こんにちは。
こばかずです。
先日の2月28・29日、billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024 “Pastorale”@那覇文化芸術劇場なはーと公演に参加しました。
※本投稿では、公演のセットリストや演出を記載します。本ツアーは11都市21公演の規模で行われます。初日を迎えていない方や、ネタバレに抵抗のある方はご注意ください。
今回は2公演分をまとめて記載します。
1. 公演前の様子
公演前の会場の様子です。
1日目
2日目
昨年、Navigatoria公演のファイナルになった会場が、Pastorale公演のスタートの地になりました。那覇文化芸術劇場なはーとは2021年に開館した会場で、新築の香りが残っています。個人的にこの香りが非常に好きで、「また沖縄に来たな」という実感がありました。
公演の前日に公開されたメインビジュアルも掲示されていました。Navigatoria公演のビジュアルも迫力がありましたが、今年のものもそれ以上だと思います。
2. 公演の様子・各曲の感想
1日目の座席は前方右端、2日目の座席は前方正面でした。特に2日目は真正面の良席で、ステージの様子がしっかりと確認できました。
公演開始の15分前には「開演5分前からは許可のない写真撮影は禁止」のアナウンス、5分前には「まもなく開演が始まります。ロビーにおいでのお客様は、お席にお戻りください。」のアナウンスが流れ、そのときを待ちます。
両日ともに定刻通り、公演スタート。ステージ左右の袖から琉球交響楽団のメンバーが登場します。全員が所定の位置に着くと、コンサートマスターでバイオリン奏者の森下さんによる合図で、最後の調律音が奏でられます。その音が鳴り止み、しばらく経ってから大友さんが左側の舞台袖から入場、ここで拍手が強くなります。楽団員を起立させ、全員でお辞儀をしたのちに指揮台へ上がり、公演開始です。
以下、初日公演につき、曲名は文中に記します。
1曲目
いつも通り「歓喜の歌」が始まると思いきや、始まったのは【ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」第5楽章】です。「田園(Pastorale)」と銘打った公演タイトルにふさわしい、ストーリー性を感じる選曲だと思いました。オーケストラの演奏は、大自然を連想させるような心地良い音色が印象的でした。
「田園」の一部分が演奏されたところで、1度大友さんの指揮・楽団の演奏が止まると、続けざまに演奏再開。【歓喜の歌】がここで始まります。「今年もこの季節がやってきた!」という気持ちをヒシヒシと感じ、感動を覚えながら演奏を聴きました。曲のラストは、徐々に音が強くなる演奏で、大友さんが胸の前で両腕をクロスするポーズで終了。序曲のオーケストラ演奏が終わりました。
客席から拍手が起こり、大友さんが左の舞台袖に右手を挙げる“指揮”で玉置さんが登場。ここで拍手がさらに強まります。ステージ中央まで来ると、大友さん・森下さんとガッチリ握手。その後、会場内が暗転して本編がスタートします。
2曲目
2日目は曲間の規制入場により、このタイミングで多くの観客がホールに入って来ました。それを察した大友さん、指揮を開始することなく全員が着席するまで待ちます。玉置さんもこの状況を見て、理解を示すように数度うなずいていました。ステージ上にいても冷静な大友さんの判断、見事だったと思います。全員が自席に着き、会場が落ち着いてからコンサート再開です。
1日目の曲の入り部分、私はやや違和感を覚えました。玉置さんと大友さんがお互いに見合い、いつも以上に入念に、阿吽の呼吸を探るような雰囲気があったのです。
これは玉置さんの歌い始めで始まる曲が演奏されるのか?
と思ったところで、バイオリンの一音がスタート。その音が消えると、
いつまでも、どこまでも、歩いて行こう
と伴奏の無い中で玉置さんの歌声が聞こえます。2曲目は【ボードビリアン 〜哀しみの道化師〜】です。やはり玉置さんの歌唱で始まる曲でした。
さざ波がきらめく、白い砂浜を…
ここまでアカペラで歌うと、その後はオーケストラの静かな演奏に合わせて、ゆっくり・しっとりと進行します。そこからの玉置さんは、マイクを口に近づけ、一音一音・一言一言を噛み締めながら、丁寧に歌う歌い方でした。それが、
① やわらかなショールになって、君を包むよ、Oh〜 ② つらくても泣かないって、心に決めよう、Oh〜
とやや盛り上がりが生まれるところでは、マイクを胸の高さまで遠ざけて歌うテクニックも見ました。
オーケストラの演奏で印象的だったシーンも2つあります。1つ目が、1番が終わった後の間奏で、コンマスの森下さんによるソロ演奏。綺麗なバイオリンの音が響きました。2つ目が、ラスト「軽やかにタップ踏んで…」直後の間で、木を打つような「コロコロコロ」といった音が聞こえたことです。原作でもうっすら聴こえるこの音が、会場ではより鮮明に聴こえていました。
安全地帯の、比較的マイナーなアルバム曲が選曲されたことには、やや驚きました。おそらく今後は、安全地帯・玉置浩二の垣根を越えて、各ツアー・公演のセットリストに組み込まれて行くのではないかと思いました。
3曲目
フルートの澄んだ前奏でスタート。冒頭は
トンネルのアーチの隅、酒瓶片手のホームレス
の歌声。3曲目は【ホームレス】です。これまた意外な選曲に驚きました。玉置さんの歌唱パートが始まると、オーケストラの主役がフルートからバイオリンにチェンジ。滑らかな演奏が音の下支えをする中、この曲でも一言一句を大切に歌う玉置さんの歌い方が印象的でした。それにも関わらず、重厚な低音が一直線に響き渡る歌声に、最高の心地良さを感じました。
この曲は、照明演出も印象に残っています。曲中はステージ中央真上から、薄いオレンジ色の太い光線が2本、玉置さん・大友さんを照らしていました。間奏で再びフルートが主旋律を演奏すると、この照明が4本になり、演奏者も強調します。バラード曲のため、これ以外に目立った演出はなく、至ってシンプルな空気の中を曲が進行していました。
曲後は、上空から金のライトが大友さんを照らし、銀のライトが玉置さんを照らしていました。この、金と銀のコントラストも見事でした。
4曲目
大友さんの指揮に合わせて、ハープが一音鳴らして曲がスタート。そこから数秒間の沈黙へ。その後、
美しき世界、美しい世界
といった玉置さんの歌声。4曲目は【Beautiful World】です。最近よく歌われる曲が、シンフォニックコンサートでも組み込まれました。
元日にWOWOWで放送された、昨年の故郷BANDツアーの放送後に、Beautiful WorldのMVが流れました。これを見て、
Beautiful Worldは絶対にシンフォニックコンサートとマッチする。
昨年のソロツアー中盤からアンコールで歌うことが多かった上、クリスマスディナーショーでも演奏された。
次はシンフォニックコンサートで実演されるだろう。
と思ったのです。
さて、2日目は曲の冒頭でアクシデントもありました。ハープが曲入りの基準音を出すところで、ピアノが1曲飛ばして、5曲目のスタート音を鳴らしてしまうという事態が発生。しかし、ここでも大友さんは冷静でした。左手をゆっくり横にスライドするような動きで、一旦演奏をストップして仕切り直します。観客の私でさえ緊張感が走ったこの場面、余裕のある姿勢で粛々と対応をした大友さんはさすがでした。
この曲は、玉置さんと大友さんが、各フレーズの入りをお互いのアイコンタクトで確認するシーンが多かったです。
① サビの入り:美しい世界、美しき世界 ② 2番の入り:なぜ生まれたの、言葉にするのが
一旦演奏が止まってから玉置さんの歌が再開するため、念入りに息を合わせる2人の姿がありました。
昨年のクリスマスディナーショーでもあった、サビでマイクを遠ざけながら歌う姿も確認できました。1日目はあまり離していないように見えましたが、2日目は少しずつ離していました。こうしたマイク位置の絶妙な調節も、シンフォニックコンサートならではの見所だと思います。
2日目、玉置さんが珍しく歌詞を間違えるシーンがありました。2番の「夢の中、さまよっていたい」を、途中まで1番の「どこまでも、さまよっていたい」というように歌っていました。とはいえ、まだまだツアーの序盤であるため、今後は完璧に調整してくると思います。
印象的なジェスチャーも1つ確認しました。1番最後の
美しきせか〜〜〜〜〜い
で、右手を前に出して、身体の前を左→右にスライドさせる動きです。「美しき世界が地球を回っている」ようなことを聴衆に伝えるようなジェスチャーに、非常に感動しました。この身振りは両日ともにあったため、おそらく今後の公演でも行うと思います。必見の場面が1つできました。ぜひとも、玉置さんとオーケストラが奏でる“美しき世界”を皆様と共有したいです。
ここまでの3曲、シンフォニックコンサートで初披露のセットが取り入れられました。いずれもバラード曲で、オーケストラの演奏がゆっくりと静かな中を曲が進行していました。玉置さんの歌い方も、語り口調で歌う場面が多く、聴いている我々にも張り詰めた空気感が伝わって来ました。また、打楽器音が全く目立たないオーケストラ演奏の中、歌のリズム感を取るのが非常に困難だと思いますが、さらりと歌い上げる玉置さんはやはり素晴らしかったです。
5曲目
大友さんの指揮で、聴き馴染みのあるオーケストラ演奏曲がスタート。5曲目は【あこがれ】です。第一部の中盤でInstrumental曲が演奏されました。
あこがれは、今年もどこかで演奏されることを楽しみにしていましたが、セットの序盤に入ることが多いため、このタイミングで演奏されるとは思いませんでした。
玉置さんは、今年はマイクを持ちながらこの音を聴きます。左手を胸に当てて、時折感慨にふけるような表情も見せていました。2日目では、曲の最初に水を飲む姿も確認しました。
6曲目
拍手をする間もなく次の曲スタート。そのままの流れで「ロマン」が始まると思いきや、始まった演奏はオーケストラの軽快な音。【MR.LONELY】です。「この入り方も良い!」と心の中で唸りました。イントロの玉置さん、昨年と同様に裏声で「Oh〜」の歌唱。この曲は、全体的に1日目はスピードがやや速く、2日目はゆっくりだったように感じました。
圧巻だったのは2日目の盛り上がり部分。
いつでも、どんなと〜〜きでも〜〜
ここで全身を震わせながら、鬼気迫る表情で歌っていました。1日目はこの部分や最後の
元気で〜〜い〜るから〜
の歌い方が、やや抑えめだった印象があったので、変化を見ました。その後のアウトロ「Oh〜」も裏声で終了。
そのまま次の曲も開始。【All I Do】です。この曲も語りかけるような歌い方が印象的で、あえてメロディーに乗せずに歌う場面もありました。最後は個人的に好きな歌詞、
僕を信じて
で終了です。
続く曲もメドレー定番の【サーチライト】です。この曲は、ラストサビの歌い方がとても記憶に残っています。
誰かの胸を探した夜に、必ず君を照らす サーチライトに僕はなれるかな、なれるかな
のところ。「かな〜ら〜ず〜」の裏声が、いつもよりも力強いように感じました。マイクに新しい命を吹き込むような歌い方・表情をしており、とても感動しました。2日目は「サーチライトに僕は〜」で、左手を大きく広げる身振りもありました。玉置さんは私たちの“サーチライト”だと思います。
7曲目
次曲も聴き馴染みのある前奏でスタート。7曲目は【Friend】です。序盤はピアノの伴奏に合わせて歌う玉置さん。小さな大友さんの指揮動作、静かなピアノ演奏の中で、優しい歌声が聴こえました。
サビは力強い歌声・トーンに変化。1日目は、最初のロングトーンで客席右端のこちらを向いて歌っており、ドキッとしました。ステージの玉置さんをよく見ると、各節で様々な方向を向いて歌っていることがよく分かります。こちらを向いたのがサビ1発目のトーンだったので、迫力を感じました。
ラストは、マイクを離しながらガッツポーズをするような仕草で歌い終わり。直立姿勢で演奏を途中まで聴いたのち、今年はマイクを持ったまま左の舞台袖に退場します。その後は、観客の拍手とオーケストラの後奏が交叉して、一部終了です。
なお、2日目は曲が始まる前に、観客側のハプニングが発生しました。どこからか携帯電話の着信音が鳴るといった失態。ここでも、大友さんのファインプレーがありました。この音も敏感に聞き取り、指揮を開始することなく、音が鎮まるまで待ってから、Friendの前奏をスタートさせていました。
私は、全てのコンサートは、最初の演者入場から最後の退場まで含めて、一連の流れがある作品だと考えています。前述した1〜2曲目の規制入場もそうでしたが、曲の谷間とはいえ、その流れを一旦断ち切り、大きな間を空けるのは、非常に勇気が必要なことだと思います。そうした状況下で、観客席の様子までも鋭く感知し、毅然とした態度で一時中断の“指揮”をした大友さんに、豊富な経験に裏打ちされた圧倒的な余裕を感じました。
8曲目
20分の休憩後、コンサート再開。一部の開始時と同様、左右の舞台袖から琉球交響楽団のメンバーが再入場します。最後に大友さんも入場して管弦楽のスタート。8曲目は、【沖縄交響歳時記 第2楽章「春」特別版】です。
今年のシンフォニックコンサート、実は配布されるパンフレットの中に、オーケストラ演奏曲が書かれています。管弦楽には疎いですが、セットリストを記録したい私にとっては幸運でした。
昨年の6月に行われた沖縄公演では、第3楽章の「夏」が演奏されました。季節感に合わせた、見事なご当地選曲がコンサートを彩ります。曲調もまさに春っぽく、軽快なバイオリンの演奏がありました。途中で1度演奏が止まるシーンがあり、再開後は冒頭と同じメロディーが奏でられる2部構成が取られていたことも印象的でした。
また、演奏の途中で木を打つような楽器音が聴こえましたが、あれは沖縄の民謡楽器である三板(さんば)だったのでしょうか?そこまでしっかりと確認することはできませんでしたが、去年聴いた音とは少し異なるようにも感じました。
管弦楽曲終了後、玉置さんが再入場して二部の本編スタートです。
9曲目
大友さんが、ステージ左奥に向けて右手を上げる動作で、3度鐘の音が鳴ってスタート。最後の音の余韻に重なるように、バイオリンの前奏が始まる9曲目は、カペーリ公演以来、3年ぶりに復活した【SACRED LOVE】です。鐘の音で二部がスタートするのは巧妙な演出だと思いました。
声の強弱がハッキリしているこの曲も、玉置さんの素晴らしい歌声が響きました。弱く歌うところはセンチメンタルで繊細に、強く歌うところはパワフルで豪快に、よくメリハリをつけた歌い方でした。特に、ラストの
愛の日の永遠を〜〜〜
を強く歌ったあと、
誓った〜
の裏声への切り替えが見事でした。
10曲目
続いては、オーボエの前奏で始まる10曲目、【行かないで】です。シンフォニックコンサートの象徴曲が、やはり二部の2曲目に編成されました。声の強弱の“コントラスト”は「SACRED LOVE」以上であるこの曲。この2日間も心に沁みる歌声が響きました。その中でも、各サビで変化を付けた玉置さんの歌声が印象に残っています。
(1番) ・はなさないで:「は」の入りを遅らせた歌い方 ・その後のAh〜:裏声 (2番) ・はなさないで:「は」の入りをやや早めた歌い方 ・その後のAh〜:地声 (ラスト) ・はなさないで:「は」の入りをかなり早めた歌い方 ・その後のAh〜:地声
この曲は、照明演出も綺麗な“コントラスト”がありました。大友さんにはステージ真上から金の光が当たり、玉置さんにはステージ左奥から銀の光が当たります。大友さんへの光の強度は変わりませんが、玉置さんへの光は曲を追うごとに本数が増していました。序盤は1本、中盤は2本、終盤は3本という具合に強調されて行きます。それが前述した感動的な歌い方と作用して、素晴らしい作品となっていました。
11曲目
ハープの音でスタート。赤いライトがステージを照らすこの曲は【ワインレッドの心】です。クリスマスディナーショーのゆったりしたスピード感覚が残っているため、少し速く感じました。玉置さんもその演奏に合わせて、リズムよく歌っているように見えました。激しい歌声が特徴的なラストサビの
あの消えそうに燃えそうな、ワ〜〜インレッドの〜
のアレンジは、2日間ともに無しでした。昨年末のディナーショーでかなり強烈にこの部分を歌っていたので、やや意外でした。そういえば、昨年の沖縄2Daysもこのアレンジをしていなかったと、懐かしい気持ちにもなりました。今後の公演でも注目して見ます。
つなぎの演奏が入り、赤→ピンクに照明が変わる次曲は【じれったい】です。この曲も、玉置さんは良いリズム感に合わせて歌っていました。また、最後の最後でアレンジを施す部分もありました。
もっと、(※1)もっと、知りたい
の(※1)ところです。1日目はもう1度「もっと」を加えていました。2日目は「Hey〜」といった遊びがありました。このような細かいアレンジ・遊びが大好きです。
1度演奏が止まったのちに再開。【悲しみにさよなら】がスタートします。この2日間、個人的にダントツで良かったのがこの曲です。とても感情・気持ちのこもったパフォーマンスでした。お馴染みのアレンジは、
愛を〜世界の平和の〜〜〜ために〜
で、その後のサビが圧巻でした。非常に力強く、感情を剥き出しにしながら歌っていました。1日目には印象的なジャスチャーもありました。「飾らない言葉で」のところで、右手をお腹の前から胸にかき上げるような動きです。こうした動きをするのは珍しいと思いました。そのままフルパワーでサビを歌い上げると、ラストはマイクを腰の位置まで下げて直立。オフマイクで、
悲しみに〜さよなら〜〜〜
の歌声。玉置さんのロングトーンの余韻に重なるように、大友さんが右手を胸の前で静かに握る指揮で、オーケストラの演奏も止まります。
その直後、玉置さんと大友さんが固い握手を交わしていました。観客の私も、このメドレーは素晴らしいパフォーマンスであったと感じました。おそらく、ステージにいる演者の方々も同様の気持ちを抱いていたと思います。この玉置さんと大友さんの握手からは、そんな演者の感覚や心中を共有できたように感じ、嬉しい気持ちになりました。
その後、観客席を向く玉置さん、喉を触り「使い過ぎた」と言わんばかりの表情をしていました。客席から労るような歓声が上がると、右の拳を胸にトントンと当てて「でもまだ頑張る」といった仕草もありました。
12曲目
ハープとピアノの二重奏で始まる12曲目は【JUNK LAND】です。2日目、前奏から歌い始めの「どっち行く?」までの間で、玉置さんは水分補給をしていました。この短時間で水を飲む余裕とタイムマネジメントの上手さに驚きました。
その後は、今年も疾走感あふれるスピードで曲が展開されていきました。昨年、大友さんに注意された観客の手拍子はなく、集中してステージの音を聴くことができました。玉置さん・大友さん・琉球交響楽団・観客、どれか1つでも歯車が狂うと、全てのリズムが崩壊しかねないスリリングな雰囲気の中、一糸乱れない完璧なパフォーマンスがそこにはありました。
印象的だったのが、スピードが少し落ち着いたラストの「ガラクタだけど〜」以降です。ロングトーン歌唱のところで、大きく身体を仰け反らせて歌う玉置さんの姿がありました。
ガラクタ〜〜だけど 心を〜〜込めて 昔の〜〜ように 僕と暮らそう
「以前からこんなに後屈して歌ってたかな?」と思ったため、次回以降も注目して見ます。
その後のスキャットは、裏声を用いたシンフォニック版アレンジです。大友さんの指揮に合わせて、玉置さんも歌い終わりました。ここのマイク動作が、1日目と2日目でやや異なっていたのが印象的でした。右手に持ったマイクを、1日目は押し出す動き、2日目は引く動き。後者の方が馴染み深いため、1日目は新鮮な気持ちになりました。1日目はその直後に、玉置さんと大友さんが肩を抱き合う場面がありました。ステージ上の演者も、観客席の我々も、引き締まった緊張感から解放された瞬間です。
ジェスチャーの違いでいうと、「ギザギザ欠けてくハートを合わせて」でハートを繋げる手の仕草が、1日目と2日目で逆でした。1日目はマイクを右手に持ち、左手を右手に近づける動き。2日目は左手にマイクを持ち、右手を左手に近づけていました。
13曲目
この流れで来ると、次もまた定番曲の【夏の終りのハーモニー】です。昨年の中盤〜終盤公演で目立った、1番サビのロングトーンが今年もありました。
いつまでもずっと忘れずに〜〜〜〜〜
大きな声ではないながらも、なかなか途切れないロングトーンに繊細さを感じました。
2番では、シンフォニックコンサートでは珍しい地名アレンジもありました。
今夜のお別れに、最後の2人の歌は 沖縄の夜を、飾るハーモニー
昨年は無かったこのアレンジに、会場からは拍手が起きていました。1日目は、その後のサビで歌詞を間違える意外な姿もありました。2番「星屑の間を揺れながら」のところを、1番「誰よりもあなたが好きだから」と歌っていました。玉置さんも途中でこれに気付き、少し恥じらった笑顔をしていたのが印象的です。
そこから2番のサビが終盤に向かうと、最後は感動的なフィナーレへ。
真夏の夢、あこがれを
いつまでも、ずっと、忘れずに〜〜〜〜〜
マイクを、玉置さんから見て右前のテーブルに置いてのノーマイク歌唱。玉置さんのマイクを通さない肉声が、沖縄の夜に響き渡りました。特に2日目は、良席の影響もあって非常にパワフルに聴こえました。
玉置さんのマイクオフ歌唱が終了すると、そこからオーケストラの後演奏へ。2日目は、ここでも印象に残る玉置さんのジェスチャーがありました。両手を前に出して、演奏が静まるにしたがって少しずつ上へ上げて行きます。そして、音が完全に消えたところで、頭上の頂点で両手を握り合わせる動きです。この身振りは、本曲のラストと非常にマッチしていたため、今後もまた見てみたいポイントになりました。
曲後は、大友さんが指揮台から降りて玉置さんの横に並び、観客席に向かって礼をします。客席から見て、大友さんが左、玉置さんが右。万雷の拍手の中、沖縄名物でもある指笛も飛び交いました。その音をしばらく聞きながら、両手で歓声に応えるように手を振り返します。2日後はその腕の流れで、玉置さんがPastoraleポーズをしました!
生でこのポーズを見ることができて感激です。
その後は拍手が続く光景を見つめながら、玉置さんと大友さんの2人は何かを話し合います。2日目は前方真正面の良席だったので、声は聞こえなくとも口の動きを見ることができました。何やら大友さんが、
最高だなぁ、素晴らしい!
といった口の動きをしていたのを確認できました。(非常に粗い読唇術のため、真偽は不明なことに注意されたい。)
そこから玉置さんが退場、大友さんもそれを追うように退場。その中でも続く拍手。ステージ上の琉球交響楽団のメンバーも、自身で拍手をしながら、観客席にも拍手を煽ります。すると、玉置さんが先頭で、それに付くように大友さんがステージに戻って来ます。ここでさらに強くなる拍手。また大友さんが左、玉置さんが右に位置取り、しばらくその景色を眺めています。そこから2人はもう1往復、舞台裏とステージの行き来をして、今度は大友さんだけがステージに残り、コンサート再開です。
14曲目
管弦楽でスタートするこの曲は、【ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」第1楽章】です。聞き馴染みのあるベートーヴェンによる「田園(Pastorale)」の曲調が奏でられます。途中からは、玉置さんによる「田園」も加わるサウンドアレンジから、最後は盛り上がる演奏で管弦楽曲終了。
大友さんの指揮再開で前奏が始まると、玉置さんがステージに戻って来ます。ツアータイトル曲【田園】のスタートです。観客は総立ちになり、手拍子が演奏を後押ししました。
サビになると、照明演出がテーマカラーの緑色になり、さらに盛況の波が押し寄せます。お待ちかねのアレンジは、2日間ともに
愛はここにある、沖縄にある
でした。このタイミングで、客電まで点く演出がありました。シンフォニックコンサートでは、基本的に過度な拍手・手拍子はタブーですが、このときばかりは観客の拍手も演奏音なのだと思いました。
2番も軽快に歌い上げて、ラストのクライマックスへ。大友さんが左手を指揮台の手すりに手をかけ、玉置さんの方を向きます。その体勢で右手をグーにして力を引き出すようなジェスチャー。それに応える玉置さん、思い切り身体を仰向けに反る姿勢で、強烈なスキャットが会場全体に響き渡りました。前の、悲しみにさよならや夏の終りのハーモニーでも非常にパワフルな歌唱が目立ったにも関わらず、一体どこにこのパワーが潜んでいるんだと、感服しました。
その後は再び、大友さんが指揮台から降りて、玉置さんと並ぶポジションに。観客は総立ちで称賛の拍手を送ります。それからしばらく経つと、再び大友さんの口が動きます。
ラスト、行こうか
と言っているように見えました。
15曲目
両日ともに、今なお総立ちの観客。1日目は、ここで大友さんがこちらを向いて、右手を上下する動きで観客に座るように促していました。2日目はこれが無かったため、スタンディングの中で次曲が始まります。
あんなにも好きだった
【メロディー】です。歌い始めの時点で拍手が起こる会場。その後は、玉置さんの優しく温かい歌声が会場を包みました。サビの
メ〜ロディ〜
で、地声と裏声が交叉するところがとても心地良いです。
ラストはマイクを置き、右手で右耳のイヤモニを外してマイクオフへ。2日目は良席だったため、ノーマイク歌唱もボリューミーに聴こえて来ました。最終盤の
メロディー、泣かないで〜〜〜
ここで、玉置さんの迫力あるロングトーンと、楽団の大きな演奏が重なるところが感動的でした。その後は一転、
あの歌は、心から、聞こえてるよ
を静かに歌い、続くハミング「Nm〜」で美しい余韻を残して終了です。
その後は、3度目になる観客席からの拍手喝采。しばらくすると、玉置さんと大友さんがステージ左へ退場して行きます。そこから一呼吸置いたタイミングで、琉球交響楽団のメンバーも起立して、自分の楽器を片付けて退場をしかけたそのとき、玉置さんが再びステージに戻って来ました。再び湧き立つ観客。ここで玉置さんは、それぞれの演者・楽器に手を向けながら、リスペクトを示していました。退場しかけた楽団員もその場に立ち止まり、玉置さんへ拍手を送っています。この、ジャンルを越えてお互いがお互いを尊重し合う姿勢、素晴らしいと思います。
ここから玉置さんはステージ右端→中央→左端に移動して、観客の歓声に応えるとともに礼をしていました。1日目の座席は右端だったため、とても近づくことができました。その流れで玉置さんが退場しますが、やはり鳴り止まない拍手。多くの方が、自席に残ってなお拍手をしていました。すると、三度ステージに現れる玉置さん、今度は大友さんを引っ張るように連れて来ます。ここでもお互いを讃えるような動きを見せていました。
2日目は玉置さんがノーマイクで、
ありがとう~!!!
と叫ぶパフォーマンスも見せてくれました。この言い方が、昨年6月4日の那覇文化芸術劇場なはーと、Navigatoria公演のファイナルと全く同じで、強く感動しました。その後、玉置さんと大友さんが退場して、今度こそ終演。熱い沖縄の2日間が終了しました。
以下、楽曲のセットリストです。
3. セットリスト
billboard classics
玉置浩二
LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024
“Pastorale”
2月28日・29日
那覇文化芸術劇場なはーと
セットリスト
【一部】
1. ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」第5楽章〜歓喜の歌(管弦楽)
2. ボードビリアン 〜哀しみの道化師〜
3. ホームレス
4. Beautiful World
5. あこがれ(Instrumental)
6. MR.LONELY〜All I Do〜サーチライト(メドレー)
7. Friend
【二部】
8. 沖縄交響歳時記 第2楽章「春」特別版(管弦楽)
9. SACRED LOVE
10. 行かないで
11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)
12. JUNK LAND
13. 夏の終りのハーモニー
【アンコール】
14. 田園
15. メロディー
4. 公演後の様子
公演後の会場の様子です。
1日目
2日目
スタートを飾るにふさわしい、見事な沖縄公演2Daysが終了しました。序盤は意外な選曲もあり、新鮮さを感じる場面が多かったです。その後の定番曲では、去年以上にパワーアップした様子が伝わって来ました。2日後には関東、1週間後には関西で公演がスタートします。これから6月の万博ファイナルまで、玉置さんと楽団の変化・進化を見届けましょう。
こばかず
コメント
お疲れ様です~😊
そして、ありがとうございます。
こばかずくんのブログを読んで
あの2日間を楽しく思い出しています。
チケットがなかなか取れず やっと取れた
2日間。私の中では 全く違う印象のステージでした。
(両方取れてよかったぁ💦)
アクシデントもありましたね…
「2日目は曲の冒頭でアクシデントもありました。ハープが曲入りの基準音を出すところで、ピアノが1曲飛ばして、5曲目のスタート音を鳴らしてしまうという事態が発生。」
その後 ハープ音も一瞬聞こえました。
演者の方々は 何事もなかったように~🎶流石ですね。
私事ですが ギブスしながらも行けてよかったし発見の多い沖縄旅でした。
こんにちは!
思い返すと、なかなかチケットが取れずに苦戦した沖縄公演でしたね😅
結果的に、2日とも参加できて良かったです👏
2日目、あそこまで色々なことが起こるとは思いませんでした💦
全てを冷静に対処したステージの皆様、見事でしたね✨
私は昨年に続く沖縄でしたが、おかげさまでより楽しむことができました🙋♂️
また来年も開催され、みんなで参加できることを願っています🌺