やかな序曲が幕を閉じました。

演奏が終わり、田中さんが指揮台を降りてすぐさま下手の袖へと手を向けると、玉置さんが堂々とステージに姿を現しました。ステージ中央へと進んだ玉置さんは、田中さんと力強く握手を交わします。その後、客席の方を向き返ると、会場からは一際大きな、割れんばかりの拍手が沸き起こりました。

3. GOLD

演奏が始まり、玉置さんの第一声、

行こう…遠くまで

が放たれた瞬間、その歌声が真っ直ぐに自席まで届く音響の素晴らしさに驚きました。ここまでの管弦楽では、オーケストラの音圧が少し控えめという印象もありましたが、歌が始まると玉置さんの声がかなり強調されて聴こえてきます。これは玉置さんの歌声にフォーカスしたような、絶妙な音のバランスに感じられました。

この日は、各フレーズに入る前の間が非常に印象的でした。

思い…馳せよう 星屑と地の果てへ

だから…行こう 星屑と地の果てへ

といった場面で、オーケストラの音が絞られる分、玉置さんの歌声がより鮮明に響き渡ります。さらに、田中さんがこの間をやや長めに取っていたようにも見えたため、玉置さんの歌声がより一層クローズアップされて聴こえてきました。

4. キラキラ ニコニコ

真っ暗なステージに、オーケストラの音が少しずつ大きくなるクレッシェンドな演奏で幕が開けます。音の広がりに合わせ、照明もじわじわと明るくなっていく演出は、まるで夜が明けて朝日が差し込む瞬間のようでした。この美しい光景を真正面から全体で見渡せるのは、まさにこの座席ならではの贅沢でした。

歌が始まると、ステージは鮮やかな緑色に包まれます。玉置さんの低音には深みがあり、その豊潤な響きに包まれる時間は何度経験しても心地よく、胸に響く至福のひとときです。

海へ行こうよ 世界は広いよ

というフレーズからは、照明が深く濃い青色へ。緑から青への巧妙な変化が、歌詞の世界観を美しく彩っていました。

曲の中盤、間奏中にマイクオフで放たれた玉置さんのシャウト、

Yeah〜!Oh〜!

が会場の空気を一変させます。そこから

おはよう〜〜〜
どんな天気でも

と歌い出した瞬間、ステージ全体が真っ白に輝き、眩いばかりの世界が広がっていきました。玉置さんのロングトーンは序盤からビブラートを効かせたスタイルで、その細かな声の震えが後方席まで波紋のようにしっかりと伝わってきました。

ラストは一転して静かな締めくくりへ。玉置さんと田中さんが顔を見合わせ、互いに笑顔を浮かべながら

キラ・キラ・ニコ・ニコ

とタイミングを合わせ、最後はアカペラで

だね…

と添える見事なフィナーレ。

後奏では再び力強いシャウトでオーケストラに応酬し、最後は前奏とは逆で、デクレッシェンドに少しずつ音が消えていきます。これは一曲の中で壮大な物語が完結したような、圧倒的な満足感がありました。歌い終えた玉置さんは、余韻を大切にするような丁寧な所作で両手を軽く前に出し、早くも充実感に満ちた表情を見せていました。

5曲目

身体を上手へ傾けて次曲に向けた指揮の準備をする田中さん。その様子を客席からやや不自然そうに眺めていると、ヴィオラの独奏が静かに始まり、続いて木管楽器が重なる前奏が流れ出しました。同時にステージは深いオレンジ色に包まれます。

このタイミングで【純情】が組み込まれるという、今ツアー2回目となるセットリストの変更。これまでの「いつもどこかで」が省略されて、同曲の順番が一つ繰り上がりました。

歌が始まると、玉置さんの深みある歌声が真っ直ぐ胸に響きます。濃いオレンジ色のライトに照らされて歌うその姿は、より一層渋みが際立ちました。

この曲の見どころは、1番と2番のサビで見せる歌い方の対比です。

その言葉だけ 投げ出さずいた〜

というフレーズ。1番ではスッと力を抜くような短いトーンで切なく響かせ、一方で2番はパワフルに声を張り上げる長いトーンを披露。

その言葉だけ 投げ出さずいた〜ぁあ〜⤴︎

と最後の一節で音程を一段階上げ、力強く歌い上げました。この歌声のコントラストは、日を追うごとに鮮明さを増しているように感じます。

2番が終わると、木管楽器による素朴で温かな間奏が広がります。続くラストサビの

思ったように 好きに生きなよ あせらず

では、演奏がふっとトーンダウンし、玉置さんの優しい歌声が引き立ちます。そこにオーボエの柔らかな音色が重なり、会場は穏やかな空気に包まれました。

しかし、その静寂も長くは続きません。再び玉置さんが声を張るように歌い出すと、ラストに向けて一気に情熱が加速していきます。この日は、

その言葉だけ 投げ出さず
大バカもので なんのとりえもなくても

の部分でワントーン引き上げるような力強い歌い回しがあり、その気迫に圧倒されました。

そして迎えたクライマックス。

オレのお守り くしゃくしゃの純情〜〜〜

というロングトーンの最中、オレンジ色の照明がパッと水色に切り替わります。そこからは玉置さんの圧巻のシャウトが響き渡り、思いの丈をぶつけるようなパフォーマンスが席巻しました。

最後は、熱を帯びたステージをオーケストラの柔らかな演奏が静かに収めていきます。伴奏が終わると、玉置さんは胸に手を当てて、慈しむように曲を締めくくりました。

6. MR.LONELY〜サーチライト(メドレー)

田中さんの上下に弾むようなタクトに合わせ、フルートが軽快にテンポを刻み「MR.LONELY」が始まります。大友さんの指揮と比較すると、ややゆったりとした落ち着いたスピード感。その分、一音一音に確かな重みが感じられる滑り出しでした。

歌が始まると、まずは穏やかなムードで進んでいきます。フルートの助奏や弦楽器の指弾きが心地よいリズムを作り、オーボエの長い音が曲の世界観をしっかりと支えます。田中さんは、身体全体をそれぞれの楽器セクションに向けながら、丁寧に音を引き出していきます。特に弦の指弾きの場面では、バイオリン隊に向けて軽快な動作を送り、音が弾けるような様子を見せました。こうしたオーケストラの細やかな演奏が、玉置さんの重厚な歌声と見事なハーモニーを奏でていきます。

サビに入るとステージの照明がパッと明るくなり、曲は段々と盛り上がりを見せます。直前の曲変更で一曲削られた分、メドレーがロングバージョンに戻るのではという期待もよぎりましたが、サビは

何もないけど 僕らは

というラストサビのフレーズが歌われました。そこからの玉置さんの歌声は、たちまち力強さを増していきます。オーケストラも金管楽器までが華やかな助奏を加え、最後はゴージャスに曲を締めくくりました。

前曲の余韻が残る中、オーボエが優しい前奏を奏で「サーチライト」が始まります。

玉置さんの歌声が入った瞬間、その重厚な低音がホールの上質な音響に乗って、真っ直ぐに自席まで届きました。序盤はストリングス隊が、高い音と低い音をしっかりと分担して演奏。バイオリンの華麗な響きと、チェロやコントラバスの低音による重厚な響きが織りなすハーモニーは、まさに交響曲を象徴するような美しいシーンでした。

この曲も、サビに入るとラストサビのフレーズが展開されていきます。

サーチライトはそうなんだ
君なんだ 君なんだ

という歌詞に合わせ、玉置さんが客席に向けて大きく手を伸ばします。まずはぐっと身体をのけ反らせ、4階席まで高さのある会場の構造に合わせるように、天井近くまで高く手を差し伸べました。その後、視線を緩やかに下層階へと移しながら手を広げていく姿で、客席全体を温かく包み込みました。

そして、この曲のハイライトは圧巻の裏声です。

かな〜らず〜 君を照らす
サーチライトに僕は
なれるかな なれるかな

のフレーズで、玉置さんは大きなタメを作り、裏声を一際強調するように歌い上げました。その切なくも力強い響きからは、玉置さんの深い想いが溢れ出しており、会場全体が大きな感動に包まれた名シーンとなりました。

7. Friend

真っ暗なステージの中、田中さんの姿だけが黄色い光に浮かび上がります。田中さんが正面に向けてタクトを振ると、オーボエが力強く前奏を開始。それと同時に、ステージは深い濃紺の色に染まっていきました。途中で重厚なチェロの低音が加わる場面では、ホールの素晴らしい音響も相まって、見事なハーモニーが響き渡ります。前奏の終わりには、音が儚く絞られていくのと同時に、ステージは再び深い暗闇に包まれました。

一瞬の静寂を置いて、ピアノの音が三音入ると、玉置さんの歌唱が始まります。玉置さんを白、田中さんを黄色く照らし出すライティングが、ステージ上の二人の存在感をより一層際立たせていました。この日の玉置さんの歌声は、いつもの重厚な響きというよりは、どこか瑞々しさを感じる、ピュアで透き通ったボーカルが心に深く染み渡りました。こうした歌い口は、この日セットリストから外れた「いつもどこかで」の序盤で見た声質とよく類似していました。

サビでの圧巻のロングトーンも、この日は少し変化がありました。これまでの公演では、各サビの1回目はビブラートをかけない真っ直ぐなトーンが印象的でしたが、この日は1番とラストサビにおいて、締めくくりにビブラートをかけて収束させていくスタイル。3〜4年前までの歌い方を彷彿とさせる、どこか懐かしくも新鮮な響きでした。一方で2番は、最後までビブラートをかけずに歌声を真っ直ぐに伸ばし、フレーズごとの対比を見せました。

さらに、各2回目のロングトーンでは、序盤から強めにビブラートをかけるいつものパワフルな歌声。この日はその伸びがいつも以上に長く感じられ、力強さに胸が熱くなりました。

最後のロングトーンを力強く締めくくると、玉置さんが退場へと向かいます。マイクを胸の前で構えた瞬間、客席からはややフライング気味に熱い拍手が沸き起こりました。玉置さんがステージを後にした後は、オーケストラによる壮大な演奏がホールを包み込みます。特に弦楽器の鮮やかな響きが際立ち、交響曲としての充実感を残したまま、第一部は感動のうちに幕を閉じました。

3. 第二部の様子・各曲の感想

約20分間の休憩を挟み、いよいよ第二部が始まります。名古屋フィルのメンバーが再びステージに揃い、そこから時間をかけて、非常に綿密な調律が行われました。

再び会場が深い静寂に包まれる中、たっぷりと間を置いて田中さんが登場。第一部よりもさらに研ぎ澄まされた空気の中、オーケストラによる管弦楽で後半戦が幕を開けました。

8. 歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より 間奏曲(P.マスカーニ/外山雄三編曲)

第二部の始まりは、田中さんがタクトを持たずに指揮台に立つスタイルでスタートしました。まずはバイオリン、ヴィオラ、チェロが奏でる弦楽四重奏で演奏が始まります。美しくも、どこか悲しげで切ないメロディーが、会場にしっとりと広がっていきました。

曲の中盤からは、ステージの両翼に位置するハープとコントラバスの演奏が加わります。ハープの高い音とコントラバスの低い音。それぞれの弦が弾ける趣の異なる響きが、哀愁漂うオーケストラの演奏に、より一層の深みと彩りを添えていきました。

曲のラストで、ようやく木管楽器の柔らかな音が重なります。これまで主役を務めてきた弦楽器と一緒に、最後の一音まで大切に響きを保ちながら、穏やかに演奏を締めくくりました。

ここで玉置さんが下手から再び登場します。その姿が見えた瞬間、会場は再び割れんばかりの拍手に包まれました。玉置さんがマイクを手に取ると、ステージはスッと暗転。心地よい緊張感が漂う中、第二部の本編が幕を開けました。

9. アリア

一つ前に演奏された弦楽合奏の余韻を引き継ぐかのように、ストリングスによる落ち着いた短い前奏で曲が始まります。その瞬間、ステージは吸い込まれるような深い濃紺に染まっていきました。

演奏がふっと止まった瞬間、玉置さんの

忘れようとした…

という歌声が響きます。冒頭から、極限まで研ぎ澄まされた美しい裏声が会場に澄み渡りました。

この曲で最も心に刻まれたのは、Aメロの締めくくりの歌い方です。

後ろを振り向かず 歩いた

必ず戻れると 信じた

というフレーズ。裏声に震えるようなビブラートをかけるその歌声は、まるで当時の原曲の音源がそのまま蘇ったかのような響きでした。

セットリストに加わって以来、各地の公演で注目してきたサビの歌い方は、この浜松でも前回行われた沖縄公演の流れを引き継いでいました。最初は落ち着いた雰囲気で入りながらも、途中からグッと声を張り、情熱的で激しい世界観へと一変させます。そして最後は繊細な裏声で静かに締めくくる。玉置さんの表現力の幅広さを改めて見せつけられる構成でした。

10. 行かないで

ゆったりとしたテンポで、静かに曲が展開していきます。この日はオーケストラの演奏が普段よりも抑えられていたように感じられ、その分、玉置さんの歌声が一層際立っていました。繊細な裏声と、地声による力強い絶唱。そのダイナミックな変化を、会場の優れた音響の中で鮮明に堪能することができました。

2番に入ると、玉置さんの歌唱にチェロが寄り添うように重なり、見事な共演を果たします。この両者をくっきりと浮かび上がらせたライティングは、客席の正面から見ていると、その姿がステージに大きく強調され、非常にドラマチックな光景でした。

また、この曲はオーケストラのソリストの活躍も光ります。2番の終わりにはオーボエのソロが響き、後奏ではコンミスによるバイオリンの独奏が美しく奏でられました。玉置さんは、これらの演奏を聴いている間、マイクを胸の前で大切そうに構えてステージの最前方に立ちます。その佇まいからは、主役としての圧倒的な存在感が伝わってきました。

11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)

「ワインレッドの心」のイントロでメドレーがスタート。ここから会場の雰囲気が一変します。それまでの崇高なバラード2曲の世界から、ステージはガラリとロックの熱を帯びた空気へと塗り替えられました。あらかじめセットリストが分かっていても、実際に目の当たりにするこの鮮やかなムードの切り替わりには、何度見ても心が躍ります。

玉置さんの歌い方も、瞬時にロックな仕様へとチューニングされていきます。身体を上下に揺らしてリズムを取りながら、軽快で躍動感あふれる歌い口で、ステージを軽やかに進めていきました。

高揚感あふれるオーケストラの間奏を経て、メドレーは「じれったい」へと移ります。この曲では、金管楽器やコントラバスの演奏が熾烈さを極めました。この日は、全体的にオーケストラの音量が歌声に寄り添ってコントロールされている印象を受けていましたが、この曲からは一転、非常に強烈で厚みのある音色が際立ちます。

それに呼応するように、玉置さんの歌声の熱量も増し、ステージ上でのアクションもより活発になっていきます。サビ直前の

腕の中に閉じこめたいのに

というフレーズでは、腕を前に出して強く抱きかかえるようなジェスチャーを披露。その勢いのままに身体を鋭く捻り、田中さんの方を向いてサビの歌い出しをぴったりと合わせます。その躍動的な姿からは、玉置さんの感情が曲に深く入り込んでいる様子がひしひしと伝わってきました。

金管楽器が高らかに鳴り響くゴージャスな演奏とともに、メドレーはいよいよ最終章「悲しみにさよなら」へと移ります。玉置さんが歌い始めると、田中さんは玉置さんの方を向いて正対。玉置さんの呼吸を一身に受け止めるようにタクトを振り、冒頭のサビを導いていきました。

1番を軽快に歌い進める中、サビでは

愛を世界の平和のために

と玉置さんが歌詞を変えて力強く歌い上げます。この瞬間、客席からは地鳴りのような大きな拍手が沸き起こり、玉置さんは深々と礼をして、その賞賛に応えていました。

ラストサビに差し掛かると、玉置さんの歌声には一層力がこもり、客席へのジェスチャーも一段とダイナミックになっていきます。

悲しみにさよなら
ほゝえんでさよなら
ひとりじゃないさ

というフレーズで、玉置さんが客席へ向けて大きく手を差し伸べたそのとき、会場の両サイドに設置された照明が一斉に作動し、眩いばかりの白い光が客席に向かって一気に差し込みました。正面から見上げるこの光景は、視界のすべてが光に包まれるような、息を呑むほど壮観なものでした。

最後は圧巻のノーマイク歌唱へ。右手に持ったマイクを完全に下げ切り、ホールの隅々にまで届く堂々たる生声を響かせます。ラストは胸に手を添え、慈しむように

悲しみに〜さよなら〜

と歌い終えました。

曲が終わるやいなや、玉置さんはマイクを置き、指揮台の田中さんとガッチリと握手を交わします。会場からは惜しみない賞賛の拍手が鳴り響き、その熱狂はいつまでも止むことがありませんでした。

12. JUNK LAND

テンポの良いリズムが刻まれて曲が始まります。大友さんの指揮ほどのスピード感ではないものの、ステージ上では軽快かつ力強いリズムが着実に刻まれていきました。

歌が始まると、田中さんはタクトを前へと振りながらも、終始玉置さんの方に首を傾けて指揮を進めます。全パフォーマーが正確なリズムを共有することが何より重要なこの曲。田中さんが他のどの曲でも見せないような独特なスタイルでステージを牽引していく姿が印象的でした。

曲がラストに向けて転調すると、それまでの緊迫感漂うダークなライティングから一転、眩いばかりの白い光がステージに降り注ぎます。客席の真正面から見るこの光景は、視界が開けるような爽快感に満ちていました。普段の公演よりも照明の切り替わりが一段と素早く、そのクリアな変化がより鮮烈に目に飛び込んできました。

そこからは玉置さんの伸びやかな歌声がホールに響き渡り、曲はいよいよクライマックスへ。最終盤、玉置さんと田中さんは互いに向き合い、曲の終着点を探るかのように対峙します。ここで田中さんはなかなか演奏を終わらせる気配を見せず、限界まで音を引き伸ばしていきました。それに食らいつく玉置さん。伴奏に這わせた裏声が、どこまでも長く真っ直ぐに迫ってきます。声量が一切衰えることなくストレートなトーンを保ち続ける圧倒的な肺活量は、まさに圧巻の一言。最後は田中さんがタクトを持たない左手を数回大きく回転させ、見事に演奏をフィニッシュさせました。玉置さんが同時にマイクを引いて歌い終えた瞬間、

Yeah〜!

という玉置さんの弾んだ喜びの声を捉えます。その声に応えるように、客席からは地鳴りのような拍手が沸き起こりました。素晴らしいパフォーマンスに対する賞賛の嵐は、いつまでも長く、熱く続いていきました。

13. 夏の終りのハーモニー

オーケストラによる壮大な演奏が始まり、本編を締めくくる代表曲へと誘われます。

この曲でも、玉置さんが歌いながら田中さんと呼吸を合わせる姿が印象的でした。サビ前の、

それが僕と君のハーモニー

というフレーズ。強めのビブラートを乗せて

ハ〜〜モニ〜

と歌い上げながら、その響きを保ったまま身体をゆっくりと捻り、田中さんの方を見つめます。続くサビの

いつまでもずっと
忘れずに〜〜〜

では、どこまでも繊細でありながら、決して途切れることのないロングトーンがホールに響き渡りました。

2番のサビに入ると、

星屑の間を揺れながら

という歌詞をモチーフにしたような幻想的な照明演出が広がります。ステージ全体に黄色い粒状のライトが無数に散りばめられ、まるで満天の星空の中にいるようなロマンチックな光景。客席の真正面から見届けるこの景色は壮観の美しさを誇りました。

そのままラストサビへ向かうと、玉置さんはノーマイク歌唱へ。歌いながらそっとマイクを置き、ホールそのものを楽器にするかのように、圧倒的な生の歌声を響かせます。最後のロングトーン、

忘れずに〜〜〜〜〜

の真っ最中、玉置さんの歌声だけが静寂の中に響き渡る時間を、田中さんは極限まで長く、大切にキープします。そして、絶妙なタイミングで、田中さんのタクトによってオーケストラの演奏が優しく再開されました。歌声と演奏が再び重なり合い、感動に包まれた雰囲気で曲はフィナーレを迎えました。

曲が幕を閉じると同時に、客席の照明がパッと点灯し、華やかなカーテンコールが始まりました。下手に田中さん、上手に玉置さんが並び、万雷の拍手に応えます。このとき、田中さんはオーケストラ側に一歩下がり、玉置さんの姿をより際立たせるように拍手を送っていました。主役への深い敬意が感じられる温かな光景です。

しばらくして玉置さんがステージを後にし、後を追うように田中さんも退場。ステージにはオーケストラだけが残りましたが、客席からの拍手は鳴り止むどころか、さらに勢いを増していきます。その熱烈なアンコールに応え、再び二人が揃ってステージに姿を見せると、会場の盛り上がりは最高潮に。主役の再登場を祝福する、一段と力強い拍手がホール中に響き渡りました。

二人が一度舞台袖に消えた後、今度は田中さんが一人でステージに登場。その足で再び指揮台に立つと、いよいよアンコールが始まりました。

14. 田園

ベートーヴェンの「田園」がオーケストラによって格調高く奏でられ、アンコールが幕を開けます。途中、木管楽器が玉置さんの「田園」の主旋律を奏で始め、

生きていくんだ〜
それでいいんだ〜

というメロディーが響くと、ステージはパッと白くライトアップされました。その瞬間、客席からは自然と手拍子が沸き起こり、主役の再登場を待ちわびる熱気に包まれます。やがて全奏によってオーケストラの演奏が最高潮に達し、本格的に玉置さんの「田園」が始まると、玉置さんが下手から颯爽と姿を見せました。ここで観客の多くが総立ちとなり、手拍子で曲を後押しする、いつものエネルギッシュな光景が広がります。

Aメロが始まると、田中さんが大胆な動作で玉置さんに向けてタクトを振り、歌い出しのタイミングをピタリと合わせました。このダイナミックな指揮は、玉置さんへの合図であると同時に、客席の手拍子を鮮やかに鎮める役割も果たしていました。それまで響いていた手拍子がパタリと止み、そこからはステージ上で紡がれる音だけが濃密に空間を支配していきます。

サビに入ると、曲の盛り上がりに合わせて手拍子が再び再燃。注目の歌詞アレンジは、

愛はここにある 浜松はままつにある

と玉置さんが高らかに歌い上げ、会場は大きな拍手に包まれました。

そして、ラストのクライマックスはまさに圧巻の一言でした。歌唱パートを終えて後奏に入ると、玉置さんのシャウトがホールを席巻します。田中さんはタクトを正面のオーケストラに向けて小刻みに振りつつも、身体はしっかりと玉置さんの方を向き、その限界を超えた歌声をさらに引き出していきます。いつまでも鳴り止まないオーケストラの演奏に合わせ、玉置さんも一筋に伸びる歌声を、一瞬たりとも絶やすことなくどこまでも続けていきました。その圧倒的なロングトーンに、歌い終わるのを待てず、フレーズの序盤から早くも驚嘆の拍手が沸き起こります。最後は、二人が見事に呼吸を合わせてフィニッシュ。特大のパフォーマンスに、会場はこの日一番の歓喜に沸き立ちました。

曲が終わると、再び下手側に田中さん、上手側に玉置さんが並び、降り注ぐ賞賛の嵐を全身で受け止めていました。やがて、二人が言葉を交わすと、田中さんは指揮台へ。玉置さんはマイクを握り直し、次曲へと向かいました。

15. メロディー

オーケストラによる短い前奏に導かれ、玉置さんの第一声

あんなにも好きだった…

が響きます。普段の公演ではここで拍手が沸くことも多い場面ですが、この日は静寂が保たれ、じっくりと歌声に耳を傾けるところから始まりました。盛り上がるところは全力で、聴くべきところは深く集中する。そんな浜松の観客のメリハリある鑑賞スタイルは、この会場でコンサートを楽しむ上での心地よさの一つだと改めて感じました。

曲の序盤、玉置さんの歌声はどこか儚さを帯びていました。歌っている途中で感極まってしまうのではないかと思うほどの、切実で繊細な響き。その一音一音に込められた想いに、胸が熱くなりました。

しかし、サビに入るとその表情は一変。一気に声量を増し、太く芯のあるパワフルな歌声へと変貌を遂げます。その圧倒的な声の迫力に、会場全体が息を呑みました。

2番終了後の間奏中、今度は客席から自然と温かな拍手が送られます。玉置さんはマイクをそっとテーブルに置き、ノーマイク歌唱の備えに入りました。ラストサビが始まると、ホールの空気を震わせて、玉置さんの生の歌声が真っ直ぐに届きます。オーケストラの演奏が極限まで絞られていたこともあり、豊かな声量がダイレクトに客席まで伝わってきました。終盤の

泣かないで〜〜〜〜〜

というロングトーンでは、楽団の演奏が少しずつ厚みを増していきますが、大友さんのときのように激しくぶつかり合うのではなく、あくまで最後まで玉置さんの歌声を際立たせるような、優しく品のあるオーケストレーションが印象的でした。

演奏後、再び下手側に田中さん、上手側に玉置さんが立ち、降り注ぐ拍手を受け止めます。玉置さんは愛おしそうに客席へ向けてエアハグを送り、感謝を伝えていました。その後は二人が歩み寄り、じっくりと言葉を交わす場面も。ここでは田中さんが玉置さんを見上げるようにして話す姿が印象的でした。しばらくの会話の後、田中さんは再び指揮台へ。玉置さんもマイクを握り直し、いよいよツアータイトルを冠した、本当の最終曲が始まります。

16. ファンファーレ

フルートによる柔らかな前奏が、静かに、そしてゆっくりと始まりました。第一部の序曲を彷彿とさせる、力強さと繊細さを兼ね備えた風情ある演奏に、客席からは大きな拍手が起こります。転調してアップテンポな前奏へ突入した瞬間、玉置さんは両手を大きく広げました。その動作がまるで観客を導くタクトのように機能し、客席からは一斉に地鳴りのような手拍子が沸き起こります。

歌唱パートに入ると、非常に軽快なテンポで曲が進んでいきます。弦楽器の指弾きが弾けるようなリズムを生み出し、心を躍らせました。サビ前の

そのまま生きていきなさい 行きなさい

というフレーズでは、ブラス隊の演奏が重厚かつ華やかに入り、最高潮の盛り上がりを育みながらサビへと突き進んでいきました。

サビでは再び観客の手拍子が熱を帯び、ステージと客席が一つとなってパフォーマンスが進行します。玉置さんの歌声も一段と力強さを増し、エネルギッシュな響きがホール全体を包み込みました。

2番を終え、後奏に入ると、玉置さんは客席に向けてゆっくりと手を伸ばします。上層階から下層階まで、一人ひとりに届けるように差し伸べた手を休めることなくスライドさせるその動作は、非常にダイナミックで慈愛に満ちたものでした。

アウトロの終盤、ティンパニの連打とストリングスのトレモロ演奏が緊迫感をもたらし、楽曲にさらなる奥行きを与えていきます。ここでも田中さんはこのパートを長く持続させ、曲の中に贅沢な余白を生み出していました。最後はその静かな演奏が一気に膨らみ、圧巻のフィニッシュへ。その瞬間、玉置さんはマイクを天高く掲げ、これ以上ないほど見事なフィナーレを飾りました。

演奏が終わると、会場は再び熱烈なカーテンコールに包まれました。万雷の拍手が鳴り響く中、玉置さんはマイクを通さず、魂を込めて

玉置さん
玉置さん

ありがとう〜!!!

と叫びました。その後は玉置さんを先頭に、田中さんとともに一度ステージを後にしますが、拍手は一向に鳴り止みません。

しばらくすると、二人が再びステージへ。さらに大きな歓声と拍手が沸き起こり、会場のボルテージは最高潮に達します。再び両者が退場した後も、コンミスをはじめとするオーケストラのメンバーは席を立ちません。期待が膨らむ中、今度は玉置さんが一人でステージに姿を見せました。上手の端まで歩み寄った玉置さんは、まず背後のオーケストラに向けて、心からのリスペクトを込めて手を伸ばします。その後、客席に向き直ると、両手で鮮やかなハートマーク🫶を作り、さらにはこの日二度目となる温かなエアハグを贈りました。そして、今度は玉置さんが下手へ向けて合図を送り、田中さんをステージへと呼び戻します。普段とは逆の、玉置さんからの指揮によって指揮者が再び現れるという、実に粋な光景でした。

玉置さんの退場後、最後は田中さんがコンミスに合図を送り、コンミスが一歩前に出て晴れやかに一礼。その瞬間、場内に終演のアナウンスが流れ、充実感に満ち溢れた浜松公演が幕を閉じました。

以下、本公演のセットリストです。

4. セットリスト

billboard classics
玉置浩二
LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026
“Fanfare”
4月30日
アクトシティ浜松 大ホール
セットリスト

【一部】
1. ファンファーレ(管弦楽)
2. 歓喜の歌(管弦楽)
3. GOLD
4. キラキラ ニコニコ
5. 純情
6. MR.LONELY〜サーチライト(メドレー)
7. Friend
【二部】
8. 歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より 間奏曲(P.マスカーニ/外山雄三編曲)
9. アリア
10. 行かないで
11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)
12. JUNK LAND
13. 夏の終りのハーモニー
【アンコール】
14. 田園
15. メロディー
16. ファンファーレ

5. 公演後の様子

公演後の会場の様子です。

改めて実感したのは、アクトシティ浜松の音響の素晴らしさです。その響きの豊かさは、シンフォニックコンサートを上演するのにこれ以上ないほどふさわしい空間であることを再認識させてくれました。また、会場を包む空気感も格別でした。盛大に盛り上がる場面と、静寂の中で一音を慈しむ場面。そのメリハリを心得た観客の鑑賞スタイルが、ステージ上のパフォーマンスと見事に共鳴し、会場全体が一体となってこの素晴らしい公演を作り上げていたように感じます。心揺さぶられる感動の余韻に浸りながら、また来年もこの場所でこの響きに再会したい、と切に願いました。

こばかず

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