先日の3月17日、billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026 “Fanfare”@やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)公演に参加しました。
指揮:大友直人
管弦楽:山形交響楽団
※本投稿では、公演のセットリストや演出を記載します。本ツアーは15都市25公演の規模で行われます。初日を迎えていない方や、ネタバレに抵抗のある方はご注意ください。
1. 公演前の様子
公演前の会場の様子です。








昨年、初開催となった山形県でのシンフォニックコンサート。今年も開催が実現し、2年連続で公演が行われることになりました。
2. 第一部の様子・各曲の感想

この日の座席は、1階席中央のやや上手寄りでした。正面からステージ全体を見渡せる良好な位置で、玉置さんと大友さん、そしてオーケストラが連動して一つの音楽を創造する様子がよく分かりました。
定刻の18時00分ちょうど、舞台の左右前後方にある4つの扉が一斉に開き、山形交響楽団のメンバーが続々と入場します。最後にはコンサートマスターが一人で登場。その姿を追うようにスポットライトが照らされました。そこから静かにチューニングが始まると、オーボエのまっすぐな音色を皮切りに、オーケストラの豊かな響きがホールを満たしていきました。
調律の最終盤には会場がゆっくりと暗転。ひとときの静寂が訪れた後、マエストロの大友さんがステージに姿を現しました。大友さんはコンサートマスター、そしてトップサイドの奏者と固い握手を交わすと、客席の方を向き、凛とした綺麗な所作で一礼。そのまま指揮台へと登り、山形公演が開幕しました。
1. ファンファーレ(管弦楽)
大友さんのゆったりとした指揮に合わせて、打楽器が一定のリズムを刻み始めました。そこへフルートの音色が優しく重なり、原曲の前奏を思わせる美しいメロディーを奏でます。テンポを落とした重厚な演奏が序曲としての期待感を高め、ライブならではの特別な緊張感を醸し出していました。
続いて、その旋律をストリングス隊が引き継ぎます。大所帯の弦楽器が一斉に高鳴ると、会場の空気は一気に本格的なシンフォニーの色彩に染まりました。最後は金管楽器が力強く主旋律を締めくくり、曲が進むにつれてどんどん音の層が厚く、ゴージャスに展開されていきました。いきなり交響曲の真髄を見せつけられたような、贅沢で華やかな幕開けとなりました。
2. 歓喜の歌(管弦楽)
ホルンの渋い一音が響き、管弦楽は「歓喜の歌」へと移り変わります。ここでの見どころは、大友さんの緻密な指揮でした。フレーズの終わりごとに、たっぷりと余韻を残して静かに締め、新しいパートへと入っていくスタイル。この空白という贅沢な時間を惜しみなく使ったタクトは、聴いている側にとって非常に心地よいものでした。大友さんの指揮が意図することも、客席までまっすぐに伝わってきました。管楽器・高弦・低弦へと順々に的確な指示を出すその姿は、まさにオーケストラを率いる指揮官そのものでした。
クライマックスに向けて演奏は一気に熱を帯び、大友さんの指揮にも力がこもります。それに応えるように金管楽器が高らかに鳴り響き、弦楽器はシャープで力強い旋律を刻んでいきました。最後は大友さんが両手を大きく掲げ、胸の前で力強くクロスさせる圧巻のフィナーレ。一斉に音が止まり、ストリングス隊の弓が美しく舞う光景で見事に序曲を締めくくりました。
演奏が終わると、大友さんは一度指揮台を降り、ステージの下手に向けて拍手を送ります。その拍手に導かれるように、いよいよ玉置さんがステージに姿を現しました。白のインナーにグレーのスカーフを重ねたレイヤースタイル。上半身を華やかに、そして上品に彩る衣装がとても洗練されています。
玉置さんが大友さんと固い握手を交わし、客席の方を向いて一礼すると、会場の拍手は一段と大きく、熱を帯びて響き渡りました。しかし、玉置さんが静かにマイクを手に取ったその瞬間、あれほど鳴り響いていた拍手はパタリと止み、会場に静寂が訪れました。ついに第一部の本編が始まります。
3. GOLD
玉置さんと大友さんが、互いに視線を交わして準備を確認した後、演奏がスタート。大友さんが下手に向けて静かに指揮を振ると、ストリングスの合奏が響き出しました。第一声は
行こう…遠くまで
会場の音響はとても良好で、玉置さんの歌声が驚くほどまろやかに、そして心地よく耳に届きます。玉置さんは一音一音の強弱を緻密にコントロールしながら、歌声に合わせてマイクの位置を絶妙に調整し、ホール全体を包み込むような見事な響きを作り出していました。
大友さんとのコンビネーションもやはり見事でした。中盤の
思い…馳せよう
星屑と地の果てへ
や終盤の
だから…行こう
星屑と地の果てへ
といったフレーズで、玉置さんがゆっくりと声を置き、それを追いかけるように大友さんが急峻な指揮でオーケストラを導く。こうした一連の動きは、ステージがまさに一つになった瞬間でした。
中盤から終盤に差し掛かる間奏では、大友さんが弦楽器をかき鳴らすような情熱的な動作で、壮大な合奏を引き出します。玉置さんも感傷的な表情を浮かべ、美しい裏声のフェイクを重ねていく姿がありました。
曲のラストは、
笑いながら
行こう…
という玉置さんの声が、さざ波のように静かに、そして柔らかく迫ってきます。その余韻を消さぬよう大切にした後、大友さんの指揮が再開。全体を優しく調和させるような大きな指揮を楽団に送り、最後は右手を胸元でそっと握る仕草で締めくくりました。
いきなり圧倒的なオープニングになりました。この一曲だけで、この日の公演が素晴らしいものになることを確信させました。
4. キラキラ ニコニコ
暗闇のステージに音が少しずつ重なり、光が満ちていくクレッシェンドな幕開け。それはまるで静かな夜が明け、ゆっくりと朝日が昇っていくような神々しい光景でした。
歌が始まると、ステージは柔らかな緑色に染まり、朝の光を浴びる広大な草原のような爽やかさに包まれました。玉置さんの歌声は、序盤は音量を抑えつつも、深い低音が心地よく響く見事な表現力。会場の上質な音響も相まって、非常に重厚感のある歌声が聴こえました。
海へ行こうよ 世界は広いよ
のフレーズで照明がパッと青に変わると、景色は一気に深い大海原へと広がりました。
僕が君の輝く星にな・る
では、玉置さんが大友さんとまっすぐ向き合い、歌のタイミングを見事に合わせる姿が印象的でした。
続く間奏のシャウトでは、マイクを大きく離しながらもホール全体を震わせる迫力を見せ、緻密な歌唱との鮮やかなギャップが生まれました。続くパート、
おはよう〜〜〜
どんな天気でも
の瞬間、ステージは真っ白な光に貫かれ、玉置さんの歌声もどこまでも伸びやかに力強く響き渡りました。その直後、もう一度訪れる短編の間奏では、マイクを離した生の声と、直後のマイクを通したクリアな歌声の使い分けが見事でした。
(全力)
全力で笑って
のパート。その音量の差が奥行きとなって現れ、会場を立体的な音響で包み込みました。
曲のラスト、
キラ・キラ・ニコ・ニコ
の場面では再び大友さんとの濃密なコンビネーションが光ります。大友さんが両手を軽く弾ませるように指揮を送ると、それに合わせてハープの可憐な音が鳴り響き、最後は玉置さんの深みある
だね…
という歌声が穏やかに客席まで届きました。
その余韻を存分に味わせた後、大友さんの指揮で演奏が再開。壮観なオーケストラの演奏に、玉置さんが力強いシャウトを重ねる応酬が感動的でした。最後は大友さんが広げた両手を内側に絞るようにしてゆっくり音を止めると、その瞬間、玉置さんは左手をそっと客席へと伸ばしました。
演奏後、二人は互いに手を伸ばし合って健闘を讃え、玉置さんはさらにもう一度、大きく左手を客席へ。その一連の動作に深く引き込まれたフィナーレでした。
5. いつもどこかで
再び静寂に包まれたステージに、少しずつ音量を増していく前奏が響き渡ります。歌い出しとともに響いたのは玉置さんの深みのある低音。会場の素晴らしい音響も作用して、その一音一音がまっすぐ客席へ届きました。
曲中盤、ラストの歌唱パート、
暗闇に迷う時は 僕の愛を感じるように
の最後には、大友さんがステージ奥のブラスセクションへ向けて明確な合図を送ります。その淀みのない指揮に応えるように、オーケストラからはゴージャスな響きが溢れ出しました。
クライマックスに向けて熱を帯びる中、玉置さんのロングトーンが冴え渡ります。
吹きすさぶ 風の中も
や
忘れないで どんな時も
の語尾で、
も〜⤵︎〜⤴︎〜
というように本来下がる音程をあえて波打つように上下させ、衰えるどころかさらに伸びていくメロディーを作り出しました。この独特な歌い回しは、昨年からよく目立つように感じます。
そして、最大のハイライト、
僕が君を〜〜〜〜〜
のロングトーンが響きます。玉置さんがマイクを大きく下げて歌い上げた瞬間、大友さんが咄嗟に指揮を弱め、オーケストラの音量を抑えたように見えました。歌声と演奏のバランスを瞬時に整えるその判断によって、会場には全体最適の響きが生まれました。トーンの締め際には玉置さんがマイクを急激に近づけ、音の微細なニュアンスを届けきる姿を見せました。まさに「神は細部に宿る」を体現したパフォーマンスでした。最後は
包んでいるよ…
という優しい一言が、静寂の中にまろやかに溶けていきます。その余韻をたっぷりと味わってから後奏が再開。初めの3曲、いずれもラストに訪れる贅沢な間が記憶に深く刻まれる一曲となりました。
6. MR.LONELY〜サーチライト(メドレー)
軽快なリズムで「MR.LONELY」の前奏が始まると、玉置さんの透き通るような裏声が、オーケストラの音色に寄り添うように優しく響き渡ります。
1番を歌い終えた後の間奏、ここでは玉置さんが大胆なシャウトで発声パートを歌いました。これまでの公演ではメロディーラインを大きく崩す歌い回しも見られましたが、この日は原曲の旋律に忠実な歌唱を見せました。
穏やかだった1番に比べ、2番からは楽曲が大きく動き出します。まず、
人の気持ちになって
この心が痛むなら
というフレーズで、胸に手を当てるジェスチャーを見せる玉置さん。その姿はとても強調されたシーンでした。
そしてサビへ向かう直前、ストリングスの音階が飛躍的に高まり、感情を爆発させるような玉置さんのシャウトが溌剌と響きます。ムードが高まるオーケストラの演奏に乗せて歌う玉置さんのボーカルは、互いの熱量を高め合う見事な相乗効果を生んでいました。
ラストサビに向けてバックの演奏もスピード感を増し、玉置さんの歌声もさらに激しさを極めていきます。突き抜けるような歌声と疾走感あふれるオーケストラが一体となった、圧巻のラストでした。
楽曲は、温かな余韻を残したまま「サーチライト」へと移ります。暗闇をベースに、時折パッと白く差し込むライティングが、ステージにシックで洗練された雰囲気を醸し出しました。
序盤はオーケストラの演奏をやや控えめに抑えた構成。その静寂の中で、玉置さんの深みのある低音がひときわ際立ち、心にじわりと染み渡りました。こうした静かな空気も、サビに入る直前、大友さんのダイナミックな指揮が一変させます。一気に迫力を増したオーケストラの演奏に呼応するように、ステージ全体が眩いほどの白光で照らされました。玉置さんの歌声もそれに合わせて力強さを帯び、特にラストサビでのパフォーマンスは、聴いているこちらの胸が締め付けられるほど切実で、張り詰めた想いが波のように押し寄せてくるようでした。
後奏では、楽器の音色に寄り添うように丁寧なフェイクを重ねていく玉置さん。一音一音を慈しむようなその姿は、最後まで一点の妥協も感じさせない、完成された美しさがありました。
7. Friend
序盤はピアノの伴奏のみが静かに寄り添い、真っ白な光に照らされた玉置さんの姿を浮かび上がらせます。この玉置さんの歌声には、一瞬で心を鷲掴みにされるような強い引力がありました。フレーズの合間に漏れる豊富なブレスまでもが音楽の一部となり、感傷的な表情で一言一言を紡いでいく姿。この日は特に、いつまでもその静かな世界に浸っていたいと思わせるような、至高のパフォーマンスでした。
しかし、サビに入るとその静寂は一気に打破されます。玉置さんの歌声は力強いロングトーンへと変化し、この日はビブラートを抑えたまっすぐな響きがホールに満たされました。どこまでも伸びていくその開放的な歌声は、まさに圧巻の一言でした。
ラストサビの締めくくり、玉置さんは右手に持ったマイクをグッと掲げ、ガッツポーズのような力強い姿勢で歌い切りました。そのまま万雷の拍手に見送られ、堂々とした姿でステージを後にします。
主役が去った後も、オーケストラによる壮大な後奏は続きます。最後は、大友さんが、左手をゆっくりと握りしめる優雅な指揮で音を収め、第一部のフィナーレを見事に飾りました。
3. 第二部の様子・各曲の感想
約20分間の休憩を終え、第二部が幕を開けます。山形交響楽団のメンバーが再びステージに姿を現し、入念に調律が行われました。その後、大友さんも再登場。管弦楽で第二部が始まります。
8. 歌劇『フィガロの結婚』より 序曲(W.A.モーツァルト)
弦楽器がざわめくような動的な旋律でスタート。すると、すぐさま音の波が膨らみ、エネルギッシュで鮮やかな演奏へと塗り替えられていきました。中盤では、弦楽器と木管楽器が見事な合奏を繰り広げます。華やかなストリングスの響きと、温かみのある木管の音色が重なり合い、ホールは極上のハーモニーに包まれました。
この曲で一際目を引いたのは、大友さんの情熱的な動きです。指揮台を端から端までワイドに使い、上手から下手へと体を大きく入れ替えながら、楽団の隅々にまで指揮を展開しました。終盤には金管楽器が力強い助奏を加え、演奏はさらにゴージャスなフィナーレへと突き進みました。最後は大友さんが溢れる音を一気にかき消すような激しい動作で締めくくり。会場は大きな拍手に包まれ、主役の再登場を待つ準備が整いました。
管弦楽のリンクを以下に貼ります。2021年の“КАПЕЛЬ”(カペーリ)公演でも実演された曲目で、その一部を確認できます。
余談ですが、本公演が行われた前の土日は、大友さんが琉球交響楽団の定期演奏会で指揮を担当しました。ここでも『「フィガロの結婚」の序曲』が実演されており、大友さんにとっては連日、同曲の指揮を務めたことになりました。
【楽団員募集】
— 琉球フィルハーモニック (@Ryukyu_symphony) June 18, 2012
琉球フィルハーモニックでは、一緒に演奏活動を行っていただける演奏家を募集しています。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。皆様のご応募をお待ちしております。 ryukyuphil.org/category/news/
ここで玉置さんがステージに姿を現します。客席からの拍手が一層大きくなり、再登場を温かく迎え入れました。インナーまで黒くなった衣装は、より威厳を感じさせます。玉置さんがテーブルに置かれたマイクを手に取ると、パタリと拍手が鳴り止み、固唾を呑んで本編のスタートに備えました。
9. 純情
ヴィオラのトップ奏者とオーボエの柔らかな合奏で幕を開け、そこへストリングスやフルートが重なっていく美しい前奏がスタート。歌が始まると、玉置さんの深みのある低音が一際豊かに響き渡ります。玉置さんのコンディションの良さと、ホールの優れた音響が最高のシナジーを生み出しており、そのパフォーマンスに圧倒されました。
この日は、玉置さんがリズムを絶妙に操っていたのが印象的でした。タメを作ったり、逆に少し走るようなニュアンスを加えたりと、ライブならではの歌い回しを見ました。サビではパワフルな歌声が全開となり、その中でも特に、
お〜〜まえが宝物
のロングトーンが会場を震わせました。直後、一転して演奏が静まり返り、
その言葉だけ投げ出さずいた
というフレーズが無伴奏のように響くアレンジは、この静の時間が、かえって楽曲の持つ良さを引き立てていました。
ラストサビの、
思ったように 好きに生きなよ あせらず
からは、オーボエの温かな音色が玉置さんの声にそっと寄り添う伴奏で曲が進行していきました。この場面、何度聴いても感動が胸に打ち寄せてきます。
そして、ついに楽曲もクライマックスへ。オレンジ色の照明がパッと青く切り替わり、玉置さんが天高く
かあちゃん
と叫びます。そのシャウトだけでも十分すぎるほど感動的でしたが、この日はさらにその先がありました。声を震わせながら、絞り出すように歌われた
おかあさん
という一言。冒頭の叫びよりも一層切実な響きは、聴く者の胸を強く締め付けました。その後も後奏に合わせて思いの丈をぶつけるようなシャウトが続き、非常に感動的なラストとなりました。
演奏が終わると、玉置さんと大友さんは静かに向き合い、互いに自分の胸にそっと手を当てました。続いて、互いへ敬意を表するように手を伸ばし、再び手を胸に当てる動作を見せた両者。曲後もドラマチックな光景が繰り広げられました。
10. 行かないで
極限までテンポを落とした非常にゆったりとした流れの中で楽曲が始まりました。ステージには幻想的な世界が広がり、その静寂の中で玉置さんが一言一言を噛み締めるように紡ぐ歌声が一層際立ちます。
サビでは、パワフルな地声から繊細な裏声への鮮やかな切り替えが見事でした。1番の
いつまでもずっと 離さないで
と力強く訴えかけるような歌声から、続く
Ah〜
で震えるような裏声へと変化させる。その切なさに満ちた響きに、会場中が息を呑むような感動に包まれました。
2番が終わった後の間奏でも、大きな見どころがありました。オーボエの美しいソロからオーケストラの合奏へと厚みを増していく瞬間、玉置さんは右手に持ったマイクを胸の前でそっと構えるポーズを披露。ステージの最前線で一際大きな存在感を放ちました。
11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)
ここで会場の雰囲気は一変。ホールには一気にロックの躍動的な空気が流れ始めました。そのメドレーのトップを飾るのは「ワインレッドの心」です。玉置さんは、一つひとつの言葉を噛み締めるように、驚くほど懇切丁寧に歌い進めていきます。この日はいつもよりも一言一言に魂を込めて、大切に歌い上げる姿が印象に残りました。言葉の節々にまで力が漲る歌声で、それまでの2曲で生まれた感傷的なムードをガラリと変えるパフォーマンスでした。
ワクワク感を煽るような間奏を経て、流れるように「じれったい」がスタート。非常にテンポ良くリズムが刻まれ、そこへ金管楽器の力強い音色がたたみかけるように加わることで、楽曲のスピード感はさらに加速していきました。オーケストラの重厚な演奏に乗り、玉置さんも実に乗り良く、楽しげに歌声を響かせます。曲のラスト、
もっと もっと知りたい
のフレーズでは、これまでの原曲に沿った歌い方とは一線を画し、テンションを引き上げていくお馴染みのアレンジで終了しました。
オーケストラの雄大な演奏に導かれ、いよいよ「悲しみにさよなら」が始まります。序盤、大友さんは玉置さんの方を向き、リズムに合わせて軽やかに体を揺らしながら、軽快な指揮を展開しました。
1番のサビの終わりには、玉置さんが客席へ向かってまっすぐ手を伸ばし、
愛を世界の平和のために
と歌い上げると、会場からは割れんばかりの大きな拍手が沸き起こりました。続く間奏ではいつも以上に情感たっぷりとフェイクを重ね、ラストサビへ向けて一気にボルテージを引き上げていきました。
ラストサビはブラスが高らかに鳴り響く中、玉置さんの歌声はさらに力強さを増します。特に印象的だったのは、以前参加した堺公演でも心を打たれた
泣かないでひとりで
(※)その胸にときめく
愛を叶えられたら
の助奏パート。大友さんが左手を高く掲げてトランペットの音色を鮮やかに引き出すと、そのまま左手を一回転させて音を収め、そこから自然に両腕でのダイナミックな指揮へと移行しました。
メドレーの最後を飾ったのは、玉置さんの圧巻のノーマイク歌唱でした。
泣かないでひとりで
ほゝえんで見つめて
あなたのそばにいるから
マイクを体から大きく遠ざけて放たれた歌声はホールの隅々まで力強く響き渡り、この素晴らしいメドレーを完璧な形で完結させました。
12. JUNK LAND
大友さんならではの、疾走感あふれる爆速なテンポで演奏が展開されます。その猛烈なスピードに、玉置さんは高いテクニックで次々とフレーズを捌いていきました。ここでは玉置さんはステージ上を自由自在に動き回り、大友さんに近づいたり、客席へ向けて大きくジェスチャーを見せたりと、そのパフォーマンスにはまだまだ底知れない余裕すら感じさせました。
あっという間に1番と2番を駆け抜け、楽曲は転調パートへ。その瞬間、眩いばかりの白い照明がステージを埋め尽くし、客席まで光が溢れ出しました。玉置さんの歌声もさらに力強く、どこまでも伸びやかに変化し、一曲の中で壮大に塗り替えられていく世界観が見事でした。玉置さんの大きなジェスチャーも迫力を感じさせました。
緑の丘で 二人で暮らそう
では客席に向けて大きく手をスライドさせ、
限りなく青い大空
では真正面を指差して、背伸びをするようなダイナミックな動作。全身を使って音楽を表現していることが伝わってきました。
フィナーレでは、玉置さんと大友さんが正面からしっかりと向き合い、完璧なタイミングで演奏を締めくくりました。この日は、オーケストラの音が止まった後も、かすかに玉置さんの美しい裏声が続く締めくくりになりました。
演奏が終わると、大友さんは指揮台を降りて玉置さんのもとへ。二人がガッチリとハグを交わす光景からは、この素晴らしいステージを共に作り上げた深い絆のようなものが伝わってきました。
13. 夏の終りのハーモニー
1番のサビの終わり、
いつまでもずっと
忘れずに〜〜〜
と放たれたロングトーンがとても長い歌声でした。繊細ながらも途切れない、見事なトーンが一筋に紡がれました。その歌声の最終盤、まもなく2番に入ろうとするタイミングでは、観客席から一斉に拍手が発生。そんな予期せぬ熱狂に応えるかのように、玉置さんは2番の始まり、
今夜のお別れに最後の二人の歌は
というフレーズで、そっと胸に手を当てて歌い上げました。そのさりげない仕草によって、少しでも観客の興奮に報いる気配りのようなものを感じました。
そしてラストは、マイクを遠ざけてのノーマイク歌唱。全身の力を振り絞り、生の声だけで届けられる圧倒的な響きが、ホールの隅々まで力強く浸透していきました。後奏が静かに終わりを迎えようとする中、玉置さんは両手を胸の前で握り合わせるポーズを披露。その充実感に満ちた晴れやかな表情がとても印象に残りました。
演奏が幕を閉じると、客席の照明が一斉に点灯し、華やかなカーテンコールの時間が始まりました。下手側には大友さん、上手側には玉置さんが立ち、その後ろでは山形交響楽団のメンバーも全員が起立。壮大な拍手が観客席から惜しみなく送られました。鳴り止まない拍手の中、しばらくすると、客席からは一人、また一人とその場に立ち上がるスタンディングオベーションの輪が広がりました。ここで客電がさらに明るくなり、眩しくホールを照らす光景が眼前に飛び込んできました。その景色は、単なるシンフォニックコンサートの枠を超え、クラシックの真髄に触れたかのような崇高で美しいものでした。
一度、二人がステージを後にすると、観客と楽団は静かに着席します。しかし、座りながらも拍手が途切れることは決してありませんでした。その熱意に導かれるように、玉置さんを先頭に大友さんが再びステージへ。その瞬間、再び観客が総立ちとなり、ホールは二度目のスタンディングオベーションに包まれました。
しばらくの間、降り注ぐ拍手を全身で浴びていた玉置さんでしたが、最後は下手袖を指差す

👈👈👈
という合図を観客に送り、軽やかな足取りで退場。続いて大友さんが指揮台へと登りました。ここでは大友さんが客席を振り返り、着席を促して次の一曲に向かいました。
14. 田園
ベートーヴェンの「田園」が優雅に奏でられる管弦楽のスタート。そこへ玉置さんの「田園」のメロディーが重なり始めると、客席からは自然に手拍子が沸き起こりました。完全に玉置さんの「田園」が優勢になり、前奏が始まったところで玉置さんが再びステージへ。この日はいつもより早くステージに登場しました。前奏では、舞台上で奏でられる演奏音のリズムを確実なものにするためか、玉置さんと大友さんが正面から向き合い、しっかりと呼吸を合わせる姿が印象的でした。
Aメロに入ると手拍子はピタリと止み、フルートや鉄琴の軽快な音色に乗って、玉置さんの歌声がリズミカルにホールを駆けていきました。サビからは再び手拍子が発生し、ボルテージは急上昇。そして、そのラストを
愛はここにある 山形にある
と玉置さんが力強く歌い上げた瞬間、客電が全灯し、会場の熱量は最高潮に達しました。
続く間奏や2番終了後の間奏で見せた、玉置さんの自由自在なアレンジも、曲のムードを高めていきました。前者では最終盤に音程を引き上げていく歌い方を見せ、後者ではフレーズ間に
Yeah!
と細かく刻むシャウトを放ちました。
そして、ラストのクライマックスへ。玉置さんと大友さんが正面から向き合い、圧巻のシャウトが響き渡ります。大友さんがダイナミックに指揮を振り抜く合図と、玉置さんがマイクを天高く突き上げるポーズが完璧にシンクロして、見事な大団円を迎えました。
演奏が終わると、会場は再び地鳴りのような拍手に包まれました。玉置さんと大友さんが一度ステージを後にし、再び姿を現すと、さらなる盛り上がりに。やがて大友さんが指揮台へと登り、玉置さんが静かにマイクを手に取ります。その姿に、客席からは抑えきれない歓声が二度、三度と飛び交いました。しかし、大友さんが指揮のモーションに入ったその瞬間、一気に張り詰めた空気が流れ、何人も入り込めない神聖な空間が広がりました。
15. メロディー
あんなにも好きだった…
と玉置さんの第一声が響き渡った瞬間、会場は再び拍手に包まれました。しかし、歌が進むにつれてその拍手は自然と止み、以降は静かに曲が展開されていきました。
この日の玉置さんの歌唱は、これまでの公演の中でも群を抜いてハイクオリティな出来栄えのように感じました。一言一言が研ぎ澄まされ、実に透明な響きがホールの隅々まで染み渡っていきました。
2番終了後の間奏中、玉置さんはいつもより少し長い余韻を保ってからマイクをテーブルに置きました。以降のラストサビはノーマイク歌唱で、感動的な生の歌声が響き渡りました。1回目は流れるような裏声で
メ〜ロディ〜
泣きながら〜
と美しく、2回目は
メロ⤴︎〜ディ〜
と、飛び跳ねるような力強い響きで歌い上げました。そして、最後の
泣かないで〜〜〜
のロングトーンに、オーケストラの重厚なバック演奏が重なります。この日は、演奏音が静かに消えた後も、玉置さんのトーンは長く続いていました。最後は優しく
あの歌は心から聞こえてるよ
と締めくくり、見事なフィナーレを飾りました。
曲後、ステージ上では玉置さんと大友さんが何やら熱心に話し込んでいました。すると、突如大友さんがコンマスに向けて力強い合図を送ります。その表情は「よし、やるぞ!」と言わんばかりの気合に満ちていました。大友さんが再び指揮台の壇上へ力強く足を踏み出すと、それに応えるように玉置さんもマイクを手に取り、次曲に移りました。
16. ファンファーレ
大友さんのゆったりした指揮で、フルートが奏でる澄み渡った前奏がスタート。優雅な音色がホールに響き渡ると、客席から大きな拍手が巻き起こりました。沸き立つ拍手は演奏がかき消されるほどに大きく、会場は大興奮に包まれました。
やがてハープの連弾に打楽器が重なると、曲調は鮮やかにアップテンポへと転調。疾走感あふれるリズムの中、玉置さんは両手を大きく広げ、ステージの最前線で圧倒的な存在感を示しました。そこには、二人のマエストロが並び立っているように見えました。楽団を鮮やかに統率する大友さんと、客席の熱量を自在に操る玉置さん。ステージを境界線に、両方向へ向けて完璧な指揮が執られているかのような、神々しい光景が広がりました。
歌唱が始まると、ストリングス隊の指弾きが弾けるようなリズムを刻み、躍動感をさらに加速させます。公演を重ねるごとに凄みを増す玉置さんの歌声は、この日も驚くほどの張りと艶を放っていました。サビ前、金管楽器による高らかな「ファンファーレ」が鳴り響くと、会場はゴージャスな空気に包まれます。
愛に向かって行きなさい
まっすぐに手を伸ばす玉置さんの姿に、客席のボルテージは最高潮へ。
直後の間奏での鋭い
ヘイ!
というシャウト、そして2番で見せた
千切れた手綱と絆を
結いつけて守っているから
で手を結びつけるジェスチャー。一つひとつの動作が、歌詞に命を吹き込んでいきました。
さらなる見どころは、後奏での玉置さんのパフォーマンスです。上層階の下手から上手へと、演奏のスピードに合わせてゆっくりと、かつ力強く手をスライドさせていきました。メロディーが節目になるたびにその動作を繰り返し、上の階から下の階まで、会場にいる一人ひとりに向けて丁寧に手を伸ばし続ける玉置さんの姿は、客席から見てとても大きく映りました。
最後は、一度静まった音が再び重層的に膨らむオーケストラのダイナミックなフィナーレ。大友さんの渾身の指揮と、玉置さんが天に向けてマイクを突き出すガッツポーズが完璧に重なり、公演はこれ以上ないほどの大団円を迎えました。
曲の余韻が冷めやらぬ中、玉置さんと大友さんが一度ステージを後にします。しかし、客席の熱い想いに応えるように、再び玉置さんが一人でステージへと戻ってきました。玉置さんが下手に向かって手を上げると、その合図で大友さんも再登場。舞台中央で再び固く手を取り合い、この日の見事なパフォーマンスを作り上げた互いの健闘を讃え合う姿に、会場からは温かな拍手が送られました。すると、玉置さんがマイクを通さず、客席の隅々まで届くようなまっすぐな声で叫びました。

ありがとう〜!!!
その後、玉置さんは颯爽とステージを後にします。大友さんもまた、客席へ深く一礼し、オーケストラに合図を送ると、静かに袖へと消えていきました。
主役の二人が去った後、コンサートマスターが一歩前へ出て深々と一礼。それに合わせて山形交響楽団のメンバーも退場を始めます。館内アナウンスが流れた後もなお、最後の一人がステージを去るまで、大きな拍手が止むことはありませんでした。こうして素晴らしい山形公演が幕を閉じました。
以下、本公演のセットリストです。
4. セットリスト
billboard classics
玉置浩二
LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026
“Fanfare”
3月17日
やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)
セットリスト
【一部】
1. ファンファーレ(管弦楽)
2. 歓喜の歌(管弦楽)
3. GOLD
4. キラキラ ニコニコ
5. いつもどこかで
6. MR.LONELY〜サーチライト(メドレー)
7. Friend
【二部】
8. 歌劇『フィガロの結婚』より 序曲(W.A.モーツァルト)
9. 純情
10. 行かないで
11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)
12. JUNK LAND
13. 夏の終りのハーモニー
【アンコール】
14. 田園
15. メロディー
16. ファンファーレ
5. 公演後の様子
公演後の会場の様子です。







今回、同会場は初めての訪問でしたが、駅直結という利便性の高さに加え、細部まで計算された素晴らしい音響を備えた、見事なコンサートホールでした。地方にこれほど上質で本格的なホールがあるということは、文化を育む上で非常に大きな意義があると感じました。
こばかず

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