こんにちは。
こばかずです。
先日の3月28日、billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024 “Pastorale”@東京国際フォーラム公演に参加しました。
※本投稿では、公演のセットリストや演出を記載します。本ツアーは11都市21公演の規模で行われます。初日を迎えていない方や、ネタバレに抵抗のある方はご注意ください。
1. 公演前の様子
公演前の会場の様子です。
昨年の故郷BANDツアーで、ファイナル公演が行われた会場です。あれから4ヶ月、あっという間ですね。
シンフォニックコンサートでは、Navigatoria公演と同様、3月末に同会場での公演が開催されることになりました。
フォーラムの中に入り、エスカレーターを登ると、メインビジュアルの掲示があります。
この日は写真撮影が可能でした。去年は動画形式での撮影のみでしたが、今年は写真OKです。そのため、ボードの前には多くの人で溢れていました。
2. 公演の様子・各曲の感想
この日の座席は2階席の中央でした。私にしては珍しく、会場内を徘徊せずに、公演開始の40分前から着席して静かにしていました。
開演30分前の17時30分、15分前の17時45分に「開演5分前からは許可のない写真撮影は禁止」のアナウンスが流れます。この日もホール内での撮影に関して、特に注意される様子はなかったように見えました。
5分前の17時55分にも「まもなく開演、以降の写真撮影は禁止」の放送が流れて、18時に公演開始です。左右の舞台袖から、新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーが入場します。全員が着席後、コンサートマスターが1人で登場。ここから、ステージ前方左右にあるモニターが作動し、コンマスの様子を映し出します。そこから最後の調律へ。オーボエの音に合わせて各楽器音が鳴りました。
その音が静かになり、しばらくすると指揮者の円光寺さんが登場します。指揮台の横まで来ると、「ようこそ」というように両手を広げて、我々を歓迎するような動作をしていました。個人的に、円光寺さんの指揮を見るのは初めてです。近年、関東公演は大友さんがマエストロを担当することが多かったため、指揮者による作品の違いを感じられる良い機会になりました。
1. ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」第5楽章~歓喜の歌
円光寺さんが指揮台へ登り、すぐに曲が始まります。全体的に、円光寺さんは曲間にあまり時間を持たせず、どんどん次の曲が始まっていきました。
序曲の「田園(Pastorale)」は、フルートの演奏で始まり、途中からバイオリンの演奏が際立つ構成。円光寺さんの指揮は、あの狭い指揮台がとても広々と感じるような、壮大な動きが印象的でした。各所で身体全体をワイドに左右へ向けながら、滑らかな両手の動作で音を引き出します。この指揮モーションやオーケストラの美しい音色から、綺麗な緑一色に彩られた田園の稲穂が、風で左右に靡くような風景が見えました。曲の最後は丁寧に左手を握り、楽団の演奏をしっかりと受け止めて、序曲の「田園」が終了します。
続いて、左腕をホルンに向けて伸ばす動作で「歓喜の歌」がスタート。この曲は、途中で演奏が止まり、その後ソロパートが再開する場面が2回あります。その度に、左手で丁寧に演奏を止めてから、再開の指揮を取る円光寺さんの姿が印象に残っています。こうした特徴は、素人目に見ても曲の流れを掴みやすく、その後の展開がよくイメージできるものでした。続くオーボエ・フルートのソロパート、円光寺さんの流れるような指揮に連動して、とても流暢な演奏がありました。そして、ラストのクライマックスへ。円光寺さんが両手を高くV字に上げて、オーケストラに演奏のボリュームアップを促します。盛り上がりが最高潮になると、そのまま両手が弾け散る動作で演奏が終了。「歓喜の花火」が打ち上がりました。
その後、円光寺さんがステージ左側に手を挙げる合図で玉置さんが登場します。会場内から大きな拍手が起こる中、ステージ中央まで歩を進めると、円光寺さんと両手でガッチリ握手をしていました。モニターに映った玉置さんを見た印象は、髪がスッキリしたと思いました。トップやサイドは程よいボリューム感で、襟足も短くなり上手く収まっていました。
2. ボードビリアン ~哀しみの道化師~
円光寺さんの指揮でバイオリンの一音が鳴り、曲がスタートします。その音が鳴り止む前に、
いつまでも どこまでも 歩いて行こう
さざ波が きらめく 白い砂浜を
で玉置さんの歌が開始。この部分、非常にゆっくり、間を空けて歌っていました。シンフォニックコンサートでは珍しい玉置さんのアカペラで、曲に最大限の余白を持たせたこの歌唱スタイルは、とても貴重なものだと思います。
潮風が寂しさを 運んでくるなら
からはオーケストラの演奏が入りますが、依然としてスローペースで曲が進み、サビを迎えます。サビのラスト、1番と2番でやや歌い方が違うことに気付きました。
① スキップ踏んで笑って 疲れ切った旅人と Nm〜
② 腕の中で眠らせて ねぐらの無い旅人を Oh〜
1番は「Nm〜」といったハミング、2番は「Oh〜」といった歌声です。前回の3/13@東京芸術劇場公演でも、この部分は歌い方を使い分けていました。
2番終了後は、オーケストラの間奏を挟んでラストへ。ここでも玉置さんの特徴的な歌声がありました。
いつかまた会えるなら あの船に乗ろう
のところです。
あの船に・・・のろ〜〜〜
この部分、透き通ったトーンを強調する歌い方をしています。また、「あの船に」以降にタメを作ることで、その歌声がより際立つように感じました。
その後は、
軽やかにタップ踏んで(※) おどけて見せるから
笑っておくれ
の(※)で、木と木を打つ印象的なオーケストラのフレーズがあり、最後は玉置さんの静かな歌声からの後奏で終了です。
3. ホームレス
フルートが主旋律、ハープが副旋律を担当する前奏で曲が始まります。この部分、他の楽器演奏は一切なく、非常にシンプルな構成となっています。
続いて玉置さんの歌唱もスタート。序盤は語りかけるような歌い方がよく目立ちます。その中でも特に、冒頭の
トンネルのアーチの隅 酒瓶片手のホームレス
で
さか・びん・かた・ての・ホームレス
というように、二言ごとに区切りを付けて歌うスタイルが印象的でした。
その後、1番のサビ以降は哀愁を感じるようなバイオリンの演奏が入ります。そんな中、玉置さんの感傷にふける歌声が会場を支配していました。こうした玉置さんの歌唱とオーケストラの演奏は、物悲しさを感じる本曲の趣きと非常にマッチしていました。
サビのラスト、
私はあなたと 生きている
では、玉置さんの低い歌声とフルートの高い間奏音が交わります。このフルートによる高音と玉置さんによる低音のハーモニーも見事でした。該当の間奏部分、原作ではピアノが演奏していますが、玉置さんの歌声と重なっていることに関しては特に気に留めていませんでした。しかしながら、当日はフルートとの綺麗なハーモニーが強く記憶に残りました。以上のように、受け手の印象に残るポイントが日ごとに変わるのが、コンサートならではの良さだと思います。
4. Beautiful World
ハープが基準音となる一音を鳴らしてスタート。
美しき…世界 美しき…世界
忘れ…ないで また…会う日まで
をアカペラで玉置さんが歌い始めます。この曲もゆっくり、フレーズ間に余白を持たせて歌っていました。1曲目の「ボードビリアン 〜哀しみの道化師〜」でもそうでしたが、玉置さんの歌唱前に管弦楽が一音を鳴らしてスタートするところに、「シンフォニックコンサート」を感じます。
サビでは、1・2番で声の強弱に変化を付けている印象がありました。1番はやや控えめに、2番は強く歌っていました。
美しき世界 美しき世界
もう泣かないで 心の中に愛
1・2番ともに、ロングトーンでは胸を張り、堂々とした姿勢でマイクを離しながら歌います。トーンの後半にはビブラートをかけているのも確認しました。
続く
いつ〜かまたね〜
の「つ」は、原作よりも音を下げた絢香さんパートを歌います。この部分、原作と異なり声を張り上げないため、流れるように進行するのが印象的でした。また、トーンの最後には音程を段階式に2つ下げて歌うアレンジも発見。玉置さん、トーンの終盤に2段階音程を上げたり下げたりする歌い方、多いですよね。個人的に好きなポイントです。
また、2番のサビ前に、わずかながら歌詞を変えて歌う場面がありました。「あの頃のまま笑顔で」のところで、
あの頃のまま(の)笑顔で
と歌っていました。これはあえてこのように歌っているのでしょうか?1文字とはいえ、「の」が付くことで「あの頃」という過去や「笑顔」な状態が、より鮮明になるように感じました。次回の公演でも注目します。
5. あこがれ
暗い会場内を、ゆっくりとしたオーケストラの演奏が響き渡りました。ステージに立っているだけで存在感があり「音楽」になる玉置さん、序盤は右手に持ったマイクを胸に当てながら聴きます。それが曲が進んだ中盤〜終盤は右手のマイクを下ろし、左手を胸に当てて聴いていました。
6. MR.LONELY~All I Do~サーチライト(メドレー)
ソロメドレースタート。MR.LONELYでは、1番サビ〜ラストサビにかけて、大きな見どころがありました。3/13@東京芸術劇場で、裏声を用いた歌い方が目立った
いつでも どんなと〜〜きでも〜〜
のところ。この日は、途中の「どんなと〜〜」までを、身体をのけ反らせて、非常にパワフルな地声で歌います。これを見て、「今日は力強く歌う日だ」と思いましたが、圧巻はその後でした。「きでも〜〜」からは一瞬にして裏声にシフトチェンジ。玉置さんの全てが、この瞬間に180°切り替わりました。声は地声→裏声へ。姿勢は後屈→前屈へ。マイク位置は遠く→近くへ。こうした移り変わりに圧倒され、鳥肌が止まらなくなりました。そこからラストまでは、力強い歌声で締めます。
元気で〜〜〜いるから
では、天井を突き破るような勢いのトーンが炸裂。その後、アウトロを裏声で歌って終了です。
2曲目のAll I Do、やはり本ツアーでは2番目のサビを力強く歌っているように感じます。伸びやかな玉置さんの歌声が印象的でした。そこから一転して最後は、
僕を信じて
の優しいアカペラで終了します。
3曲目のサーチライトは、スピードがゆっくりめに感じました。それに伴い、
サーチライトはそうなんだ
君なんだ 君なんだ
のジェスチャーも緩やかに遷移。右手を2階席右→左、1階席左→右へ差し伸べて、会場全体を包み込んでいました。そのままラストサビも感情を込めて歌い上げ後奏へ。ここでは激しいシャウトも見ることができました。
7. Friend
前半ラストの曲です。個人的に、この日の中で最も良かった曲がFriendでした。
前奏のオーケストラ演奏、少しスピードが速いと感じました。それが一転、玉置さんの歌が始まるとスローペースで進みます。序盤はこの遅い演奏に合わせて、一言一言を大切に歌っていました。身体を前屈みにして歌う姿勢からも、そうした雰囲気が伝わってきます。この部分、ゆっくりな演奏で生まれた余白を歌声で埋めているように見えました。良い意味で間延びするような歌声で、これまであまり見たことがないような感覚がありました。
続くサビも同じように、ロングトーンをいつもより長く歌っていました。
① もうFriend
② 心から(綺麗だよ)Friend
②のトーンは割と短く終わる印象がありますが、この日はこの部分も長めに取っていました。ここで驚いたのが、声の量・質が全く乱れずに一定を保っていたことです。マイク位置と姿勢が少しも動かず、一直線のトーンがホール全体に響き渡りました。しかも、演奏がゆっくりなため、このトーンはより長く続きます。こうした姿はモニターにも映し出されており、しっかりと確認することができました。個人的に、このポイントはとても衝撃を受けたシーンになりました。同時に、玉置さんは全体の音と調和するのが非常に上手いと思いました。
曲のラストは、後奏中にマイクを持ったまま退場して、第一部が終了します。
8. 『管弦楽組曲第3番ニ長調』より第2曲「アリア」(J.S.バッハ作曲)
約20分の休憩を挟んで、第二部が始まります。この日のオーケストラ演奏曲は、いわゆる「G線上のアリア」です。2021年のオーチェペリ公演で演奏されたこの曲が、Pastorale公演ではこの日に限りセットに組まれました。
この日の管弦楽は、新日本フィルハーモニー交響楽団です。本楽団は、今年の2月6日に逝去された小澤征爾さんをはじめとしたメンバーによって1972年に創設され、小澤さんは長年に渡り指揮者を務めていました。その経歴は以下の通りです。
指揮者団 首席(1972年9月~1990年8月)
名誉芸術監督(1991年10月~1998年8月)
桂冠名誉指揮者(1999年10月~)
本年の2月6日以降、同楽団の演奏会では、小澤さんへの献奏として本編のはじまりに同曲が演奏されていました。その様子が以上の動画であり、それぞれ2月10日(三重)・2月16日(東京・すみだ)のものです。玉置さんのシンフォニックコンサートでもこの曲が採用された背景には、こうした経緯も含まれているのでしょうか。
さて、曲の感想に移ります。この曲は、演奏がストリングス隊のみで構成されます。バイオリンやビオラが高音域の主旋律を奏でて、チェロやコントラバスがリズムを生み出します。その中でも、コントラバスの弾けるような「ボロン、ボロン」といった重低音がよく響いていました。
9. SACRED LOVE
「アリア」の終了後、ここで玉置さんが再入場します。真っ黒な衣装に身を包み、第二部の本編が始まります。
円光寺さんの合図で、鐘の音が3回鳴ります。二部1曲目の管弦楽〜玉置さんの黒い衣装〜鐘の音にストーリー性を感じて、この日の「祈りの鐘」はいつもと少し違った心境で聴きました。
そこからは、バイオリンとハープの演奏で前奏が始まります。
今自然に 心で感じる
玉置さんの歌唱が始まると、序盤はハープのソロ伴奏に合わせて進行します。ここの玉置さんの歌声が、30年前の原作さながらで、非常に透き通った歌声をしていました。
その後は様々な楽器音も加わり、サビへと向かっていきます。力強いトーンも見どころなこの曲、
暗い夜明けでも
の時点ですでに「来るぞ、来るぞ」といった予感にさせられました。そこからの
凍えそうな真夏も
の歌声にやはり圧倒されます。その後は鉄琴の間奏を挟んで、再び
暗い夜明けでも 凍えそうな真夏も
心にあるのは
いつも幸せを歌った君と 愛の日の永遠を
誓ったあのときの僕だよ
力強い歌声と綺麗な裏声が響いて終了です。
10. 行かないで
この曲は王道的な歌い方だったと思います。その中で光ったのが、玉置さんの裏声の綺麗さ。
Ah〜 行かないで〜 行かないで〜
声を伸ばすところで震えるようなビブラートがあり、曲のイメージとピッタリ合っていました。
一方、2番終了後のオーボエソロのところで、ステージ上から雑音が鳴るアクシデントがありました。隣に座っているビオラの方でしょうか。楽器に取り付けたマイクが外れて、地面に落ちたような「ガサッ」とした音がしました。
しかし、その後は問題なく曲が進行して、ラストは力強い玉置さんの歌声→コンサートマスターによるバイオリンソロで終了です。
11. ワインレッドの心~じれったい~悲しみにさよなら(メドレー)
円光寺さんが左手を鋭く一閃する指揮動作で曲が開始。それにハープが応えて前奏が始まります。ここで驚いたのが、前奏でワインレッドと分かると、2階席右側から曲に合わせた手拍子が起きたことです。そこまでテンポが速くないこの曲では、初めて見た光景でした。
ワインレッドもオーソドックスに進行します。今年はここまで、ラストサビにおける
あの消えそうに 燃えそうな ワ〜〜インレッドの〜
のシャウトは無しです。昨年末のクリスマスディナーショーでは激しめのアレンジを目にして、それが本ツアーでも引き継がれるかと思ったため、やや意外な印象があります。
続くじれったいは、比較的ゆっくり進行しました。個人的な名アレンジがラストにありました。
もっと もっと 知りたい
のところです。ここを原作と同じメロディーで歌っていました。普段アレンジがあるところで、不意に原曲と同じ歌い方が来るとドキッとします。この部分、玉置さんの想定よりもオーケストラの演奏がゆっくりだったために、咄嗟に原作のメロディーラインに切り替えたようにも見えました。根拠に乏しくかなり粗い仮説ですが…
メドレーラストは、悲しみにさよならです。サビのアレンジはこの日も
愛を世界の平和のために
でした。ここで拍手が起こると、玉置さんが左手を胸に当ててお辞儀していました。
続くラストサビ、ここでも歌いながら手を胸に当てる場面がありました。
飾らない言葉で なくせない心で 1つになれる
のところです。歌詞とリンクした動きに「心」が動きました。その後の
泣かないで1人で ほゝえんで見つめて あなたのそばにいるから
では、このときすでにマイクを胸の高さに固定して歌っていました。そして、最後のワンフレーズ
悲しみに〜さよなら〜
を完全なオフマイクで歌唱。安全地帯メドレーが終了しました。
12. JUNK LAND
大友さんVer.と比較すると、とてもゆっくり進行しました。こうしたところに、各公演で指揮者が変わる醍醐味を感じます。
ほら、今日もポンコツ車のエンジン全開にして
の歌唱開始後は、リズムが狂わないように最大限の注力をしながら歌う玉置さん。公演ごとにスピード感が違うのにも関わらず、全く乱れないビートに感服しました。
待ってる人のその前で〜
以降はオーケストラの演奏も印象に残りました。リズム感を司るバイオリンと、合いの手を担うフルートのハーモニー。切れ味の良い演奏で、曲に見事なアクセントを加えていました。
2番も同様に、ゆっくりしたペースでメリハリのあるパフォーマンスが続き、転調後のラストへ。この日は
ガラクタたちと〜
以降を遅れることなく歌い、トーンの終盤には力強いシャウトもありました。
限りなく青い大空
そう JUNK LANDで
以降はオーケストラの間奏へ。そこから、演奏に合わせたスキャットアレンジを入れて、最後の
JUNK LANDで〜
の歌唱。この部分、入りのタイミングが非常に難しそうに見えましたが、サラリと歌い始める玉置さんはさすがでした。その後、玉置さんと円光寺さんが正対し、円光寺さんに近づきながら、裏声のスキャットで曲終了です。終了後は2人が握手をしていました。
13. 夏の終りのハーモニー
この曲も比較的にゆっくり進行しました。
いつまでもずっと忘れずに〜〜〜〜〜
1番終了時のロングトーン、この日もやはり非常に長い歌声がありました。声は大きくないものの、一定の声量を保ったトーンで、間奏の最中も続きます。そのまま2番が始まるんじゃないかと思うほどの長さでした。
2番の冒頭、
今夜のお別れに 最後の2人の歌は
で、左手を広げる玉置さんのジェスチャーがありました。この動きは、オーケストラを強調したように感じました。そこからの
夏の夜を飾るハーモニー
で地名を入れたアレンジがあると思いましたが、歌詞の変更はなく、「夏の夜を」と歌っていました。ここで玉置さんの表情がモニターに映り、その様子を観察すると、少し微笑んでいるように見えました。これには、アレンジを入れようとしたがやめたように感じました。
続くサビからは真剣な表情に。ここからはステージ前方に、星をモチーフにした金色の照明が無数に投影され、「揺れる」演出があります。
夜空をたださまようだけ 星屑の間を揺れながら
の歌詞にピッタリ合うように。この演出は曲の終了まで続きます。
最後は、マイクを置いた玉置さんのノーマイク歌唱です。
真夏の夢 あこがれを
いつまでもずっと忘れずに〜〜〜〜〜
大友さんの指揮では、トーンの最終盤からオーケストラ演奏が再開しますが、円光寺さんの場合は早いタイミングで演奏がリスタートしていました。そのため、玉置さんの歌声とオーケストラの演奏がよく交わります。この「曲の終りのハーモニー」も見事でした。
曲終了後は、円光寺さんが指揮台を降りて玉置さんと並び、お互いのパフォーマンスを讃え合います。その後、玉置さんと円光寺さんが1度退場しますが、それでも鳴り止まない拍手。しばらくすると、玉置さんと円光寺さんが手を繋いで戻って来ました。ここで再び盛り上がる観客席。そこから割とすんなり円光寺さんが指揮台に登り、コンサート再開です。このとき、玉置さんが退場するところで、ステージ裏とステージの順に指を差し「1度戻って、また帰って来る」というジェスチャーがありました。
14. 田園
円光寺さんの指揮により、ベートーヴェンの「田園」が始まります。途中、「生きていくんだ〜」といった玉置さんの「田園」が入ったところから、観客の手拍子が開始。これには「このタイミングで!?」と思いました。その後は、
ベートーヴェン「田園」✕ 玉置浩二「田園」
が交わるハーモニーで、盛り上がりが生まれて管弦楽終了。
玉置さんの「田園」が始まります。前奏で手拍子が後押しする中、玉置さんが再入場します。フォーラムはステージが横に長いため、早いタイミングで戻って来ました。前奏の歌唱パートが終わり、
石ころ蹴飛ばし 夕陽に泣いた僕
が始まったところで、全身を観客席に向ける円光寺さんの姿がありました。ここで両手を高く上げて、少しずつ下げていく「指揮」を我々にしていました。拍手を鎮める合図です。本編でこうした指揮を見たのは初めてでした。こういう部分にも、指揮者による違いが表れるのだと感じました。
生きていくんだ それでいいんだ
サビが始まると、再び円光寺さんが観客席を向いて、今度は指揮を取り始めました。冒頭から一転、「手拍手OK」のサインです。むしろ「大いに盛り上げましょう」というメッセージを感じました。ここからは大きな手拍手が演奏に乗り、最大の盛り上がりが生まれました。玉置さんによる最後のアレンジは、
愛はここにある フォーラムにある
で、会場のボルテージが最高潮になり、さらなる盛り上がりを促進します。
間奏を経て、2番の
陽だまりの中 がむしゃらに走る僕
が始まると、1番と同様に円光寺さんがこちらを向き、両手を上から下に下げる動作で手拍子を抑制します。それ以降はオーケストラに指揮を取り、2番のサビへ。
生きていくんだ それでいいんだ
ここでもやはり、客席を向いて指揮を始める円光寺さん。観客もそれに手拍子で応えて、演奏の一端を担います。
ラストは玉置さんの力強いシャウトで終了へ向かいます。この時点ですでに物凄い盛況が生まれているため、シャウトの途中から拍手が起こっていました。
15. メロディー
田園の終了後、すぐにメロディーがスタート。前曲の盛り上がりを引き継ぐように、
あんなにも好きだった
玉置さんの歌唱が始まると、観客席から拍手が起きていました。その後は静かな雰囲気の中、一言一言を丹念に込めて歌う玉置さん。サビの
メ〜ロディ〜
で地声と裏声が交差する繊細な歌声が心地良いです。その後の
① 泣きながら〜
② いつの間に〜
では、力の全てを出し切り、完全燃焼するような歌い方に感動しました。
ラストはノーマイク歌唱です。間奏中に右手でマイクを置き、その流れで右耳のイヤモニを外します。以降は円光寺さんの小さな指揮動作により、オーケストラの小さな演奏と玉置さんの肉声が重なりました。最後の
メ〜ロディ〜 泣かないで〜〜〜
では、管弦楽の演奏・玉置さんの歌声が強くなり、フィナーレへ向かいます。
あの歌は心から聞こえてるよ Nm〜
玉置さんがラストフレーズとハミングを歌い、オーケストラの後奏で曲が終了。ここでも、後奏の途中からすでに拍手が起きていました。
曲後も万雷の拍手が起こり、その中を玉置さんと円光寺さんが1度退場します。しばらく経つと、先ほどの手を引く動きとは対照的に、玉置さんが1人でステージに戻って来ました。その後、大きな間を開けて円光寺さんも1人でステージへ戻ります。その後の玉置さん、ステージ右端まで歩き、客席に向かって礼をします。そこから中央→左端へと進み、同じように客席に礼をしていました。その流れで、玉置さんが退場して行きます。
ここで、円光寺さんはステージ上に残ります。しばらく経ちますが、円光寺さんが退場する素振りを見せなければ、楽団が楽器を片付ける気配もなく、館内アナウンスも流れません。終演後に、拍手の中をマエストロ・オーケストラが動じずステージにとどまる姿。これらの様子は異様な光景でありました。それと同時に、「これは何かありそうだ」と思いました。
すると、円光寺さんが再び指揮台に登り、メンバーの方を向きます。何やら、これから演奏が始まりそうな雰囲気が会場を包み込みます。このタイミングで玉置さんが再入場。ここでさらなる拍手が起こります。玉置さんがステージ中央まで来ると、円光寺さんとアイコンタクトをしてうなずく姿を見せたのち、テーブルに置かれたマイクに再び手を伸ばします。ここで観客の誰もが「アレ」を確信して大声援。玉置さんもそれに、両手を観客席に伸ばして、「一緒に歌おう」といった仕草で応えていました。
16. 田園
円光寺さんの指揮でオーケストラの演奏がスタート。そのメロディーは【田園】の前奏です。「ダブルアンコール」が始まりました。
石ころ蹴飛ばし 夕陽に泣いた僕
序盤は玉置さんが1人で歌います。この歌い方を見ると、やや控えめで、観客が歌うかどうかを探っていたのかな、と思いました。
何もできないで 誰も救えないで
Bメロが始まっても同様、玉置さんが1人で歌い、サビへ向かいます。
生きていくんだ それでいいんだ
サビのスタート。ここから観客のパートになり、合唱が始まります。このタイミングで玉置さんがマイクを置き、客席に向けて両手で指揮の動きをしていました。続く
ビルに飲み込まれ 街に弾かれて
からは、再びマイクを持って歌う玉置さん。1・2番で歌詞が異なる箇所のため、観客をフォローします。
僕がいるんだ みんないるんだ
は再び客席に向けて歌声を促す玉置さん。そして…
愛はここにある 君はどこへも行けない
といった玉置さんの歌声。アレンジ無しという最大のアレンジを見ました!
昨年のNavigatoria公演でも、3/30@東京国際フォーラム(指揮者:田中祐子さん、管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団)で、田園のダブルアンコールがありました。このときの玉置さんは、
本編:フォーラムにある
WE:東京にある
と歌っていました。当時は、1日に2パターンのアレンジを見れるのは貴重だと思いましたが、アレンジ有りと無しを見れることもまたレアだと思いました。
2番も1番と同じように進行します。
(A)陽だまりの中 がむしゃらに走る僕〜
(B)何も奪わないで 誰も傷つけないで〜
Aメロ・Bメロは玉置さんが歌い、サビからは観客との合唱へ。
生きていくんだ それでいいんだ
ここで玉置さんがマイクを置いて、両手で観客席に指揮をします。
波に巻き込まれ 風に飛ばされて
からは玉置さんも歌い、そのままラストサビへ。
みんなここにいる 愛はどこへも行かない
の「みんな」で、右手を観客席に向けて大きく覆う動きがありました。本編ではなかなか見られない大きな動作で、合唱ならではだと感じました。
そこからは、2度目の後奏スキャットが始まります。前奏と同じメロディーを口ずさむところで、マイクを客席に向けて煽る玉置さん。しかし、これ以降は通常の歌唱とは異なるため難易度が高く、観客は応えません。そのため、ここからは玉置さんが発声メロディーを歌います。
その後、テンションが急転して盛り上がり、小刻みに「ダッダッ」と叫ぶシーンでは、本編以上に何度もシャウトを繰り出していました。その度に円光寺さんの元に近づいて行き、最後は力強いロングトーンで終了。圧巻のパフォーマンスを2度見ることができました。
その後、拍手と大歓声が飛び交う中、客席に向かって3度ノーマイクで叫ぶ玉置さんの姿がありました。その肉声はなかなか聞き取ることができませんでしたが、
ありがとう〜!!!
と言っていたように見えました。そこから玉置さんが退場して、ステージを後にします。
大熱狂のまましばらく経ち、このタイミングでついに終演のアナウンスが館内に流れました。これでコンサート終了です。そこからようやく楽団員が自身の楽器を片付け始めて、ステージ裏へ退場して行きますが、ここでも観客席から大きな拍手が起きていたところに、本公演の熱気を感じました。
以下、楽曲のセットリストです。
3. セットリスト
billboard classics
玉置浩二
LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024
“Pastorale”
3月28日
東京国際フォーラム
セットリスト
【一部】
1. ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」第5楽章〜歓喜の歌(管弦楽)
2. ボードビリアン 〜哀しみの道化師〜
3. ホームレス
4. Beautiful World
5. あこがれ(Instrumental)
6. MR.LONELY〜All I Do〜サーチライト(メドレー)
7. Friend
【二部】
8. 『管弦楽組曲第3番ニ長調』より第2曲「アリア」(J.S.バッハ作曲)
9. SACRED LOVE
10. 行かないで
11. ワインレッドの心〜じれったい〜悲しみにさよなら(メドレー)
12. JUNK LAND
13. 夏の終りのハーモニー
【アンコール】
14. 田園
15. メロディー
【ダブルアンコール】
16. 田園
4. 公演後の様子
公演後の会場の様子です。
この日の玉置さん、オーケストラの音に合わせて歌うのがとても上手いと思いました。それを特に感じたのが、FriendとJUNK LANDです。ゆったりとした演奏で生まれた余白を、歌声で埋めていく姿が印象的でした。
また、本編終了後には田園のダブルアンコールもあり、会場が熱狂の渦に包まれていました。今後の公演ではどのような演出が待っているのか、今から楽しみです。
次は今月末の仙台公演に参加します。今回と同様、円光寺さんの指揮のため、玉置さんの歌い方がどうなるか、ダブルアンコールはあるか、しっかりとこの目に焼き付けます。
日付 | 会場 | 曲 |
2/28 | 那覇 | 悲しみにさよなら |
2/29 | 那覇 | 悲しみにさよなら |
3/13 | 東京芸 | Friend 行かないで |
3/28 | 東京国 | Friend |
こばかず
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