先日の6月4日、billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2025 “ODE TO JOY”@アクトシティ浜松公演に参加しました。
指揮:大友直人
管弦楽:セントラル愛知交響楽団
※本投稿では、公演のセットリストや演出を記載します。本ツアーは15都市26公演の規模で行われます。初日を迎えていない方や、ネタバレに抵抗のある方はご注意ください。
1. 公演前の様子
公演前の会場の様子です。
音楽の都・浜松#玉置浩二#billboard#アクトシティ浜松 pic.twitter.com/XIuLewjx1v
— こばかず (@anzen_koji_1982) June 4, 2025








今日はツアーが発表されてから1番楽しみにしていた公演
— こばかず (@anzen_koji_1982) June 4, 2025
昨年ソロツアーのサプライズはもとより、音響の良さに魅了された
1曲目「星になりたい」の歌い始め、
“約束だったよね
一緒にいるって”
で3階席まで一直線に届いてきた玉置さんの歌声が忘れられない#玉置浩二#billboard#アクトシティ浜松
この日は本ツアーの日程が発表されてから最も心待ちにしていた公演でした。今回の会場となったアクトシティ浜松では、昨年の8月16日に台風で開催が危ぶまれる中、Resumeツアーのコンサートが行われました。終演後には玉置さんが再びステージに現れ、安全地帯の数曲を弾き語りおよび観客との合唱形式で歌うサプライズがインパクトに残る内容でした。しかし、個人的にはそれと同等かあるいはそれ以上に、ホールの音響の良さに心を奪われました。本編1曲目「星になりたい」の歌い始め、
約束だったよね 一緒にいるって
の歌声が一切ぼやけることなく、3階席の端まで真っ直ぐに届いてくる良質な音の伝わり方に感銘を受けて、

いつかこの会場でシンフォニックコンサートを聴いてみたい!
と強く思ったのが経緯です。
2. 公演の様子・各曲の感想

この日の座席は1階席の中央ブロックでした。ステージ全体をしっかりと確認できる位置で、とても見やすい距離感でした。
定刻の18時00分、コンサートが始まります。左右の舞台袖からセントラル愛知交響楽団のメンバーがステージに姿を現し、続いてコンサートマスターが1人で入場してきます。そこから綿密に各楽器のチューニングが行われ、終盤には会場が暗転。再び静寂が場内を支配し、しばらく待ちの時間が続きました。その後、マエストロの大友さんが下手の舞台袖から登場。楽団を起立させて、コンマスおよびトップサイドと握手を交わしてから、拍手が起こった客席に一礼をしました。
1. ベートーヴェン 交響曲第9番 第4楽章 「歓喜の歌」
指揮台に登ってオーケストラ一帯を見渡し、身体を低弦隊に向けて指揮を構える大友さん。小さな指揮動作で、チェロとコントラバスの渋い音が単旋律を演奏して管弦楽が始まります。次のパートからは音程が上がり、ヴィオラとファゴットが追加される展開に変化。ここでは、大友さんがステージ中央に位置するファゴットに目配せをして演奏開始を指示しました。
その後はバイオリンが曲の主旋律を演奏して、華やかな高音が響き渡っていきます。このパートでは、大友さんが弦をかき鳴らすような指揮から、左右へワイドに展開する滑らかな動作でストリングスの合奏を引き出しました。また、しきりにバイオリンに身体を向けて、左手を共鳴させるような手の握りで強い演奏を促していたのが印象に残りました。
最後は金管楽器と打楽器が追加されて、豪華な演奏が繰り広げられます。大友さんの指揮もリズムを取るように上下動が激しくなり、広々とした横への展開から縦のモーションに様変わり。最後はゴージャスに曲の終了を迎え、両手でその音を完全に消し切りました。
2. 歓喜の歌(玉置浩二)
前曲の余韻を残すような間を空けて曲が始まります。大友さんがゆったりと左手をホルンに向けて、長い一音を誘い込みました。その後は大友さんの各楽器に向けた緻密な指揮によって、素晴らしいアンサンブルが生まれました。例えば、曲の中盤でバイオリンとチェロが交互に高低のハーモニーを織りなすパートでは、素早く右手をバイオリンに向けて音を合わせたり、終盤でフルートとチェロの合奏が終わってからストリングスのアンサンブルになるパートでは、コントラバスに手を伸ばして指弾きのリズムを指揮する姿が印象に残りました。この日の大友さんは、オーケストラへの指揮がとても的確に見え、ステージで表現したいと考えられている音作りがよく分かりました。
この曲もラストは盛り上がって終了を迎えます。大友さんが少しずつ両手を上げていく指揮で演奏のボリュームがどんどんアップしていき、最後は右手を一回転させて胸の前で止めるポーズで序曲が完結しました。
曲後は観客席から拍手が起こる中、大友さんも同じように下手の袖に向けて拍手を送り、主役をステージに呼び込みます。しばらくすると玉置さんが姿を見せ、一際その音が大きくなりました。中央まで堂々と歩みを進めると、大友さんとそれぞれの手を握り合う動作で握手。その後、玉置さんが観客席を向くとさらに拍手の音が大きくなりました。そこからは上層階も一瞥してマイクを取り、同じタイミングで場内が暗転して本編が始まります。
3. GOLD
曲前、大友さんがゆっくりと右手を上げる美しい構えから指揮動作が始まり、バイオリンの高い音色が主体の前奏でスタート。続く玉置さんの第一声、
行こう…遠くまで
で、やはり会場の良好な音響が伝わってきました。音量は抑えられつつもしっかりと伝播してくる音の響きで、明快に歌声が届きました。
曲の中盤、
思い…馳せよう 星屑と地の果てへ
では、玉置さんと大友さんが向き合って、歌と演奏のタイミングを合わせる姿がありました。玉置さんの歌声が先行して入ったと見るや、すぐさま強い指揮動作でオーケストラに演奏を開始させる大友さん。見事なタイミングで演奏が始まりました。
その後の間奏はストリングスがメインの演奏になり、ここでも大友さんが弦を強く弾くような動きで弾奏を指揮しました。以降は玉置さんの力強い歌声が響いたのち、ラストフレーズを
笑いながら…行こう
といった深みのある声で歌唱パートが終了しました。大友さんもこの歌声を最後まで聴き入れてからオーケストラの後奏を指揮。壮大な演奏が曲を飾り、最後は胸の前で静かに右手を握る指揮で締めくくられました。
4. ロマン
前曲と比較すると、低音の響きをよく感じるストリングスの前奏で曲が始まります。その音が静かに止むと演奏の主導権はピアノに渡され、玉置さんの歌との共演になります。ここからは大友さんが斜めに身体を傾けて、ピアノに向けた指揮をゆっくりと丁寧に振りました。
サビからは、弦楽器をはじめとしてその他の楽器演奏も加わり、オーケストラの演奏にも玉置さんの歌声にも盛り上がりが生まれていきます。ここでは大友さんが大きな指揮を展開しながら、しばしば玉置さんの姿を確認する身振りが印象に残りました。
さらにテクニカルな2番を終えてラストサビに入ると、本曲もクライマックスに突入。短編の間奏で繰り出されるストリングスの速弾きが盛況を作り出し、照明も明るくなってラストに向かいます。ここからは玉置さんの歌も一段とパワフルになり、伸びのあるトーンや流暢なメロディー変化に応じた綺麗な歌声が響いてフィナーレを迎えました。
5. SACRED LOVE
大友さんが3度丁寧に右手を上げる指揮から、「祈りの鐘」が3回鳴って曲前の演出がスタート。玉置さんは胸に手を当ててその音を聴き、やがて始まる曲の前奏中にもその姿勢を崩しませんでした。歌唱パートが始まると、非常に澄んだ玉置さんの歌声が優しく会場を包みました。音響の良さも影響して、クリアに音が染み込んでいく感覚がありました。
曲中盤の間奏では、鉄琴が静かに単旋律を演奏して終盤の歌唱パートに移っていきます。ここからは玉置さんの歌声が力強さを増して、情熱的な歌唱になりました。このパートのラストである、
暗い夜明けでも
凍えそうな真夏も
心に〜あるのは〜
ではスイッチが切り替わったように曲のスピードが減速し、続く
いつも幸せを歌った君と
以降は非常にゆっくりと曲が進行しました。最後の、
あのときの…ぼ・く・だ・よ
は玉置さんと大友さんが向き合って、うなずきながら歌を合わせる姿で曲が終了しました。
6. MR.LONELY~サーチライト(メドレー)
フルートが軽快な演奏に、玉置さんが前奏を裏声で合わせて「MR.LONELY」が始まります。序盤は木管楽器が主旋律を演奏し、弦楽器が指弾きでリズムを作るオーケストレーションで曲が進行。その中を玉置さんが軽やかに歌い進めました。サビからは力強い歌声に変化し、そのままの流れで間奏の発声パートを豪快な地声で、メロディーラインに沿って歌い上げました。
2番では、サビに入る直前に印象的な演奏を確認しました。玉置さんのシャウトをお膳立てするようにキレのあるストリングスの演奏が入り、玉置さんもそれに応えて溌剌としたフェイクを入れてサビに向かう展開。この演奏は1番の静かな様子とはまるっきり異なり、玉置さんがシャウトを入れることを前提にした音作りであることが窺えました。以降は玉置さんもテンション高く歌い上げ、サビが始まった直後には、
何にもないけど〜ぉお⤴︎〜
僕らは野に咲く花のように
というように2段階音程を上げるアレンジもしていました。そのまま最後まで力強い歌声で歌い終えると、後奏は一転して静かな裏声をメロディーに合わせて曲が終了しました。
木管楽器の前奏で、2曲目の「サーチライト」に移ります。この曲は、玉置さんの一言一言に重みを持たせるような歌声が記憶に残りました。序盤の低音パートは深みのある渋い声、サビの裏声は繊細な高い声で、歌詞の意味が妙に入ってくるように感じました。曲がクライマックスに向かっていく、
サーチライトはそうなんだ
君なんだ 君なんだ
では、はじめに高く設計された4階席まで右手を伸ばし、歌いながら少しずつ下げていくモーションで、ダイナミックに会場を包み込みました。最後には左手を伸ばす姿もあり、ホールの隅々まで手を差し伸べるジェスチャーに感動しました。
7. Friend
この曲も木管楽器の前奏でスタート。ここにチェロの重低音が交わるところで、玉置さんが胸をトントンと2回叩く仕草で第一部の最終曲が始まりました。前奏の音を大友さんが完全に止め切って、ピアノの三音を合図に玉置さんの歌唱パートに移ります。ダークな照明下で玉置さんのみが白く強調され、ピアノの伴奏に合わせてゆっくりと歌う静かな歌声が見事でした。
サビからは、非常に伸びのある強いトーンが響き良く会場にこだましました。この日は、各パートの1回目のトーンは全て末尾にビブラートを入れる王道なスタイルで、綺麗に歌声が収束していきました。そして、2回目のトーンが秀逸でした。序盤から小刻みにビブラートをかけて、波打つような歌声が客席まで届きました。また、歌うフォームがまた素晴らしく、体勢とマイク位置を全く動かさずに固定して、一定の声量とビブラートの間隔を保ち続けたハイレベルな歌声でした。
最後のロングトーンを、マイクを少しずつ遠ざけながら感傷的な表情で歌って歌唱パートを終えると、後奏の途中に玉置さんが退場します。大きな拍手が会場を包み込む中、堂々とした姿勢で下手の舞台袖に歩いていきました。なおもステージではストリングスがメインの演奏で後奏が続き、最後は大友さんがゆっくりと手を握る指揮で曲が終了しました。曲後は客電が灯り、明るくなった場内を大友さんが退場。その後、余韻を残すような大きな間を取って館内アナウンスが流れ、20分間の休憩に入りました。
8. バレエ音楽『くるみ割り人形』第2幕より「花のワルツ」(P.チャイコフスキー)
インターバル後、第二部が始まります。両方の舞台袖から楽団が入場したのち、念入りに調律が行われました。続けて、ここでも大きな間隔を空けて大友さんが登場。指揮台に登り、管弦楽でコンサートが再開します。
クラリネットやファゴット、オーボエなどの木管楽器が主旋律を演奏して曲がスタート。ここではハープが副旋律を奏でてリズムを取りました。続いて主役が交代してハープのソロパートに移ると、きめ細やかで美しい演奏が広がりました。この演奏中は大友さんが特に指揮をすることなく、その様子をしばらく静観していました。ハープの独奏が終了してからは、大友さんが低弦に向けて静かな指揮を開始。チェロとコントラバスが「ボロン、ボロン」とリズムを取り始めました。続いてホルンが曲の主題を演奏すると、途中からはクラリネットがその音を掴むように演奏に加わる展開。その後はバイオリンをはじめとするストリングスが三拍子のワルツを奏でて、華やかに曲のメインテーマが始まりました。このパートでは、カウンターメロディーとして節々にフルートの演奏が入り、それを大友さんが時には右手で、時には左手で、あるいは両手を使って引き出しました。
曲の主題を終えると、フルートとコンマスによるバイオリン演奏の共演によって、やや物憂げな曲調にムードが変わる一節もありました。その後は再びホルンのモチーフからストリングスによるメインメロディーの演奏を経て、最後は金管楽器や打楽器も加わるゴージャスなラストを迎えます。最後は曲が盛り上がり切って、大友さんが華麗に右手を握る指揮によって豪華絢爛な管弦楽が終了しました。
本曲のリンクを以下に貼ります。本公演ではややカットされた部分もありましたが、要所はしっかりと実演されました。
曲後はしばらく指揮台に登ったまま下手の舞台袖に向けて拍手をする大友さん。やがてその場を降りて拍手を続けると、玉置さんがステージに姿を現して第二部の本編が始まります。
9. いつもどこかで
オーケストラの前奏中、語りかけるように小さなフェイクを入れる玉置さんの姿がありました。続く歌い始め、
君の行くその道が
からは澄んだ瑞々しい歌声がしっかりと届き、第二部も好調をキープして曲が進みました。
曲中盤の間奏では、金管楽器の豪華なアンサンブルが主旋律を演奏しました。このメロディーを下支えしたのはバイオリンをはじめとするストリングスの弾奏で、骨太なブラスのサウンドを華やかな音色でじっくりと支え続けました。その後、玉置さんの歌唱パートが再開すると、これまで主役として曲を彩ったブラスが、今度はオブリガートとして玉置さんの歌声に乗っかり、短い三連発の吹奏がフレーズ間で随所に輝きました。
曲のクライマックスであるラストの、
僕が君を〜〜〜〜〜
ではマイクを大きく離してトーンを放つ玉置さん。途中からはフェイクにその歌声を転じさせていきました。このロングトーンと重なるオーケストラ演奏がいつもよりも控えめに聴こえ、より玉置さんの歌声が強調されているように感じました。その分、トーンの途中で演奏音を止める大友さんの指揮動作も小さめに見え、軽く左手を回す程度でした。その後は一旦、歌と演奏が止まり、
包んで…いるよ…
の静かな歌声で曲が終了しました。
10. 行かないで
曲の第一声、
何も見えない何も
が声を詰まらせたような、情緒を感じる玉置さんの歌声で始まりました。サビではマイク位置を絶妙に変えながら歌う玉置さん。1番、
いつまでもずっと離さないで
の強いトーンではマイクを身体から離してから、続く
Ah〜
の裏声は口元に近付けて歌う機微な調整を見ました。パワフルな歌声はもちろん、繊細な歌声もしっかりと聴こえてくる調節が見事でした。
2番の始まりでは、大友さんの特徴的な指揮を目にしました。まず左手でピアノに指揮を出し、ほんのわずか後に右手でチェロに指揮を出す姿で、2番のスタートを彩る楽器群の演奏を導きました。この日は、大友さんの各楽器に向けた指揮が分かりやすく、そして充実していた印象を持ちました。演奏を担当する楽団の特徴や会場の響きによって、現場で発生している音色を瞬時に感じ取り、その時々に応じた最適解を指揮で表現し、オーケストラの演奏に落とし込む精密な作業をしているのだと思いました。
2番のサビも玉置さんの歌声に引き込まれました。
どんな時でも離さないで
の直後の
Ah〜
は、ややマイクを離した地声で、今度はマイクをあまり近付けることなく歌いました。半ばノーマイクにも聴こえるような歌声で、音響の良いホールをしっかりと声が伝わってきました。
その後の間奏は、オーボエのソロパートで始まって次第にストリングスの合奏に移る形式。ここでも大友さんが弦を強く弾くような指揮を見せて演奏をリードしました。この日は、弦楽器に向けた同様の指揮動作も多かったように思います。
11. ワインレッドの心~じれったい~悲しみにさよなら(メドレー)
冒頭からポップに「ワインレッドの心」を歌い進める玉置さん。リズム良く軽快に歌う姿がありました。やはり、1番からラストサビに移るポイントでの照明変化はなく、終始紫色のライティングで曲が進みました。序盤の色彩も以前から変わっているように感じます。これまではもっと鮮やかなピンク色のイメージがありましたが、ここ最近は暗めが基調の紫色のように見えます。そのラストサビでは、
あの消えそうに燃えそうな
ワ〜〜インレッドの〜
のシャウトがとてもパワフルで大きな見どころでした。また、このトーンを締めくくる終盤のラフな歌い方の時には、玉置さんが歌いながら大友さんに近付いていく姿もありました。
繋ぎの間奏を経て「じれったい」がスタート。ボリューミーでロックテイストなオーケストラ演奏で曲が始まりました。この曲も引き続き、玉置さんが俊敏に歌っていきます。これまでのバラード曲が主体となったセットからは豹変したような歌いぶりで、ロックな雰囲気が漂いました。サビの
じれったい 心を溶かして
じれったい 身体も溶かして
では、かなりカジュアルな歌声で、しかも身体を捻りながら歌う玉置さん。ここでも以前のバラードとは一風変わった姿を見せました。
壮大なオーケストラの演奏で「悲しみにさよなら」がスタート。やがて大友さんが玉置さんの方を向いて指揮を広げて、
泣かないでひとりで
ほゝえんで見つめて
あなたのそばにいるから
の歌唱が始まります。その後、
夢にまで涙が あふれるくらい
からも大友さんが玉置さんを見て、左右に身体を揺らしながら指揮を進めました。
サビ前、
揺れる・・・心をぉ〜⤴︎
のアレンジはなく、ノーマルな歌い方でサビに入りました。その最後を、
愛を世界の平和のために
と歌うと観客席から拍手が起こり、左手を胸に当ててお辞儀をする玉置さん。その途中、礼をしながらフェイクを入れる様子も確認しました。
ラストサビは輝かしく展開。ここでも大友さんの印象的か指揮動作がありました。
泣かないでひとりで(※)
その胸にときめく
愛を叶えられたら
の(※)で、インパクトのある短い金管楽器の助奏が入ります。それを左手を強く当てるような指揮で引き出しました。この音が高く鳴ると、そのまま素早く左手を回す指揮でピッタリに音を止める大友さん。奏者との見事なコンビネーションを見ました。
最後はオーケストラの演奏が静まり、ステージも急激に暗転する中、玉置さんがマイクを大きく遠ざけて、
泣かないでひとりで
ほゝえんで見つめて
あなたのそばにいるから
の歌唱に入ります。その後は伴奏に合わせたフェイクを数回入れたのち、完全にマイクを下げ切って、
悲しみに〜さよなら〜
の歌声でメドレーが終了しました。曲後は大友さんが指揮台から降りて、玉置さんと両手でガッチリ握手を交わして素晴らしいパフォーマンスを讃え合いました。
12. JUNK LAND
ハープとピアノの速弾きで曲が開始。緊迫感が漂うスタートになりました。玉置さんの歌唱パートが始まってからも、そのスピード感は衰えることなく速いビートを刻み続けました。こうしたリズミカルな演奏形態においても、懸念していた客席からの手拍子は一切起こらず、ステージの奏者にも観客席の聴衆にもストレスがかからない曲中の雰囲気でした。
その一方で、いつも行うジェスチャーを玉置さんが忘れるシーンがありました。
どんな風が吹いたって負けるわけない
で、右の拳を突き出すポーズをしていませんでした。その代わりといったら語弊があるかもしれませんが、
負けるわけないぃ〜〜〜
と語尾を長く伸ばす歌い方をして演出に華を添えました。そこから1発、
ヘイ!
とシャウトを入れてから
待ってる人のその前で
泣いてる人のその前で
のパートに突入します。以降はキレのあるストリングスの演奏がリズムを刻み、裏のリズムをフルートが取りました。ここのスピード感と音のバランスが素晴らしく、見事なテンポを生み出して玉置さんの歌声に寄り添いました。
愛してる人のその前で
では客席に手を向けて歌う玉置さんの姿もあり、濃密なパフォーマンスが疾走と駆け抜けていきました。
2番は1番と比較すると、さらに難易度が高い歌唱になります。特にそれを感じる、
破れちまった旗でも高く掲げ!
の激しいシャウトから
月と星と太陽とそれとCherry連れて
への繋ぎは流暢に、
ギザギザ欠けてくハートを合わせて
僕のスピードじゃ何も変えることができない
のフェイクは、曲のリズムに身を任せるようにノリノリで歌って、これらのポイントをいとも簡単にすり抜けていきました。
転調後のラストは、爽快な世界がホールに広がっていきます。暗い照明が白く変化し、張り詰めた緊張感から壮大な雰囲気に変わりました。玉置さんの歌声も伸びやかなスタイルに変化し、曲の世界観を見事に表現しました。その中に迫力を感じる部分もあり、3回目の
ガラクタだけど
心を込めて
昔に見たもの
そう JUNK LANDで
では、身体を震わせながら野太い歌声を発していました。ダイナミックなジェスチャーも豊富になり、
緑の丘で2人で暮らそう
では客席方向に手を伸ばして左右に覆う動き、
限りなく青い大空
では指をまっすぐに伸ばす動作がありました。続く
そう JUNK LANDで
の最後には、大友さんが両手を激しく左斜め上にかっ飛ばす指揮で、豪快なシンバルの音が鳴って後奏に入りました。ラストは、玉置さんと大友さんが演奏終了を合わせる、奥義ともいえるパフォーマンスに移ります。両者が向き合い、大友さんが両手を握って構えるポーズに対して、玉置さんが裏声で応える姿。最後はお互いが手を回す動作でピッタリに曲が終了しました。
その後、ワンテンポの間を置いて客席から圧巻の拍手が起こりました。タイミングが素晴らしい拍手の発生で、曲中は静かに見守り、曲後は活発に賞賛する、ステージに最大限まで配慮された見事な観客の姿勢を感じました。こうした様子に熱くなっている1人の男がいました。マエストロの大友さんです。この機会で客席の方を向くと、両手を上げて奮わせるような「指揮」を我々に見せて拍手を煽りました。マエストロが見せたまさかの合図に、より一層と強まる観客の拍手。玉置さんも両手を広げてこの賛美に応えました。これまでの公演では、曲中に幾度となく手拍子を止めようと尽力した指揮官が、シチュエーションは違えど今度は拍手を煽る姿にとても胸が熱くなりました。それと同時に、この日は本曲の仕上がりに相当の手応えを感じていたんだろうと心中を察しました。
13. 夏の終りのハーモニー
前曲の盛り上がりをクールダウンするようにバラード曲がスタート。玉置さんの歌声もその仕様に変化し、聴かせる歌い方にチューニングされていきました。中でも、深みのある低音域の渋い歌声が序盤は際立ちました。1番のサビでは、最後の
いつまでもずっと
忘れずに〜〜〜〜
で長く繊細なトーンが続きました。
2番も1番と同様に、奥行きのある始まりから雄大なサビに移り変わると、歌詞中に表れる
星屑の間を揺れながら
をモチーフにしたような、星模様の黄色い粒々のライトがステージのバックに投影され、ロマンチックな演出が施されました。その後のラストサビはノーマイクで歌う玉置さん。歌声を続けながらも、右手でマイクを置いて始まります。オーケストラ演奏が静かになったのち、
真夏の〜ぉお〜⤴︎
で急激に声の張りが強くなり、またその姿勢も胸を張って堂々と歌い上げました。最後は、
忘れず・・・
で深くブレスを吸い込み、
に〜〜〜〜〜
の非常に長いトーンに繋げていきます。この歌声の途中で大友さんの指揮が再開して、オーケストラ演奏が始まります。やはり、玉置さんの歌声がまっすぐなトーンからビブラートに変わる絶妙なタイミングで演奏が始まりました。このポイントを意識しているのかは分かりませんが、「神は細部に宿る」というようなきめ細やかさを本パートに感じました。以降はゆっくりした後奏が続き、大友さんの小さな指揮動作で曲が終わると、同時に玉置さんが両手を握り合わせるポーズでこの作品が締めくくられました。
曲後は場内が明転し、カーテンコールの演出に入ります。多くの拍手が観客席を包む中、ステージ上ではお互いを讃え合う玉置さんと大友さんの姿がありました。しばらく経つと、2人が1度ステージから退場していきます。その後も拍手が続いたのちに、間を空けてから再びステージに舞い戻る両者。以降も観客からの賞賛に応えていきます。ここからは、客席の前方から順に観客がその場に立ち上がってステージに拍手を送りました。玉置さんもこうした聴衆に向けて視線を送っていました。
その後、接近して話し込む玉置さんと大友さん。会場の上層階を指差しながら、

この会場は4階席まであるんですね

すごい、大きな動作で拍手をしていますね
といったニュアンスの会話を交わして、玉置さんが上層階にも手を伸ばしました。2人のコミュニケーションと、歓声に応える時間はとても長く続き、その途中には1階席中央から後方の観客も次々と自席を立ち上がっていきました。この様子は、まさにクラシックコンサートでよく見る綺麗なスタンディングオベーションでした。やがて玉置さんが上層階から1階席に目を向けた頃には観客が総立ちになっており、ビックリしたような表情を浮かべていました。その後、再び玉置さんと大友さんが退場していきます。ここからも観客総立ちの光景は変わらず、オーケストラのみが残ったステージに向けた拍手が飛び交いました。こうした観客の様子に引き込まれるように玉置さんと大友さんがステージに戻り、大友さんは指揮台へ、玉置さんは三度ステージ裏に退場していきます。ここでは、歩きながら

(またステージに)👉戻ってくる
(1度舞台の裏に)👈戻ってから
(管弦楽に向けて)🫱🫱🫱
といったジェスチャーを観客に見せてステージを後にしました。
14. 田園
曲前、大友さんが客席をじっと見つめて、座り始めた観客の様子を確認しました。この状況が落ち着いてから、ベートーヴェン 交響曲第6番 第1楽章の「田園」で管弦楽が始まります。熱狂的なカーテンコールの余韻は保ちつつも、会場全体が安らぐような温かみのあるオーケストラ演奏が展開されていきました。やがて玉置さんの「田園」が旋律の中に現れると、次第に観客席から大きな手拍子が発生して盛り上がって曲が進んでいきます。曲の旋律が完全に玉置さんの「田園」に渡され、本人がステージに姿を現すと、観客が再び総立ちになってパフォーマンスを見守りました。
玉置さんの歌い始め、
石ころ蹴飛ばし 夕陽に泣いた僕
のAメロからはパッタリと手拍子が鳴り止み、ここでも素晴らしい雰囲気で曲が進んでいきました。玉置さんはその後もリズム良くBメロを歌い進め、サビに突入します。以降は観客から手拍子が起こり、大盛況が曲を後押ししました。地名を入れたアレンジは、
愛はここにある 浜松にある
でした。ここで観客のボルテージが上がり、スイッチを押したように客電が点灯。この間奏の発声パートは、観客の合唱になりました。
2番以降は全編を玉置さんが歌い上げ、ラストのシャウトパフォーマンスに向かいます。後奏の最後を、大友さんが右手を激しく突く指揮でシンバルの力強い音が鳴ったのち、そこからは玉置さんの方を向いて両手を握る指揮で豪快なシャウトを引き出しました。それに応える玉置さん。大友さんの方を向きながら、広い天井を突くような一筋のロングトーンが生まれました。直後には右手に持ったマイクを上に突き出す動作もして、圧巻のパフォーマンスを飾りました。
曲後は玉置さんと大友さんが固く握手を交わし、しばらく沸いた観客からの拍手に応えました。ここでも観客が総立ちのまま輝かしい賞賛がステージに送られ、分厚い音が生まれました。そこから1度両者が退場すると、今度はあまり間隔を空けずに2人がステージに戻ってきました。ひとしきり拍手を聴いてから、大友さんは指揮台に登り、玉置さんはマイクを手にして次曲が始まります。
15. メロディー
聴衆がスタンディングのまま曲がスタート。特に着席するような合図を大友さんが送ることなく曲が始まりました。この日は歌い始めの、
あんなにも好きだった
で拍手がほとんど起こらない(一部では起こっていましたが気にならない程度)曲の開始になりました。この日の「メロディー」は非常に出来栄えが良かったと思います。バラード曲でしんみり歌い上げる中にも、その歌声は骨太で強い芯が通っており、玉置さんが込めた強さを感じました。中でも1番のロングトーンが絶品で、
メ〜ロディ〜
泣きながら〜〜〜
で太いストレートな歌声が響きました。2番に入ってからもこうした歌声は健在で、全く衰える気配がなく高い集中力を保ち続けて曲が進みました。
2番終了後の間奏中、玉置さんがまずマイクをテーブルに置き、その後に右耳のイヤモニを外してノーマイク歌唱の準備を整えていきます。1発目の、
あの頃は何もなくて
それだって楽しくやったよ
メロ⤴︎〜ディ〜
は音程を跳ね上げる強い入りから、
ディ〜
で瞬時に裏声に切り替える歌唱スタイルでした。続く、
泣きながら〜〜〜
のトーンがワンテンポ遅く入る歌い方で、少し驚きました。というのも、ラストサビのノーマイク歌唱が始まってから、玉置さんの気持ちがとても歌声に入り込んでいるように見えました。そして、あの5/11@愛知公演で見た涙しながら歌う光景が一瞬脳裏をよぎりました。しかしながら、その後は持ち直してパワーのある歌声を聴かせました。2回目の、
君のこと忘れないよ
いつだって楽しくやったよ
メロ⤴︎〜ディ〜
では終始声を張る歌い方で違いを作り、ラストの
泣かないで〜〜〜〜〜
の長いトーンに繋げていきました。この途中からはオーケストラの音も加わって玉置さんの歌声との調和が生まれると、最後は静かな伴奏下を、
あの歌は心から聞こえてるよ
と深みのある歌声で締めくくって曲が終了しました。
曲後はここでもスタンディングオベーションになり、ステージに向けた拍手喝采が送られました。ここで玉置さんが客席に向けてノーマイクで、

ありがとう〜!!!
と叫ぶと、大友さんとともに退場していきます。なおも鳴り止まない拍手の中、しばらくすると両者がステージに戻ってきました。すんなりと指揮台に登る大友さん。玉置さんもマイクを持って客席を向き、片手を口元でグーパーする仕草

👊🖐️
を見せて合唱のサインを送りました。この合図に観客席は再び沸き返り、ダブルアンコールが始まります。
16. 田園(ダブルアンコール)
カーテンコールで客電が点灯した演出そのままの明るい照明で、玉置さんの「田園」で駆け足に曲がスタート。手拍子も前奏に乗って曲が始まりました。その後は玉置さんが歯を噛み締めるようにそのリズムを取ると、発声パートの第一声を基準として放ちます。以降は観客の合唱になって前奏が進みました。
Aメロからは玉置さんが1人で歌い進めました。
夜空見上げて 星に祈ってた君
では、空を向きながら歌う姿が印象的でした。Bメロの、
カッコつけてないで
やれるもんだけで
毎日何かを頑張っていりゃ!
で、強調して歌う玉置さんの歌声が合唱の合図になってサビに入ると、
生きていくんだ それでいいんだ
が観客の合唱になりました。ここからは大友さんも客席を向いて指揮を広げ、この演出の一翼を担いました。観客もこのスタイルに慣れたのか、コーラスの声がいつもよりも大きく感じました。曲中の手拍子は控えめに、曲後の拍手は大盛況で、そして合唱パートは全力で、「音楽の都」で行われたコンサートに相応しい、理想的な公演の形になったことが何よりも嬉しかったです。その後は玉置さんが歌を推進して、ここでも
愛はここにある 浜松にある
と歌いました。本編と地名を変えないアレンジで、個人的にはこの表現もピッタリ合っていたと思いました。その後の間奏も観客の合唱になり、その休符では玉置さんが
Dah、Baby!Dah、Baby!
と2回合いの手を入れて叫んだのも印象に残りました。2番も1番と同様の形で曲が進み、AメロとBメロを玉置さんが歌い、サビの
生きていくんだ それでいいんだ
を観客が唱和しました。
そして始まる、クライマックスのシャウトパフォーマンスがまた進化した格好になりました。後奏の小刻みに叫ぶシャウトでは、客席を向いて各方面に指を差す玉置さん。その手がみるみる上に登っていき、1階席、2階席、3階席4階席と四方八方に向けて手を伸ばしていきました。玉置さんは非常に多くの箇所に向けて手を差し伸べていたため、その回数分シャウトの量も多くなりました。最後は大友さんの方を向いて一本の強いロングトーンが放たれると、この最中には大友さんも客席を向いて指揮を繰り出し、千両役者両名による特大サービスが生まれました。ここで観客席のボルテージは最高潮を迎え、大盛況で曲が終了しました。
曲後もしばらく観客からの感嘆が相次ぎ、極めて大きな充実感がホールに漂いました。こうした素晴らしいムードの中、玉置さんと大友さんが退場していきます。その後はコンマスが一歩前に出て礼をしたのち、本公演を見事に彩った楽団も左右の舞台袖に戻り始めました。このメンバーにも客席から温かい拍手が送られていたその時、玉置さんがスピーディーにステージへ姿を現しました。歓喜に沸く観客と、立ち止まってその場を眺めるオーケストラ。ここからは玉置さんが後ろの楽団員を向いて、観客とともに拍手をしていました。これは非常に美しい光景でありました。しばらくすると、玉置さんが下手の袖に手を伸ばす合図を送ります。この姿を、

大友さんが玉置さんを呼び込む時と全く同じ格好
と思いながらその様子を眺めていると、マエストロの大友さんも再びステージに姿を見せました。ここからまた始まるステージへの絶賛に、今度は玉置さんが両手を広げてからのエアハグで応えました。その後、玉置さんが退場し、大友さんも楽団に向けてジェスチャーを与えてから退場。少し間を置いた良いタイミングで館内アナウンスが流れて公演の幕が閉じました。会場が一体となって、THE・シンフォニックコンサートともいえるべき高いクオリティーを全編に渡って保ち続けた、完全無欠な公演が終了しました。
以下、楽曲のセットリストです。
3. セットリスト
billboard classics
玉置浩二
LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2025
“ODE TO JOY”
6月4日
アクトシティ浜松 大ホール
セットリスト
【一部】
1. ベートーヴェン 交響曲第9番 第4楽章 「歓喜の歌」
2. 歓喜の歌(玉置浩二)
3. GOLD
4. ロマン
5. SACRED LOVE
6. MR.LONELY~サーチライト(メドレー)
7. Friend
【二部】
8. バレエ音楽『くるみ割り人形』第2幕より「花のワルツ」(P.チャイコフスキー)
9. いつもどこかで
10. 行かないで
11. ワインレッドの心~じれったい~悲しみにさよなら(メドレー)
12. JUNK LAND
13. 夏の終りのハーモニー
【アンコール】
14. 田園
15. メロディー
【ダブルアンコール】
16. 田園
4. 公演後の様子
公演後の会場の様子です。
とても濃密な時間でした!
— こばかず (@anzen_koji_1982) June 4, 2025
THE・シンフォニックコンサートともいえるハイレベルな音楽で、1人また1人と観客が立ち上がっていく様は、クラシックの雰囲気も感じさせました
最終曲では、1階席、2階席、3階席4階席と順繰りに指を伸ばして叫ぶパフォーマンスも!#玉置浩二#billboard#アクトシティ浜松 pic.twitter.com/YRkAc7c6yV



この日は極めて素晴らしい公演になりました。玉置さんの歌声が好調で、大友さんに導かれたオーケストラの演奏もハイクオリティーだったのは言及するまでもなく、観客の姿勢も公演の発展に貢献していたと思います。それに象徴されたのは、「JUNK LAND」の曲後に見せた大友さんの拍手を煽る姿でしょう。あれほどまでに曲中の手拍子を制限していたマエストロが、客席に向けて両手を震わせながら賞賛を促す姿を見て心が打たれました。その後のカーテンコールでも、客席の前方から1人また1人とその場に立ち上がっていくスタンディングオベーションは、シンフォニックコンサートの枠を超えてクラシックコンサートの真髄に触れた気持ちにもなりました。本ツアーが発表されてから最も楽しみにしていた公演で、これほどまでに感動的な光景を目にすることができて感無量です。
さて、本ツアーも残すは3公演となりました。明日は、
大友さん×東京フィルハーモニー交響楽団
と、ファイナルの日本武道館公演に向けた前哨戦ともいえる公演でとても楽しみです。
こばかず
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